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リポート・企画

“音のバリア” を 無くすために 2月1日

音が聞きとりづらかったり、難聴に悩んでいる人のために作られたスピーカー。開発したのは東京のベンチャー企業です。

耳が遠くなったお年寄りも 安心して暮らせるように『 “音のバリア” を無くしていこう』という取り組みを取材しました。

 

埼玉県のデイサービスセンターで、お年寄りが夢中になっているゲームがあります。それは・・・

イントロクイズです。

『希望を感じる歌ですよ~』

『♪~~♪~~♪』

『上を向いて歩こう!』

『おー!すごい!』

 

クイズで使用されていたのは、変わった形をしたスピーカーです。

 

家のテレビと比べてどうですか?と尋ねると・・・

「よく聞こえます」 「90歳にもなると、聴力が少し弱くなったが、この音だけは はっきりと聞こえます」という声が聞かれました。

 

このスピーカーを作った佐藤和則さん(62)は、電子機器メーカーの技術職や営業職を担当していましたが、57歳で会社を立ち上げました。

 

佐藤さんのスピーカーは、すべて 弓なりの独特な形をしています。

「普通のスピーカーは、ここが磁石。100年間 形が変わっていない」

製品内部にある、音を出す振動板の形に秘密があるといいます。

「本当だ。湾曲している!」

 

佐藤さんによると、従来の振動板では、さまざまな音がぶつかり合ったり、混ざり合ったりします。

一方 湾曲した振動板は、音がまっすぐ進み、打ち消し合わずに遠くまで届くため、お年寄りにも聞きやすいといいます。

 

その違いがわかる実験をしました。

取り出したのは、小さなオルゴールとプラスチック製の板。

佐藤さんが、オフィスの端のほうに行き・・・

「いまオルゴールが鳴っていますよ。聞こえないですよね?」

「ほとんど聞こえないです」

 

「プラスチック板を曲げると・・・」

「すごーい!ここで鳴っているみたい。ここに降り注いでいまよ!音が」

「指向性も広いんです。いろんな方向に向けても聞こえますでしょう?」

「聞こえる大きさは変わらないですね」

 

佐藤さんがこのスピーカーの開発に取り組もうと考えたきっかけは、父、次男さんの存在でした。10年近く、難聴に悩んでいたといいます。

「父は補聴器をつけていたが、嫌がって外してしまう。そのうち 片方をなくしてしまったりする。そこをなんとか助けたい というのがひとつ。家のテレビの音量が大きい。うるさい。実家に帰ったときに、テレビの音がうるさかったのを解消したかった」

父親に試作品の意見を聞きながら、およそ2年間の試行錯誤を続け、完成させました。

 

いま、佐藤さんのスピーカーは、社会のさまざまな場面で利用され始めています。

『ピンポーン!受付番号224番のカードをお持ちのお客様、14番窓口へお越しください』

横浜市に本店を構える銀行の窓口では、2年ほど前からこのスピーカーを導入しています。

窓口担当者は「以前は、一度呼び出しをしてから、再度お声がけしたり、再呼び出ししていたが、その回数がかなり減ったと感じている」といいます。

 

佐藤さんは「お役に立てているというのは 元気になる。すべての人を含んだ『 “音のバリアフリー” スピーカー』。日本人だけでなく、世界の人たちに早く届けられればと、励みになっている」と話していました。

 

誰でも音が聞きとりやすい、 “音のバリアフリー” を目指して、佐藤さんの夢は続きます。

問い合わせ先

◇難聴の人のためのスピーカーを開発している会社
 「(株)サウンドファン」
 東京都台東区浅草橋1-32-6 コスモス浅草橋酒井ビル4F
 電話・FAX:03-5825-4749
 受付時間:平日9:00~17:30(年末年始・夏季休業を除く)

◇紹介したスピーカーを導入している高齢者施設
 「南河原福祉の里 おきな」
 埼玉県行田市大字馬見塚693
 電話:048-557-3521
 FAX:048-557-3510