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リポート・企画

“AI” を活用 誤えん性肺炎を防げ 11月6日

食べ物が誤って気管に入ることなどで起きる、『誤えん性肺炎』。飲み込む力が衰えた高齢者などに起きやすく、死因となることも少なくありません。

そうしたなか、ことし 茨城県の企業が 人工知能・AIを生かして、飲み込む力を測る装置を開発、予防に生かそうとしています。

 

茨城県石岡市の高齢者施設。

「首のほう、失礼します」

職員が利用者に付けたのは、 “飲み込む力を測る” 装置です。

 

水を飲むと・・・ ライトが緑に点滅!

 

データはスマートフォンに送られ、緑色の画面は、正常であることを表します。

飲み込む時の音の “成分” や “長さ” を 人工知能・AIで測り、判定するしくみです。

 

高齢者施設の職員、箕輪博行さんは「測ることによって、えん下機能の強さとか、長さとかがわかる。どんな職員でも使いこなせるようになる機械だと思っている」といいます。

 

高齢者の肺炎による死因のうち、誤えん性肺炎は7割を占めます。しかし、これまで介護現場では、飲み込む力を客観的に測る方法がありませんでした。

また、診察する医師の経験にも差があるため、飲み込む力を測る精度は7割から9割にとどまっているといわれています。

 

装置を開発したのは、茨城県つくば市のベンチャー企業。社長の鈴木健嗣さんが注目したのが、AIでした。

『これは、患者さんが192人・・・』

2,700回分の飲み込みのデータをAIに学習させ、音の成分や長さなどのパターンを分析した結果、正常かどうかをほぼ正確に検知できるようになりました。

「『まだまだこんなに飲み込めています』 『飲み込んだあとには、むせません』ということが簡単にわかる。そういったことができるんじゃないか」と鈴木さん。

 

93歳の海老澤とりさん。

去年から食べ物を戻すことが増え、誤えん性肺炎のリスクが高まっていました。

「飲み込みがおかしいなって時は 大急ぎで部屋へ来て、トイレや洗面所へ駆け込む。食べるのが怖いような気がしてね」

飲み込む力に問題があるのではないか? 装置で調べることにしました。

 

海老澤さんの飲み込みのデータ音を聞くと・・・

『正常なえん下音』

はじめは異常ありません。しかしこの直後、AIが “ある音” をとらえました。

破裂したような、異常な “音” です。

「空気を含んだような音。空気を一緒に水分と飲み込んで、はき出したような音なのかな・・・」

のどや首の筋肉が衰えたために空気が入りやすく、飲み込みにくい可能性があることがわかりました。

 

『今日も、ごはん前の体操を始めていきたいと思います!』

そこで施設が始めたのが・・・

「ラクダとダンス ラクだった」と口を大きく動かしたり、のどや首の筋肉を動かす体操です。

 

体操を始めて4か月。海老澤さんは食事を戻すことがほとんどなくなりました。

「むせたり戻したりが最近は わりあいに少なくなって。以前は年中だった」

普通に食事できるようになり、誤えん性肺炎のリスクを減らすことができました。

海老澤さんは「自分で食べて、自分の足で歩いて、百歳まで生きたいな」と話していました。

 

人工知能・AIを生かした誤えん性肺炎予防の試み。どんな効果を上げていけるのか、注目されます。

問い合わせ先

◇AIを活用した装置について
 「PLIMES(プライムス)株式会社」
 E-mail:info@plimes.com