おはよう日本 関東甲信越

3月9日放送
東日本大震災から6年(2)言葉つむぎ 震災と向き合う

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今週は、東日本大震災から6年を迎える関東地方の、被災地の現状や 課題についてシリーズでお伝えしています。
きょうは、津波の被害で 14人の死者と2人の行方不明者が出た 千葉県の旭市の新たな取り組みです。地元のNPOが震災の記憶を語り継ごうと、エッセイや俳句などを募集しました。
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『海よ、私はあなたが怖い! ゴーゴーと逆巻く波に呑(の)みこまれそうで』

先週 千葉県旭市で行われた、文芸賞の朗読会です。
震災の記憶を多くの地元の人たちと共有しようと、開かれました。
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朗読するのは作者自身。
この6年、言葉にできなかった思いと向き合うことで、新たな一歩を踏み出してもらうためです。
『旭いいおか文芸賞』の実行委員会 会長、渡邉昌子さんは「文芸賞をきっかけに、震災で得た記憶をもう一回思い出してもらいたい。ふるさとを見直してもらいたいし、それが ふるさとへの愛着を深めて復興の原動力になる」と話していました。
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文芸賞に寄せられたのは、詩やエッセイ、俳句など およそ1,700点。

そのひとつ、地元中学生のエッセイには、『家族と一緒に楽しんだ海が 怖い場所になってしまい、何年も行っていない』とつづられています。
作品を書いた高野純花さんは、幼いころよく遊んでいた地元の海で、多くの人が亡くなったことから、海に近づけなくなりました。

しかし、そうした思いはほとんど口に出さないようにしてきました。
言葉にすると、恐怖心がよみがえる気がしたからです。
高野さんは「海について考える機会は、自分でも遠ざけていて、あまりなかった。『この機会に書くのもいいかもしれない』と、正直に書きました」といいます。
作品を書く中で高野さんは、『海から目をそむけていてはいけない』 『海と向き合えるようになることが、もとの暮らしを取り戻すことにつながる』と思うようになりました。
「考えることで、自分の気持ちや印象がまた変わるかもしれないから。これから先、いつになるかわからないけど、海でいい思い出を残せるのが次のステップです」
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『みはるかす 海は真青(まさお)よ 震災忌』
悲しみを俳句にすることで、心の傷を癒してきた人もいます。
今川君子さん、90歳です。

震災前は、自宅で陶器店を営んでいましたが、津波ですべて失いました。
被災のショックと不自由な避難生活で、ふさぎ込む日々が続いたといいます。
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そんな今川さんを支えてくれたのが、俳句の仲間たちでした。
ふだん言葉にできない気持ちを共に詠み合うことで、悲しみをわかちあい、ふるさとが日常を取り戻していく様子も、共に句にしたためてきました。
『大津波 耐えたる梅の 遅れ咲き』
今井さんは「たまっていたものを吐き出したあとみたいに、すーっとしますね。 『私、俳句やっててよかったなぁ。またやっていこう』という思いと一緒に、自分の心も元気が出てくる」と話していました。
『復興の 漁港に春灯 灯(とも)りそむ』
朗読会の一句です。
6年間の思いを形にした作品の数々。
言葉の力で復興を目指す、市民たちの取り組みが始まっています。

今回寄せられた作品は、5月に一冊の作品集にまとめられます。
この文芸賞は、来年(2018年)以降も続けて行く予定だということです。

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◇『旭いいおか文芸賞』について
 ※今年(2017年)初めて旭市で開催された文芸賞。
 NPO法人「光と風」内
 「旭いいおか文芸賞『海へ』実行委員会」
 会長:渡邉昌子さん
 電話:0479−57−5769
 ※詳細はホームページを参照ください。

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