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過疎地の医師不足が大きな課題になる中、山梨県の山あいの町では、複数の専門の医師が診療時間を分担して医療を行う新たな仕組みの診療所が開設され、期待を集めています。

山梨県大月市、山あいに広がる初狩町です。
住民の3人に1人は高齢者。車などの移動手段を持たず、市内の病院に通う負担を訴える人が年々、増えています。

去年6月、町に新たな診療所ができました。ここでは、全国でも珍しい取り組みをしています。
内科、皮膚科、整形外科、脳神経外科など、専門医が日替わりで診察。
また、高度な医療機器を導入し、都市部の病院に負けない態勢を整えています。

診療所に通う高齢者のほとんどは、複数の病気を抱えています。
内科と脳神経外科に通うこの男性は、内科を受診した時、強い眠気を訴えました。医師は、脳神経外科で処方された薬によるものと推測。申し送りをしていました。
脳神経外科の専門医の診察によって、患者の不安が解消されました。
「助かります。(様々な診察が)ここ1か所で済むというのは、とても良いことだと思います。」「この地に住んでいる私たちにとって、地の利と申しますか、非常にありがたいことです。」と患者は話します。

診療所を立ち上げたのは、地元出身で甲府で開業している内科医の小林章一さんです。
患者のニーズに見合った医療を提供したいと、医学部の同級生や先輩などに声を掛け、医師を集めました。
「1人の医師では、全部をまかないきれないような状況があって、(医師同士が)協力し合って、分担制で、交代制で、1人にあまり過重な負担が掛からないようにする。」と小林章一医師は話します。

8人の医師の診察日は、小林さんを除いて、平均、週一日。しかも、診療時間は3時間に限定しています。こうした勤務態勢がこの診療所を動かしているのです。
さらに独自の取り組みも行っています。
甲府の診療所とネットワークをつなぎ、データを共有。大学病院の画像診断の専門家に依頼し、高度な診断を実践しています。
「1回1回、過疎地まで行くのは、時間的に無理なので、甲府でもちゃんと診断できることが一番大きい(メリット)だと思います。」と担当の山梨大学医学部放射線科の荒木力教授は話します。

診療所の特徴は、看護師にもあります。地元出身のベテラン看護師がフルタイムで勤務。患者の相談や、緊急の場合、医師に連絡するなど、担当医が不在の時のフォローをしています。
また、24時間、対応出来る様に、病院の電話を、携帯電話に転送するようにしています。
「『扇の要』というんだと思います。いろいろな科の先生の指示に適切に従いながら、上手にコントロールする。(医師同士の連絡で)カルテ上には『お願いします』(と書いてあっても)分からない所を口頭で補足する。いろんなことでやはり『要』だと思います。」と小林医師は話します。

診療所の開設から8か月がたち、経営も安定し始めました。診療所の取り組みが地域医療の新たなモデルとなるのか、今後が注目されます。
診療所を立ち上げた小林医師によると、この仕組みが普及するためには、協力を申し出てくれる医師が勤務する病院の理解と支えが欠かせないとしています。