新年度のスタートが近づいてきました。「身だしなみは足元から」といいますが、皆さんの足元は大丈夫?今回は、知っているようで知らない、革靴のお手入れ法をご紹介します。
革靴はデリケートなイメージですが、実は「水」で汚れを落とすことができるそうなんです。専門家にコツを聞いてきました。
教えていただくのは、靴の再生を手掛けて40年以上、シューケア アドバイザーの安富好雄さん、84歳です。
革靴の手入れは、みなさん磨くことを一生懸命やっていますけど、本当は汚れを落とすことが一番大事。そのために“水”を使います。
えっ!革って水に濡らしたら傷みませんか?
大丈夫です。革は人間の肌と同じ、動物の皮膚ですからね。それに、水はいろんなものを溶かしますので、汚れを落とすのには最高ですよ。
1)靴ひもをとり、ブラシで簡単にホコリを落とす
2)雑巾を水が滴るくらいゆるくしぼって、靴全体にしみ込ませる
(あまりにも汚れが落ちないときは、革専用のせっけんを使うのもおすすめ)
革全体に水を押し込むようにまんべんなくしみ込ませて、浮いた汚れをしっかりふき取るのがポイントです。
雨の日に革靴が濡れて、“輪ジミ”ができてしまったことがあるんですが…
革は部分的に濡れるとシミになるんです。全体を濡らせばシミにはなりませんよ。
革の中には汗やホコリなどの汚れがたくさんあります。
部分的に水がしみ込むと、汚れが水と一緒に外側に広がり、乾いたあとに“輪ジミ”などになってしまうんです。
靴全体を濡らして、浮いた汚れをしっかりふき取れば、“輪ジミ”を防ぐことができます。
※合成皮革の靴は水をそれほど吸わないので、表面を水拭きするだけ。
革が本当にさっぱりして、お風呂に入ったみたいに気持ち良くなりますよ。
3)型崩れしないように新聞紙などを入れて日陰干しする
(ストーブやドライヤーなどで急激に乾かすのは、革が縮むおそれがあるため避ける)
4)保湿効果のある「乳化性」のクリームを少量塗り、布で磨き上げる
クリームは厚塗りすると通気性が悪くなり、ひび割れの原因にもなります。少量を薄く塗り、綺麗な布でこすり落とすように磨きましょう。
これで完成です。
お手入れ前と比べると、革が生き返ったようにつやつやになりました!
お手入れ前 お手入れ後
スエードやヌバックなど、起毛素材の革靴はどうやって手入れしたらいいでしょうか。
表面を毛羽立たせてある起毛素材は、毛の中にホコリがたくさん入りこんでいるので、こすって汚れを落とすのが基本です。
1)ブラシで毛の中にある汚れをかき出す
2)水拭きして毛の中の汚れをこすり落とす
3)日陰干しをしたあと、ブラシで起毛させ、表面を整える
起毛素材の靴は、ブラシで毛の中の汚れをかき出すのがポイント。こびりついた汚れには、消しゴムを使うのも効果的です。
※素材によっては、強くこすると傷むことがあります。ご注意ください。
起毛素材は水をよく弾くので、水拭きをする時は、水をしみこませるのではなく、こすりながら汚れをふき取るのがポイントです。
日陰干しのあとにブラシで起毛させたら、最後に保湿効果のある専用のスプレーをかけると、より一層長持ちします。
※スプレーは、屋外で使用してください。
革靴はお手入れすればするほど、手入れされた良さが出ます。そうした風合いの変化を大事にしていただければ、もっともっと靴が好きになると思いますよ。