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デイサービス送迎車を免許返納後の高齢者の“足”に

  • 2020年11月12日

運転免許証を返納する高齢者が増えていますが、その後の移動手段をどう確保するかが大きな課題となっています。こうした中、群馬県でデイサービスの送迎車をお年寄りの「生活の足」として活用する実証実験が始まりました。

高齢者の “生活の足” に

群馬県前橋市に住む山下三郎さんは、ことしの1月に運転免許を自主返納しました。

山下さん
「不便ですね~。“閉じ込められた” という感じが強い」

そこで使い始めたサービスは…

スマートフォンに登録した5つの地点から、乗る場所と行き先を選んで送信すると…。
10分ほどで車が迎えに来ました。

Q.この車はどこから来たんですか?
「日高デイトレセンターから回って来ました」

実はこの車、近くにある介護施設の送迎車です。先に乗っていたのはデイサービスの利用者。

利用者を施設に送る途中、ちょっと寄り道して山下さんを目的地まで「相乗り」させてくれます。

やって来たのは自宅から3キロ離れた温泉施設です。
このサービス、いまは無料で60歳以上の “移動に困っている人” なら誰でも使えます。

山下さん
「こういう制度があるだけでも、開放感がありますね。気持ちに “ゆとり” ができます」

AIで実現した相乗りシステム

「相乗り」の仕組みを作ったのは、県内各地で介護施設を運営する事業者「エムダブルエス日高」です。
このデイサービスでは1日200人余りの利用者を38台の車で送迎しています。

社長の北嶋史誉さんは、送迎車の空席をもっと有効に活用したいと考えました。

北嶋さん
「施設から自宅に送るときに “スーパーで降ろしてくれ” と言われるんですよ。うちには車両がいっぱいあって、夕方と朝、縦横無尽に走っているので、これを交通弱者に利用してもらえたら」

北嶋さんは去年、自社の施設でサービスの運用を始めました。使ったのは人工知能・AIです。
配車管理のソフトでは、どの車が、何人乗せ、どこを走っているのかがリアルタイムで分かります。

車の希望者から依頼が入ると、AIが最も効率よく「寄り道」できる車を選び、ドライバーにルートを指示する仕組みです。

次に取り組んだのが「他の事業者との連携」です。複数の施設がお互いの送迎車を融通し合えば、もっと便利なシステムになると考えたのです。
この秋、県内外で12法人の協力を取り付け、3つの地域で「相乗り」の実証実験を始めました。参加する車は222台に上ります。

先月から「相乗り」を始めた高崎・前橋エリアでは、サービス開始からひと月で利用希望者が130人を超えました。

スマホの壁

ところが、普及には課題もあります。
高齢者には「スマホの操作が難しい」と感じる人が少なくないのです。

そこで事業所では、システムに登録した人を一軒一軒訪問し、操作方法を丁寧に説明することにしました。

システム利用者の新井登茂恵さん
「何が分からないか、分からない感じ(笑)」

Q.使えそうですか?

「使えます!」


実証実験は来年2月まで。北嶋さんは今後、自治体や企業などの協力も得てサービスを広げていきたいと考えています。

北嶋さん
「デイサービスが連携しあって、地域の交通弱者を支援できる。介護業界の存在感が上がり、地域を活性化する。そんな存在になれればいいなと思っています」

このサービス、バスやタクシーとの競合も懸念されていますが、社長の北嶋さんは「うまくすみ分けを図ることで普及させていきたい」と話しています。

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