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浸水マップをSNS画像から作る 国土地理院の試み

  • 2020年10月30日

近年、台風や豪雨による水害が相次ぐなか、SNSに投稿された画像で浸水の範囲を示す地図を作る新たな取り組みが始まっています。すでに、被災した自治体などで活用され、人命救助につながることも期待されています。

「地図づくり」で災害に備える国土地理院

茨城県つくば市にある国土地理院では、日本中を測量し、国の基本となる地図や、防災などさまざまな用途に使う地図を作っています。

SNS利用でリアルタイムの情報収集を

若手職員のひとり、吉田一希さんが2年前、SNSの写真を使うことで災害時に役立つ新しい地図を開発しました。

「浸水推定図」。大きな水害が起きた時、実際に浸水したと推定される地域を青く示す地図です。
これまで、浸水の範囲を推定した地図は、航空写真を元に作られてきました。被災した自治体が排水の順番を決める際などに役割を果たしてきましたが、作成に時間がかかるのが課題でした。

その課題が浮き彫りになったのが2年前に起きた西日本豪雨です。悪天候で丸2日飛行機を飛ばすことができず、地図の作成ができませんでした。

なんとか早く地図を作れないか。
吉田さんが思いついたのが、各地の被害を調べるために見ていたSNSの画像をいかすことでした。

国土地理院 応用地理部 吉田一希さん
「災害というのは時間との勝負なので、SNS等で見ている情報から何か作ることができないかなと思い立って…」

吉田さんは、災害時に投稿された写真などから、浸水の場所や深さを推定することができると考えました。

下の写真はそのひとつです。

「水際の位置がしっかりしている写真が、一番役に立つ写真です」

この写真を基にインターネット上の地図検索サービスを使って、特徴のある建物などを照らし合わせながら、位置を特定します。

「スポーツ用品店などがあることで、場所がここだと分かります」

集めた写真から水に浸かっている場所の境目が分かれば、それよりも低い場所では浸水していると推定できるのです。

「この写真の場所が地図でいうとこの辺りになります。この地点の標高は110.2メートルということが分かりますので、それより低いところが浸水したと」

10枚ほどの写真を使うだけで、浸水した地域全体を水の深さごとに色分けして示すことができます。

「3時間程度で ここまでのデータはつくることができます」と吉田さん。

一刻も早く… 豪雨の被災地に届いた「命の地図」

新しい「浸水推定図」は、現在、大きな水害が起きる度に作られ、被災直後の自治体に届けられています。

今年7月の豪雨で広い範囲が浸水した熊本県芦北町では町役場の周りも浸水し、被害の情報収集が難航していたときにこの地図が届きました。

どこで被害が発生しているか一目で把握でき、対応策を決めるのに役立ったといいます。

芦北町役場 防災交通係 松下祐樹さん
「とても早いタイミングで届いた。こんなに早くできるのかと驚いた記憶があります。どこで被害が多く発生しているか、目星をつけられることが一番有効だった」

「浸水推定図」は今後、人命の救助などにも活用されることが期待されています。

吉田さん
「第一に救助活動。人命第一で考えて、いち早く、少しでも早く地図を作るのが我々の使命ですので。今ではSNSですけれども、新しいツールを探しつつ、これからも迅速な地図づくりに貢献できるように頑張っていきたい」

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