WEBリポート
  1. NHK
  2. ちかさとナビ
  3. WEBリポート
  4. コロナ禍の教育実習 大学生は小学生に何を教えたのか

コロナ禍の教育実習 大学生は小学生に何を教えたのか

  • 2020年10月13日

教員免許の取得に必要な教育実習ですが、新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされた大学がたくさんあります。そうした中で、千葉大学では実施を決めました。実習に参加した大学生に密着しました。

大学はオンライン授業 このまま教師を目指すべきか?

先月(9月)、千葉大学の附属小学校に、教育実習生が体温や咳の有無を書いた健康チェック表を持参しやってきました。その数、54人。通常4週間を3週間に短縮しての実習です。

3年生のクラスを担当することになった、千葉大学の新名夏音さん。
新型コロナの影響で、春からオンラインでのみ授業を受ける生活が続いています。
大学3年生の新名さんは、家賃節約のため、石川県の実家に戻って受講することに決めました。
地元での就職活動を前に、この教育実習にのぞみます。

「自分が本当に教師に向いてるのか、本当にやりたいのか、ということを、実習を通して考えられたらいいなと思っています」

道徳の授業 子どもたちの言葉を引き出せるか

実習初日、新名さんは、指導教諭の中谷佳子先生から、1週間後に行うコロナウイルスを題材にした道徳の授業を任されました。
授業のねらいは、子どもたちにコロナによって生まれる「不安」や「差別」に気づいてもらうことです。
そのために、どんな資料や問いにするのか、模擬授業を重ねて準備します。

「子どもたちがどう対話して、どういう言葉を子どもたちから引き出せそうかということを考えていきたい」


迎えた授業の日。

新名さん
「みんな、いまマスクとかしているよね。コロナ怖いね。いっぱいニュースとかでも聞くよね。じゃあ、コロナってなんで怖いの?」

子どもたち
「死んじゃうかもしれないから怖い」
「ワクチンがないから怖い」
「目に見えないのが怖いと思う」

新名さん
「いっぱい出してくれたけど、『どうなるか分からないな』という気持ちは何て言うの?」

生徒たち
「不安!」

コロナによって不安が生まれることは、子どもたちから順調に引き出せました。

続いて、コロナ患者の受け入れた病院の資料を見せて、問いを投げかけます。

新名さん
「コロナの人が来て、みんなの近くに病院があったらどう思う?」

子どもたち
「僕だったら違う家に行きたいぐらい」
「感染したらいやだな」

新名さん
「今考えてくれたけど、こういうことってなんて言うの?」

新名さん、不安な気持ちから差別が生まれることに気づいてもらいたいのですが…

子どもたち
「恐怖?」「怖い?」

新名さんは結局、自ら「差別」という言葉を出さざるを得ませんでした。

「もうちょっと “差別” という答えにつながるやり方があったのかもしれないなって思っています。子どもたちから引き出せなかったのは悔しいですね」

中谷佳子教諭
「1人1人の子どもが、いつどこでどういう行動をするのか、どんな思いになるのかは、絶対やってみないと分からないと思うので、経験するのは非常に大切なことだと思います」

教師を目指す覚悟

実習最後の日、子どもたちが送別会を開いてくれました。

「コロナで、実習生が来るか分からなかったけど、来てくれてうれしかったです」
「いい先生になってください」
「ありがとう」

新名さんは「こういうふうに声をかけたら、子どもたちが会話しやすくなるんだとか、こんなときにこういう気づきを拾ったらいいのかとか、まだまだできる事がたくさんあって、教師になれたらいいなと思うようになりました」と話していました。

学校では今月(10月)も54人の教育実習生を受け入れ、未来の先生を支えます。

ページトップに戻る