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新たな花粉症対策 発生や飛散どう減らす スギ人工林への対応は?

  • 2023年5月31日

新たな花粉症対策が決まりました。10年後にスギの人工林を2割程度減少させるなどの対応を進めた上で、30年後には花粉の発生量の半減を目指すということです。花粉の発生源対策や飛散対策、そして目標など、詳しい内容をまとめました。

花粉症の有病率 “20年間で2倍以上”

日本で花粉症の人がどのくらいいるのか、正確な人数はわかっていませんが、環境省の花粉症マニュアルによりますと、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした全国調査では、花粉症の有病率は増加傾向となっています。

この調査での花粉症の有病率は、1998年には19.6%でしたが、2008年には29.8%さらに2019年には42.5%となっていて、およそ20年間で2倍以上に増えています。

花粉症 新たな対策を決定

政府は5月30日、岸田総理大臣や野村農林水産大臣らが出席した花粉症対策の関係閣僚会議を開き、新たな対策を決定しました。
政府としては、取り組みによって、30年後には、花粉の発生量の半減を目指すなど、多くの人を悩ませる花粉症の解決へ道筋をつけたいとしています。

岸田総理大臣
「花粉症は、実効的な対策が行われず、いまだ多くの国民を悩ませ続けているわが国の社会問題と言えるものだ。一朝一夕で解決するものではなく、しっかりと将来を見据えて取り組みを着実に実行することが必要だ」

発生源対策 10年後にスギ人工林を2割減

新たな対策のうち、花粉の発生源対策では、住宅などに使う木材への転換を進めた上で、スギの人工林の伐採面積を現在の年間5万ヘクタールから7万ヘクタールに広げ、10年後にはスギの人工林を2割程度、減少させることを目標に掲げました。

そして、花粉の少ないスギの苗木やスギ以外の樹種への植え替えを進めるとし、10年後にはスギの苗木の生産のおよそ9割以上を花粉の少ないものにするとしています。

飛散対策 薬剤改良や効果的な散布技術の開発

飛散対策としては、薬剤の改良や効果的な散布技術の開発を促進し、5年後に実用化のメドを立てるほか、2024年3月までにAI=人工知能などを活用し、花粉の飛散を予測した詳細なデータを民間企業に提供するとしています。

農林水産省 10か年計画を策定し取り組み進める

花粉症対策の関係閣僚会議で新たな対策が決定したことについて野村農林水産大臣は閣議のあとの記者会見で、「木材の活用も加速させながらスギの人工林を10年後には2割減らし、将来的には花粉量を半減させる取り組みに集中していきたい」と述べました。

そのうえで、農林水産省としてもスギの人工林の伐採と住宅などに使う木材のスギ材への転換を進めるための10か年計画を策定し、取り組みを進める考えを示しました。

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