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就活トラブル 学生の不安につけ込む誘い文句は?高額セミナーも

  • 2023年5月29日

来年、2024年の春に卒業する大学生などを対象とした企業の採用面接が6月から始まりますが、早期に複数の内定を得る学生と、成果がなかなか出ない学生とで2極化しているという指摘もあります。こうした中、学生たちの不安につけ込んだトラブルが相次いでいます。詳しいトラブルの内容やその背景についてまとめました。

うそを言って就活イベントに勧誘

就職活動中の学生にうそを言って就活イベントに勧誘したことがあるという女性がNHKの取材に応じました。

女性は当時、人材関連の会社で数か月、インターンとして働いていました。勧誘はその会社の上司からの指示で、学生をたくさん集めれば、その分、参加企業から高い金額を受け取れると説明されたということです。

勧誘の誘い文句 “特別な選考ルート”

誘い文句を使って、特別な選考ルートがあると呼びかけるよう指示されました。

イベントに参加した企業からいきなり最終面接に案内されその場で内定がもらえる。

内定の可能性が高くなる。

女性は罪悪感を持ちながらも逆らうことができず、10人以上の学生を勧誘したということです。

「社員からは『何のためにインターンとして雇って金を払っているのか』と言われ、従ってしまいました。自分が学生ということもあり、相手の気持ちがよくわかるので、いくつかうそも混ぜながら勧誘していたことに違和感というか、つらいなという気持ちもありました。誘った学生には申し訳なく思います」

学生の不安につけ込んだトラブル

就職活動をめぐっては学生の不安につけ込んだトラブルも相次いでいます。国民生活センターによりますと、「就職活動をきっかけに高額なセミナーの契約を結んでしまった」といった学生などからの相談は、2022年度、全国で198件と、前の年度から46%増えました。

SNSやインターネットをきっかけに「セミナーを受ければ大手企業に100%内定する」と断定的に説明したり「今契約しないと内定がもらえない」などと不安をあおったりして勧誘するのが特徴だということで、国民生活センターは注意を呼びかけています。

“執拗にセミナー参加を勧誘” 大学に相談

大東文化大学のキャリアセンターにも、SNSをきっかけに執ようにセミナーに参加するよう勧誘されたという相談が寄せられているということで、大学ではスタッフが常駐して相談に応じているほか、典型例について周知したりガイダンスを行ったりして注意を呼びかけています。

大東文化大学キャリアセンター 細田咲江所長
「コロナ禍で活動量や情報量に関する学生の不安が高まり、それをあおるやり方が顕在化していると思う。就職活動で迷ったりうまくいかなかったりしたら、まずキャリアセンターに相談に来てほしい」

“有象無象の多くの情報 正解を求めてしまう”

就職活動に詳しい採用コンサルタントの谷出正直さんは、就職活動の状況や、学生がトラブルに巻き込まれる背景などについて次のように話しています。

〇就職活動の状況は
今、就職活動をしている学生は大学に入ったタイミングでコロナの感染が拡大した世代で、縦も横もつながりを作りにくい中で就活をせざるをえない状況だ。経済の回復や人手不足を背景に企業の採用活動の早期化が進んでいるが、就職活動のやり方や情報の取り方を知る機会がある人とない人の差はすごく大きく分かれるので、売り手市場になったから誰にでも内定が出るわけではなく2極化が進んでいる。

〇トラブルに巻き込まれる背景
誰からも就活のアドバイスをもらえない中で不安感が出てきている。SNSやインターネットでたくさん調べても、有象無象の多くの情報があって、何がいいのか悪いのかわからなくて正解を求めてしまう。

〇個人情報の扱いにも注意を
セミナーを悪用しようとする企業が一部であり、そうした企業にとって学生の個人情報の2次利用も利益が生み出せる。学生の個人情報を得たいと思うような企業があり、個人情報が売買される。

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