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ホンダF1復帰 脱炭素 参戦理由 どう継続 社長が語った詳細は

  • 2023年5月25日

ホンダは自動車レースの最高峰「F1」に2026年のシーズンから復帰します。脱炭素の取り組みとF1、復帰の理由、参戦を継続する体制作りなど、ホンダやホンダ・レーシング(HRC)のリーダーはどう話したのでしょうか。5月24日の記者会見やインタビューの詳細をまとめました。

2026年F1復帰 パワーユニット供給

2021年にF1撤退していたホンダは、新たにレーシングチームの「アストンマーティン」にエンジンなどを供給する契約を結ぶことで合意しました。発表によりますとホンダは、2026年のシーズンからF1に参戦し、エンジンとモーターを組み合わせたパワーユニットをアストンマーティンに供給する契約を結ぶことで合意したということです。チーム名は、「アストンマーティン・アラムコ・ホンダ」となります。

ホンダ 三部敏宏社長 記者会見

〇参戦の理由
F1が、ホンダの目指すカーボンニュートラルの方向性と合致するサスティナブルな存在となり、われわれの電動化技術を促進するプラットホームになること、これがホンダとして再びチャレンジする大きな理由の1つとなりました。 
また、こうしたF1の環境変化を受けて社内の若いエンジニアたちから「世界一のレースで再びチャレンジしたい」「新しいF1レギュレーションならばきっと自分たちの培ってきた技術を正面からぶつけられる」という声が多く聞かれるようになりました。 
F1参戦によって得られる価値が大きいことを改めて認識したことから、2026年の新レギュレーション導入を機に、再度、パワーユニットサプライヤーとしてF1に参戦することを今回決定しました。 

〇F1をめぐる変化
ホンダの参戦終了後、F1を取り巻く環境にも大きな変化がありました。FIAは2030年のカーボンニュートラルの実現を目指し、2026年から100%カーボンニュートラル燃料の使用が義務づけられるとともに、送出力に締める電動パワー比率が50%と今の20%弱から大幅に高められることになります。 
電動パワーの拡大においては、小型軽量高出力のモーターや大電力を扱える高性能バッテリーとそのマネージメント技術が勝利への鍵となりますが、ここから得られる技術やノウハウは、これからの量産電動車の競争力に直結する可能性を秘めています。またカーボンニュートラル燃料技術は、航空機燃料への技術転用などエネルギーマルチパスへ貢献が可能です。 

ホンダ・レーシング 渡辺康治社長 インタビュー

〇挑戦が大きなテーマ
われわれのキーワードとしては、挑戦する、ということです。ものすごく高い、目の前の壁をどう乗り越えていくかというのは非常に大事なテーマです。個人としても、企業としても、レースとしても、ものすごく大事なことだと思いますし、そこの挑戦を通じて、いろいろなことがファンの皆様や自分たちとも共有できるし、大事なテーマになっていると思います。 

〇激化する競争で勝つ
今回の新しいレギュレーションの導入でみんなが開発をしていく。しかも今までより強豪の数がどんどん増えてきていて、本当に競争は激化する。そこで勝って、そこの挑戦を共有してこそ、何か自分たちの役割があるのではないかと思っています。歯を食いしばって頑張って、いい結果を残したいと思います。

〇継続が重要
われわれは「鈴鹿」と「もてぎ」と2つのサーキットをもっている会社であり、そこを上手に使いながら、HRCとしてもレースに参戦して、レースを行う場所、それからレースを楽しむというところ、この2つで貢献していくことができると思っています。それはやはり継続してやっていくことが重要だと思っています。
過去に出たり入ったりということで、ファンの方々に非常にがっかりさせてしまったこともあるし、そこについては本当に反省しております。今後はもっと継続的にできるようHRCというレース専門会社にいろんなノウハウを落としながら、蓄積しながら、続けられる体制を構築していきたい。

三部敏宏社長 記者会見

〇ファンの声
2020年の参戦終了発表にあたっては、メディアの皆様、そしてファンの皆様からさまざまな厳しい声もいただきました。 
ホンダとして苦渋の決断ではありましたが、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの強化のために必要な判断であり、その後、社内では狙ったとおりの効果を生んでおります。一方でファンの皆様の盛り上がりが私たちのF1活動において大きなモチベーションとなっていることも事実です。改めて感謝するとともに、その気持ちに今まで以上にこたえていきたいと思っています。 

〇参戦継続のための体制
そのためには持続的なレース活動ができる仕組みに進化させ、参戦を継続していくことがより重要だというふうに考えております。そこで2026年に向けた参戦体制も以前とは変えていきます。モータースポーツ技術の開発とレース運営に当たる子会社であるホンダ・レーシングをF1活動の母体とし、F1に関する技術とノウハウの集約的蓄積と、次のレースへの着実に活用するサイクルを構築していきます。

〇厳しい競争は最適の環境
またパワーユニットと開発においてもコストキャップが導入されます。これはF1への参加を長期的に継続することを容易にします。 事実、2026年からさまざまな自動車メーカーがF1への参戦を計画しており、今以上の厳しい競争が予想されます。 
これはまさに技術と人を磨きカーボンニュートラル技術を研ぎ澄ますのに最適の環境と考えております。 HRCを中心に継続的に取り組んでまいりますので、ぜひ応援をいただければと思います。 

ホンダとF1 エンジン供給で黄金時代

ホンダは、1964年に日本の自動車メーカーとして初めてF1に参戦し、1980年代後半から90年代前半にかけて「マクラーレン」などにエンジンを供給して黄金時代を築いた歴史があります。2015年に参戦したあとは、本業での脱炭素に向けて経営資源を集中するとして2021年に撤退していました。

ホンダは、2040年に、世界で販売する新車のすべてをEV=電気自動車やFCV=燃料電池車にする方針を示しています。

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