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「こどもの居場所」家と学校以外にも 文京区では? 国の検討状況は?

  • 2023年5月18日

虐待や不登校、そして自殺の増加など、子どもを取り巻く課題が複雑化しています。こうしたなかで必要性が高まっているのが、学校や家庭以外に安心して過ごせる「こどもの居場所」です。この「居場所」をどうつくっていくのか。東京・文京区の取り組みやこども家庭庁の検討状況などをまとめました。

「居場所がほしい」 特に中高生以上の世代で

こども家庭庁は2022年度、子どもや若者2036人を対象にアンケート調査を行いました。調査では、「家や学校以外に『ここに居たい』と感じる居場所がほしい」と回答した子どもや若者は7割以上に上りました。

そして、このうちの4人に1人がそうした居場所が「ない」と回答しています。特に中高生以上の世代で、「家や学校以外の居場所がほしい」にも関わらずそうした居場所が「ない」と回答する割合が高くなっています。

勉強 運動 遊び 自由に過ごす交流スペース

「こどもの居場所」をつくろうと、積極的に取り組んでいる自治体もあります。
東京・文京区では、中学生や高校生を対象にした交流スペース「b-lab」を8年前に設置し、年間延べ2万5000人が利用しています。

談話スペースのほか、運動できるホールや楽器の練習ができるスペースなどもあり、勉強したり、ゲームをして遊んだりと、自由に過ごすことができ、午前9時から午後9時まで、年末年始を除いて毎日利用できます。

フロアにはスタッフのほかに、ボランティアの大学生などもいて、中学生や高校生が1人で来ても居心地良く過ごせるよう、さりげなく声をかけています。
中には、発達の特性や不登校など、学校や家庭で息苦しさを感じている生徒もいるということですが、スタッフはあえて聞き出すことはせず、会話の中からやりたいことや新たな関心や興味のきっかけをつかんでいくようにしているということです。

「こどもの居場所」づくりの指針 国も検討

こども家庭庁は有識者による検討会での議論を5月17日から始めました。会議では、「自治体間で連携し、住む場所に関わらず居場所を利用できることが大切だ」といった意見や、「オンラインゲームやSNSなど、これまで想定されていなかったものが居場所として機能していることも念頭に置いて議論すべきだ」といった意見が出されました。

こども家庭庁は、2023年度、自治体を対象に公募を行い、モデル事業を始めるとともに、子ども・若者から意見を聴き、先行事例の調査などをした上で、整備の方向性などを定める基本指針を、年内にも策定することにしています。

専門家 “安心して過ごせる環境整備を”

「こどもの居場所づくり」についての国の検討会の委員で、文教大学の青山鉄兵准教授に聞きました。

〇居場所の必要性
地域のつながりが希薄になり、家と学校以外のコミュニティーがないという子どもがとても多く、そこでうまくいかなくなってしまうと行き場がなくなり、生きづらさにつながってしまう状況がある。子どもたちがほっとできる場所を、意図的に整えていく必要がある。

〇居場所を作るためには
こどもの居場所は、教育や福祉、地域のあり方など複合的な問題なので、縦割りにせず国全体で取り組んでいくことが重要になる。単に「場所」を用意するだけでなく、子どもたちが安心して過ごせる環境を整えることが不可欠で、子どもや若者の声を聞きながらすべての子どもが安心できる居場所を作っていくことが大切だ。

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