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脱炭素社会への取り組み“CO2排出見える化アプリ” “実質ゼロ燃料も”

  • 2023年5月2日

温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」の実現に向けた動きが世界的に加速しています。

個人の日頃の生活や行動でどの程度、二酸化炭素が排出されるかを“見える化”する新たなサービスが相次ぎ登場しているほか、全日空は、G7広島サミットの開催にあわせて排出量取引によって二酸化炭素の排出を実質ゼロにした燃料で運航すると発表するなどしています。

「脱炭素社会」の実現に向けた動きをまとめています。

二酸化炭素排出 実質0(ゼロ)へ

G7広島サミットの開催にあわせて全日空は、5月、広島空港を発着するすべての便を対象に、排出量取引によって二酸化炭素の排出を実質ゼロにした燃料で運航すると発表しました。

この取り組みは、資源開発大手のINPEXと、石油元売り大手の出光興産、それに全日空の3社が5月1日から共同で行います。

対象となるのは、広島空港を発着するすべての便で、羽田、新千歳、那覇の3つの空港を結ぶあわせて682便が、排出量取引を使って二酸化炭素の排出を実質ゼロとした燃料で運航します。

取り組みは5月1日から1か月間行われ、会社によりますと、期間中で二酸化炭素の排出量を1万トン近く削減する効果があるとしています。

排出量取引で調達した燃料は通常よりもコストは割高になりますが、各社では5月に開催されるG7広島サミットにあわせて運航することで、航空業界の脱炭素への機運を高めたいとしています。

航空業界では、植物や廃油などが原料で二酸化炭素の排出量削減につながるとされる代替燃料のSAFの普及が期待されていますが、生産できる量が現状では限られていて国内の航空各社では、こうした手段なども活用し、脱炭素を進めていく方針です。

全日空 村主典陽 調達部長
「SAFは、現状では数量が非常に少ない。二酸化炭素の排出量を実質ゼロにした燃料は、国内のさまざまな空港で脱炭素のために今後活用できる手段だ」

脱炭素社会へ “個人の意識を高めるサービスも”

脱炭素社会の実現に向けた意識の高まりにつながりそうなサービスも登場しています。

個人の日頃の生活や行動でどの程度、二酸化炭素が排出されるかを“見える化”する新たなサービスが相次いでいます。

このうち、スマートフォンのアプリを使ったシステムは、会社のオフィスでの活用を想定しています。

室内のさまざまな場所にセンサーを取り付け、従業員の位置情報と、空調や照明の使用状況をもとに従業員1人あたりの二酸化炭素の排出量を推計します。

そのうえで、例えば、フリーアドレスの職場で場所を移動することでむだな照明や空調を減らすなど、従業員それぞれに通知機能を使って行動を促します。

開発した「日建設計デジタルソリューションラボ」 大浦理路さん
「一人一人の行動を積み重ねればオフィス全体の排出量の削減につながり、むだなコストも減らせる」

また、IT大手のヤフーは、スマートフォンなどの地図サービスで、目的地までの移動に伴う排出量を推計して表示する機能を新たに設けました。

車や鉄道、それに飛行機など主な移動手段ごとに表示され、利用者は、環境への負荷も考慮しながら移動手段を選ぶことができます。

こうした新たな“見える化”の動きは脱炭素社会の実現に向けた意識の高まりにもつながりそうです。

金融面で“脱炭素化後押しを”

金融面で脱炭素化を後押しようという動きもあります。

三菱商事は、三菱UFJ銀行などとともに、脱炭素化につながる技術を持つスタートアップ企業などに投資するため、この分野では国内で最大規模となるおよそ1350億円にのぼるファンドを立ち上げることになりました。

このファンドは脱炭素社会の実現に向けて三菱商事と三菱UFJ銀行、それに韓国の投資会社が共同で立ち上げた会社が運営します。

投資の対象は、▽水素や洋上風力発電などの再生可能エネルギー、▽植物や廃油を原料とする代替燃料のSAF、それに、▽二酸化炭素を回収して地下深くに封じ込める「CCS」といった脱炭素化につながる技術を持つ欧米のスタートアップ企業が中心となる見通しです。

運営会社では、企業に出資を募ったうえで2024年4月までに、この分野では国内最大規模となるおよそ10億ドル、日本円でおよそ1350億円を集めて投資にあてる計画で、すでにおよそ4億ドルが集まっているということです。

ファンドでは、実用化が近い技術を持つ企業への投資を想定しているということで、金融面で脱炭素化を後押ししたいとしています。

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