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日本の推計人口 2070年には約8700万人 千葉 流山市の少子化対策とは?

  • 2023年4月27日

およそ50年後の日本の姿を示す新たな人口の推計が出ました。

国立社会保障・人口問題研究所が2020年の国勢調査をもとにまとめた推計では、いまは1億2000万人を超えている人口は2056年に1億人を割り込み、2070年にはおよそ8700万人にまで減るとしています。

高齢者の割合は4割近くになり、少子化のスピードはいちだんと早まるとしています。

こうしたなか、子育て支援に力を入れ「共働きの若い世代」を呼び込む取り組みを続けているのが千葉県流山市です。
今回、新たに示された日本の人口の推計と千葉県流山市の少子化対策についてまとめています。

50年後 日本人口 “約7割にまで減少”

国立社会保障・人口問題研究所は3年前、2020年の国勢調査の結果をもとに、外国人を含む日本の人口について最新の推計をまとめました。

それによりますと2020年は1億2615万人だった人口は2056年に1億人を割り込み、2070年には8699万6000人に減少するとしています。

2020年から50年でおよそ7割にまで減少することになります。

日本の人口推計…年代別

■高齢者の人口…総人口と65歳以上の推計■

高齢化はどこまで進むのか。日本の人口推計を年代別にみてみます。

上の表のいちばん上のオレンジ色で示した部分が65歳以上です。
人口全体は減っていきますが、オレンジ色で示した部分の幅はあまり変わりません。

具体的に見ていきますと、65歳以上の人口は2020年は、総人口の28.6%にあたるおよそ3603万人でした。推計では、その後は増加傾向が続き、1971年から1974年に生まれた「第2次ベビーブーム世代」が65歳以上になったあとの2043年にはおよそ3953万人とピークを迎える見込みだとしています。
そのあとは減少に転じ、2070年には総人口の38.7%にあたるおよそ3367万人となる見込みだとしています。

■子どもの人口…総人口と0~14歳の推計■

反対に、いちばん下の黄緑色=14歳までの子どもをみると、次第に幅が狭まっていくことがわかります。

具体的に見ていきますと、0歳から14歳までの人口は2020年は総人口の11.9%にあたるおよそ1503万人でした。推計では、その後は減少傾向が続き、2053年には1000万人を割り込み、2070年にはおよそ797万人と総人口の9.2%まで減少する見込みだとしています。

1年間に生まれる子どもの推計 2070年50万まで減少か

そこで、1年間に生まれる子どもの数の推計もみてみましょう。
1人の女性が一生のうちに産む子どもの人数の指標となる「合計特殊出生率」は2020年は1.33でした。

推計では、新型コロナの影響で結婚の件数が減少したことなどを踏まえ、2023年には1.23まで低下するほか、2020年代は1.30を下回る傾向が続くと仮定しています。

その後は外国人の増加などに伴って上昇し、2070年には1.36になると仮定しています。

こうした仮定をもとに推計したところ、1年間に生まれる子どもが70万人を割り込むのが2043年で、前回、6年前の推計よりも3年早まると予測しています。

さらに、2070年には50万人まで減ると推計しています。

また1年間に生まれる子どものうち、外国人を除いた日本人の子どもの数が70万人を下回るのは2038年と予測していて、こちらは前回の推計よりも5年早まるとしています。

現役世代の負担…ますます重くなる

いま見てきた少子高齢化が現実のものとなれば、現役世代の負担はますます重くなるとみられます。
2020年の時点では高齢者1人を現役世代2.1人で支えていたのが、2070年には現役世代1.3人で支えなければなりません。専門家はこう指摘しています。

人口問題に詳しい日本総合研究所 藤波匠 上席主任研究員
「人口減少や少子化を外国人の流入でカバーする形になっていて、日本人だけでは人口減少に歯止めをかけることが難しいことが明らかになったと思う。日本全体で人口が少なくなるわけで、社会保障や経済成長にとってもマイナスになるので、今後、社会経済のあり方を変えていく必要がある。インフラなどの整理やコンパクトシティーの発想が必要になってくる」

今回の推計を踏まえ厚生労働省は、年金財政の検証、そして少子化対策の検討などを進めることにしています。

共働きの若い世代を呼び込む 子育て支援とは?

その少子化対策ですが、子育て支援に力を入れ「共働きの若い世代」を呼び込む取り組みを続けているのが千葉県流山市です。

全国的に人口減少が続くなか、子育て支援に力を入れることで去年までの10年間で人口が2割ほど増加しました。千葉県流山市は人口が2013年には16万7000人あまりでしたが、2021年に20万人となり、4月7日には21万人を超えています。

流山市は都心から電車でおよそ30分という利便性が高い立地をいかし「共働きの若い世代」を呼び込むため、子育て支援に力を入れてきました。

そのうちのひとつが保護者の代わりに保育園に子どもを送迎する「送迎保育ステーション」です。

この施設は、市内の2つの駅の隣接地に2007年に設置され通勤前の保護者から預かった子どもをバスで市内の保育園に送迎し夕方、再びこの施設に送り届ける仕組みで、保護者は駅の近くで子どもを迎えることができます。

月額2000円、1日100円という価格で利用でき、子どもののべ利用者数はこれまでに56万3000人あまりにのぼっています。(平成19年度~令和4年度)

都内の会社につとめ、2人の子どもの送迎にこの施設を利用している36歳の女性は「この取り組みが都内から流山に引っ越す理由のひとつでした。出勤の際の送迎の時間がかなり短縮されるので助かっています」と話していました。

市では、こうした施策などを発信する「マーケティング課」を2004年に全国の自治体に先駆けて設置し市のプロモーションに取り組んでいます。

若い世代の心をつかむために「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」という独自のキャッチコーピーやポスターを作成して市の知名度の向上を図るとともに、イベントを開催したり実際の住民の姿をホームページなどで伝えたりして市の魅力を発信しています。

こうした、ターゲットをしぼった施策と発信を15年以上にわたって継続して移住者の獲得に成功し、いまでは、全人口に占める30代と40代の割合が3割と、高齢世代よりも多くなっています。

また、1人の女性が一生のうちに産む子どもの人数の指標となる「合計特殊出生率」も2009年から全国の平均を上回っています。

流山市マーケティング課 河尻和佳子 課長
「選ばれるまちになるために、どんな伝え方や施策が必要かを市全体で考えて取り組んでいます。今後は人口の伸びは緩やかになっていくと思うので、一定数の転入は保ちつつ、すでに住んでいる方々が住み続けたいと思う発信や駅周辺以外も含め市全体のにぎわいを創出できるようにしていきたい」

日本総合研究所 藤波匠 上席主任研究員
「若い人たちの出生への意欲を引き上げる最大のポイントは、経済雇用環境の改善だ。若い人たちの賃金が将来的に上がっていく、自分たちの暮らしが豊かなっていうことを見通すことができる社会になるよう、経済や雇用の環境の改善を少しずつでも実現していくことが必要だ。そのためにも、日本人も外国人も日本で子どもを育てたいと思えるような社会を作っていくことが求められる」

将来の人口 どのように推移する?

国立社会保障・人口問題研究所は今回の推計結果に基づいて、具体的に将来の人口がどのように推移していくのかを節目となるタイミングごとに年表にしてまとめています。
※「()内は前回推計」

2022年(2033年) 外国人を含めた日本で生まれる子どもの数が80万人を下回る。
2024年(2023年) 100歳以上の人口が10万人を超える。
2027年(2025年) 65歳以上の人口の割合=「高齢化率」が30%を超える。
2031年(2030年) 日本で死亡する人の数が160万人を超える。
2031年(2030年) 総人口の平均年齢が50歳を超える。
2032年(2029年) 15歳から64歳までの「生産年齢人口」が7000万人を下回る。
2033年(2040年) 0歳から14歳までの「子どもの人口」が1200万人を下回る。
2035年(2032年) 18歳の人口が100万人を下回る。
2040年(2039年・168万人) 日本で死亡する人の数がおよそ167万人でピークを迎える。
2043年(2042年・3935万人) 65歳以上の「高齢者の人口」がおよそ3953万人でピークを迎える。
2043年(2046年) 外国人を含めた日本で生まれる子どもの数が70万人を下回る。
2044年(2042年) 総人口が1億1000万人を下回る。
2044年(2052年) 18歳の人口が80万人を下回る。
2056年(2053年) 総人口が1億人を下回る。
2067年(2063年) 総人口が9000万人を下回る。
2067年(2063年に50万人) 100歳以上の人口が50万人に達し出生数を上回る。


また、国立社会保障・人口問題研究所は、2071年から2120年までについても長期の人口の推移分析の参考として出生率などを一定にした上で予測しています。
 

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