1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 関東の観光地で入場料など値上げ相次ぐ なぜ?その理由や背景は?

関東の観光地で入場料など値上げ相次ぐ なぜ?その理由や背景は?

  • 2023年4月21日

まもなく迎える大型連休。ことしは、国内旅行をする人が、コロナ禍前の2019年と同じ水準まで回復するという、大手旅行会社の見通しも出ています。
こうしたなか、関東の観光地には、原材料やエネルギー価格などの高騰の影響を受けて、入場料などを値上げする動きが相次いでいます。

燃料費の上昇…観光遊覧船の乗船料値上げ

国内有数の観光地、栃木県日光市では4月14日、中禅寺湖を周遊する観光遊覧船の乗船料が、大人で1400円から1680円に2割、値上げされました。

この遊覧船は毎年、春から秋にかけて運航され、およそ1時間をかけて湖を周遊しながら奥日光の雄大な自然を楽しむことができ、国内外の観光客から人気を集めています。

遊覧船を運航する会社によりますと、燃料となる軽油代の上昇に加えて、メンテナンスにかかる部品やオイル代なども値上がりしていることから、乗船料を上げざるを得なくなったということです。

乗船料の値上げは、今の会社が経営を引き継いだ平成13年以降では、消費税率の上昇時をのぞくと、今回が初めてだということです。

遊覧船の運航会社 東武興業 山野井秀一 支配人
「船の故障や事故を起こさず、中禅寺湖の周遊を安全に楽しんでもらうため、料金の改定にご理解いただきたい」

電気代の高騰で…

さらに、子どもたちに人気の動物園にも値上げの波が押し寄せています。
那須町の動物園「那須どうぶつ王国」は3月、大人1人分の入園料を、以前より200円高い2600円に値上げするなど、5年ぶりとなる料金の改定を行いました。

この動物園では、およそ150種類、600頭の動物を飼育していますが、それぞれの動物の生息環境にあわせて、展示コーナーの温度や湿度などを調節する必要があります。

なかでも、ジャガーやワオキツネザルなど、熱帯の湿地で暮らす動物のコーナーでは、広い展示スペースを冬でも暖かく保つ必要があり、電気代の高騰が、値上げの大きな要因になったということです。

動物園は今年度、園全体でかかる電気代について2年前のおよそ2倍の7300万円ほどになると、試算しているということです。
また、動物のエサ代も高騰していて、人気のアザラシのえさやり体験の料金を100円から200円に値上げするなどして、対応しているということです。

那須どうぶつ王国 鈴木和也 総支配人
「動物ファーストで考えるとただ節約することもできません。値上げ幅より高い価値を感じてもらえるよう努力します」

日光江戸村や鬼怒川ライン下り等も…

さらに栃木県内の観光施設では、去年秋からこの春にかけて、料金の値上げが相次いでいます。

日光市の「日光江戸村」は、大人1人分の入場料金を4800円から5800円に値上げしました。

また、日光市の鬼怒川を舟でくだる「鬼怒川ライン下り」は、料金が2900円から3200円になりました。

このほか、足利市の「あしかがフラワーパーク」も、名物の藤の花が見頃となるピーク時の料金を、2000円から2100円に値上げするなど、料金の改定を行いました。

いずれも、エネルギーや原材料価格などの高騰が一因になっているということです。

観光用ロープウエーも…

鉄鋼や電気代などの高騰を受けて、値上げに踏み切るところも出ています。

千葉県の富津市と鋸南町にまたがる標高329メートルの鋸山は、断崖が垂直に切り立った「地獄のぞき」や、江戸時代から使われていた石切場の跡などが人気となっている観光名所です。

その山頂付近とふもとを結ぶ観光用のロープウエーの運賃が3月から3割程度、値上げされました。

運行会社によりますと、設備の改修に使われる鉄鋼などの原材料費や、電気代などが高騰しているため、値上げに踏み切ったということです。

今回の値上げは、消費税率の改定などに伴う値上げを除くと、30年ぶりだということです。

これにより、往復の普通運賃は中学生以上が950円から1200円に、小学生が450円が600円にそれぞれ値上げされました。

鋸山ロープウェー 勝田佳男社長
「これまでの運賃では経営がままならないところがあり、運賃を改定させていただきました。大型連休にはぜひ多くの方に来ていただいて鋸山の自然を堪能してもらいたい」

ページトップに戻る