日本でマスクの着用が個人判断になって2週間あまり。
日本の優勝に沸いた野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックの決勝が行われたアメリカの球場の外では、ほとんどの人がマスクをしていないようでした。
一方、東京のパブリックビューイング会場では、マスク姿の人が多くいました。
マスクの着用が個人の判断になって、コロナ禍の生活習慣はどのように変化しているのか、海外の状況などを交えながらまとめました。
日本でマスクの着用が個人判断になって2週間あまりです。
この間に皆さんの意識はどう変化しているのか、聞いてきました。
40代女性
「仕事上は付けていますが、ふだん、買い物時は外して、忘れたと思ってもそのままでいいんだという安心感があります」
10代女性
「いまはつけてますけど、大学の入学でちょうど区切りなので、外そうかなと思ってます」
10代男性
「街中とかを歩いたりする時はつけないんですけど、人と話したりとか、室内で密な空間になっている時はつけたりします」
20代女性
「とる方が恥ずかしい。すっぴんがさらせないとか」
マスクの着用が個人の判断に委ねられ、時間の経過と共に意識はどう変化しているのか。
東京大学の仲田泰祐准教授と一橋大学の高久玲音准教授のグループは、去年8月から毎週、マスクの着用状況についてインターネットでアンケート調査を続けていて、着用が個人の判断に委ねられた3月13日より前の3月第1週の時点のデータを公表しました。
それによりますとマスクを「常にしている」、または「おおむねしている」と答えた人の割合は、人通りの少ない街なかを歩いているときでは66.5%、百貨店などで静かに買い物をするときでは82.6%で、去年からおおむね横ばいの状態が続いているということです。
マスクを着用するべきかどうかの考え方を尋ねると、「外してもよいと思う」、または「どちらかというと外してもよい」という人が、人通りの少ない街なかを歩いているときでは67.3%、百貨店などで静かに買い物をするときでは30.8%で、ことしに入って増加傾向だということです。
一方、「マスクを外してもよいと思うものの、実際にはマスクを着用している」という人の割合は、人通りの少ない街なかを歩いているときでは44.6%、百貨店などで静かに買い物をするときでは26.4%だったということです。
また、マスクを着用するかどうかの判断に使う情報を複数回答で尋ねると、多い順に、住んでいる地域の感染状況が最も多く50.8%、周囲の着用状況が35.2%、住んでいる地域の医療のひっ迫度合いが26.7%、新型コロナ以外の健康上の理由が26%、慣れが25.4%だったということです。
マスクの着用、海外ではどうなっているのか。
韓国では、日本より一足先の1月下旬、屋内でのマスク着用が「義務」から「勧告」に緩和されています。
デパートで客が増えているのが化粧品売り場です。
マスクをしないことを意識して、口紅やチークなどの売り上げは2月、前の年の同じ月と比べて30%以上伸びたということです。
化粧品売り場 担当者
「自由に行動できるという気持ちになり全体的に売り上げの伸びが期待できる」
一方、アメリカは屋内でのマスクの着用義務がすべての州で撤廃されています。
調査会社によりますと、『自宅を出るときにマスクを着用しているか』という質問に対し、「いつも着ける」という回答は最も多い時で76%に上っていました。
質問が異なるため単純に比較はできませんが、2月、「公共の場所でマスクを着けるか」尋ねたところ、「いつも着ける」は12%でした。
マスクをすることにあまりなじみがなかったアメリカでも、一定の人たちには定着してきたようです。
このうち、ニューヨーク市内のこちらの書店では、店内ですべての人にマスク着用を求めています。
子ども連れや高齢の客も多いため、持っていない人のためのマスクも店で用意するほどです。
アメリカの状況についてマスクの効果を研究するバージニア工科大学リンジー・マー教授は、「『屋外で常にマスクを着ける割合が10~20%でも驚かないです。これがアメリカの「新しい生活様式」なのではないか」と話しています。