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鉄道駅バリアフリー料金制度 10円上乗せ 定期券は?ホームドア整備も

  • 2023年3月20日

「鉄道駅バリアフリー料金制度」
バリアフリー化を進めるための費用を運賃に上乗せする制度を活用し、首都圏のJRや一部私鉄の運賃が3月18日から引き上げられました。普通運賃に一律で10円が上乗せされるほか、通勤定期の運賃も加算されています。各社は、駅のホームドアなどの整備を加速させることにしています。バリアフリーの現状や今後の整備予定などについてまとめました。

鉄道駅バリアフリー制度とは

「鉄道駅バリアフリー料金制度」は、駅などのバリアフリー化を進めるため、転落防止のホームドアやエレベーターの設置などの費用を運賃に上乗せして鉄道の利用者に幅広く負担してもらう国の制度で、2021年、創設されました。

鉄道事業者は、国土交通省に事前に「届け出」を行う必要があり、その際、運賃の上乗せ分を駅などのバリアフリーの整備にどう使うのか、具体的な計画を国に提出し公表することも求められています。その後もバリアフリーの整備の進ちょく状況について年度ごとの公表が求められます。

また、国土交通省は家計の負担を配慮して通学定期については運賃を上乗せしないよう鉄道事業者に求めています。

制度活用の路線 運賃の上乗せ 通勤定期では

制度を初めて活用して料金を上乗せしたのは、JR東日本の首都圏の主な路線と、東京メトロ、西武鉄道、小田急電鉄、横浜高速鉄道、東武鉄道、相模鉄道、それにJR東海の一部です。
このうちJR品川駅では18日未明、高さ1メートル、幅4.7メートルの運賃の表示板などを新しくしたり、券売機の脇にある運賃表を取り替えたりする作業が行われました。

普通運賃に一律で10円が上乗せされるほか、通勤定期の運賃も、1か月の場合であればJR東日本は280円、東京メトロは370円、私鉄は600円が加算されます。

各社の計画 小田急電鉄

制度を活用する各社の計画です。このうち小田急電鉄は70駅中、特に利用者数が多い8駅でホームドアを設置していて、新宿駅では2022年3月までに長さ200メートルにわたってホームドアが設置されました。

小田急電鉄によりますと今年度からの10年間に、30駅でホームドアを設置する計画で費用はおよそ450億円を見込んでいます。

維持管理も含めてバリアフリー設備の費用は以前から課題だったということですが、制度の活用によりホームドアの設置は従来の2倍近いペースで進められる見込みだとしています。

各社の計画 西武鉄道

西武鉄道は、ホームドアについて、2021年度末までに池袋駅や西武新宿駅など6つの駅で設置しましたが、整備率は91駅全体の6%余りにとどまっています。今回の引き上げによる増収分を整備費に充て、2030年度までに28駅でホームドアの整備を進める計画です。

2030年度までには、視覚障害のある人のためホームやトイレなどの位置を点字で示した案内図や、改札の前などで音を鳴らして位置を知らせる設備を10駅で整備するほか、聴覚障害のある人のため、遅延や運休などの情報を画面に文字で表示する設備を61の駅で整備していくことにしています。

このほか、車いすの利用者などに配慮し、段差解消のためのスロープや列車内のフリースペースなども整備していく方針です。

各社の計画 横浜高速鉄道

横浜高速鉄道によりますと、横浜駅から元町・中華街駅までを走るみなとみらい線では6駅すべてでホームドアの設置が完了していますが、さらにバリアフリー設備を拡充する方針です。

このうち、一般のトイレもブースも広くしてベビーチェアを設置するほか、電車内の車いすやベビーカーのためのスペースを1編成あたり現在の2か所から4か所に増やすことにしています。
また、開業当初からおよそ20年使われているエレベーターやエスカレーター設備の更新にも活用する方針です。

バリアフリー化の状況

国土交通省は3月、2022年3月末時点のバリアフリー化の状況を公表しました。それによりますと、1日あたりの利用者数が3000人を超える駅など3348駅のうち、通路の段差が解消された駅が93.6%、障害者に対応したトイレが設置された駅が91.9%などと、都市部を中心に多くの駅で進められています。

一方で、1日あたりの利用者数が10万人以上の駅でホームドアが設置された乗り場の数は406か所と44.6%にとどまっています。地方鉄道も含めて全国に2万か所近くある乗り場の1割余りとなっています。

国土交通省はホームドアを2025年度までに全国で1日あたり10万人以上が利用する駅のほとんどにあたる800か所を含む、優先度の高い3000か所に整備することを目標にしています。

障害者 ICカード利用の割引きが便利に

障害のある人がICカードを利用して運賃の割引きを受けられるサービスが3月18日からはじまりました。これにより、関東地方と新潟県、宮城県の一部などでは事前に発行された専用のICカードを使うと自動改札機で割引を受けられるようになりました。

専用カードは定期券の販売窓口などで発行され、障害者手帳などの提示が必要になります。対象は障害がある人と介護にあたる人です。

これまで障害のある人が鉄道やバスでSuicaやPASMOなどのICカードを使う場合は、その都度、駅員のいる改札で障害者手帳を示して運賃の割引を受けていました。

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