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梅毒の感染者急増 症状は? 東京都が無料検査 1時間で結果判明

  • 2023年3月3日

梅毒の感染者が急増しています。
東京都内でも去年の感染者は過去最多の3677人と、10年前のおよそ12倍に急増していて、男性は20代から50代、女性は20代の感染者が増えています。
これを受け、東京都はその日のうちに結果がわかる無料の臨時検査会場を設けています。
無料検査の詳細と、梅毒の症状についてまとめました。

東京都内の感染者は過去最多

国立感染症研究所によりますと、去年1年間に国内で報告された梅毒の感染者数は、速報値で1万2966人で、前の年の7983人と比べて1.6倍となり、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降、最も多くなりました。
梅毒の感染者数は、2012年には875人でしたが10年でおよそ15倍にまで急増しています。

東京都内でも過去最多の3677人と、10年前のおよそ12倍に急増していて、男性は20代から50代、女性は20代の感染者が増えています。

放置すると深刻な症状に

専門家は、性風俗産業の従事者や利用者が感染者のうち一定の割合を占める一方で、インターネットを通じて出会った不特定の人との性行為を通じて感染が拡大している可能性も考えられるとしています。

梅毒は、主に性的な接触によって広がる細菌性の感染症で、薬で治療できますが、治療せずに放置すると深刻な症状を引き起こすこともあります。

日本性感染症学会監事 日本大学 川名敬教授
「梅毒患者が1万人も日本にいること自体が驚きで、非常に多い数だと思う。自治体でも無料で検査ができるので、感染したかもと思ったら、すぐに検査を受けることが大切だ」

臨時の検査場 無料検査

東京都は、3日から都内に臨時の検査会場を設けて、受け付けをしてから1時間ほどで結果がわかる無料検査を始めました。

会場の1つの新宿区の「東京都健康プラザハイジア」では採血のスペースや、検査機器が用意されていました。

この会場では、3月22日から24日までの3日間にも、午後1時から5時半まで検査を受けられます。

検査会場と日程は次の通りです。

7日 墨田区「すみだ産業会館」  午後5時半から9時半まで
11日 立川市「立川商工会議所」 午後4時半から8時半まで
16日 多摩市「パルテノン多摩」 午後1時半から5時半まで
22日~24日 新宿区「東京都健康プラザハイジア」 午後1時から5時まで

検査は1日あたり40人分の枠があり、電話での事前予約が必要ですが、名前や住所は明かさなくてもよいということです。

電話番号は050-3646-0101で、午前10時から午後8時まで土日、祝日も受け付けています。

東京都感染症対策部 西塚至担当部長
「梅毒は自覚症状がないなど忍び寄る感染症とも言われ、知らずのうちに広めてしまうこともあるので、早期の発見と治療をお願いしたい」

梅毒の症状はどう進む?

日本性感染症学会のガイドラインなどによりますと、梅毒は大きく3つの段階を経て進行します。

●早期梅毒の時期
感染から1年未満の梅毒は「早期梅毒」と言って、性的接触での感染力が強いとされています。

「第1期」
感染から1か月程度たった時期。原因となる細菌が入り込んだ場所を中心に、3ミリから3センチほどの腫れや潰瘍ができます。この症状は数週間で消えてしまうことがありますが、梅毒が治ったわけではありません。痛みやかゆみを感じることはほとんどないとされています。

「第2期」
感染から1~3か月程度たった時期。細菌が血液によって全身に運ばれるため、手や足など全身に赤い発疹が現れることがあり、発疹がバラの花の形に似ているとして、「バラ疹」と呼ばれています。

このほか、発熱やけん怠感など、さまざまな症状が出ることがあります。この段階でも、症状が自然に消えることがありますが、梅毒が治ったわけではありません。

●後期梅毒の時期
感染から1年以上たった梅毒は「後期梅毒」と言って、性的接触での感染力はないとされていますが、臓器などに深刻な症状が出ることがあります。

「第3期」
感染から3年程度たって以降。全身で炎症が起こり、骨や臓器に「ゴム腫」と呼ばれるゴムのような腫瘍ができることがあるほか、治療薬が普及していない時代は、大きなできものができたり、鼻が欠けたりすることがありました。

さらに進行すると、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひが起きたり、動脈りゅうの症状が出たりすることがあります。ただ、現在の日本ではこの段階まで進むことはほとんどありません。

先天梅毒 症状は

一方、妊婦が感染した場合、流産や死産のリスクが高まるとされています。また、日本大学の川名敬主任教授らのグループの研究によりますと、妊婦自身の治療を行っても2割程度のケースで母子感染が起こり、赤ちゃんが梅毒に感染した状態で生まれる「先天梅毒」になっていたということです。

先天梅毒では、生まれて間もない時期に発疹や、骨に異常が出ることがあるほか、乳幼児の間は症状がなくても数年後に目の炎症や難聴などの症状が出ることがあるということです。

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