1月、東京都千代田区内神田にちょっと変わった博物館が開館しました。
その名も「絶滅メディア博物館」です。
展示しているものは、古くなって使えなくなったフィルムカメラやビデオカメラ、それに1964年に開かれた東京オリンピックのプレスセンターでも使われたタイプライターなどです。
自宅にあるという方も多いと思いますが、捨てようとするといろいろ思い出して手が止まっちゃうと思います。そんな思い出が詰まった機器を展示する博物館を取材しました。
1月、東京・内神田のオフィスビルが立ち並ぶ通りに「絶滅メディア博物館」オープンしました。
展示されているのは、ほとんどお目にかかることがなくなったカメラなど、メディア機器およそ1000点です。
1964年に開かれた東京オリンピックのプレスセンターでも使われた国産のタイプライター。
そして、アメリカ製の8ミリフィルムカメラ。ビデオが普及する前は、憧れの高級品でした。
ほかにも、れい明期のパソコンや、さまざまな規格の記録メディアなどが展示されています。
この博物館を設立した川井拓也さんです。
貸しスタジオを経営するかたわら技術の進化と消費者のニーズを受けて変化していくメディア機器に興味を持ち、長年、集めてきました。
博物館の館長 川井拓也さん
「今はスマートフォンに全部集約されているので形が変わらなくなったが、ちょっと前は、カメラの形が変わったり、テープが変わったりとか、大きさが変わったりと、いろんな変化があった。それらの変化でメーカーの試行錯誤が手に取るように分かるんですよ。すべての物は変化をして、一番最適な物が生き残っていく、この『切なさ』みたいなものを共有する」
こちらは川井さんお気に入りのカメラです。
円盤状のフィルムを回転させて撮影します。カメラの薄型化に成功しますが広く普及はしませんでした。
こちらの男性が博物館に預けているのはフロッピーディスクに画像を記録するカメラ。
見たこともなかった仕組みを持つこのカメラに魅力を感じ、手に入れた品だといいます。
マビさん
「重くていろんな機能を付け足していってという物の方が魅力的に感じますね。今の洗練された物より複雑さがあって面白いです」
展示品の8割以上は全国から集まった寄贈品です。
「使わないけど、捨てられない」そんな思いがこもった品々が全国から送られてくるそうです。
神奈川県で暮らす橋本康二さんです。
SNSで博物館のことを知り、生前、父親が愛用していたカメラを寄贈しました。
家族の楽しい思い出が詰まったカメラで、博物館を訪れた人が懐かしい記憶を振り返るきっかけになるのではと考えたからです。
橋本康二さん
「皮膚の感触ってすごく記憶に残る、当時の事をすごく思い出す。空気感まで思い起こすことができます。もし同じ年代の人がこれをもってもらったら、それがわかるんじゃないかなと思います」
現代、誰もが使うようになったメディア機器。
展示を通して、使った人の思い出も共有できる博物館にしたいと川井さんは考えています。
博物館の館長 川井拓也さん
「思い出ってみんなすごく大切な物なんです。子どもが生まれたとか家族ができたとか、引っ越したとか、そういう思いをここに寄贈してもらって愛着とか思い出自体を展示しているような気がします」
実は「絶滅メディア博物館」は、高円寺にもあって、こちらでは年代物の携帯電話や音楽プレーヤーが展示されているそうです。