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空き家対策「管理不全空き家」とは 指定で固定資産税の減額解除も

  • 2023年2月1日

全国の居住目的のない空き家は2018年には349万戸にのぼっています。国は管理が不十分な物件について新たな制度を導入する方針を固めました。「管理不全空き家」に指定して改善されない場合は空き家の固定資産税を減額する措置を解除するということです。空き家をめぐる課題や対策の仕組みと狙いなどをまとめました。

空き家 全国で349万戸(2018年時点)

総務省の調査では、2018年の時点で居住目的のない空き家の総数は全国で349万戸と20年前から1.9倍に急増しています。

都道府県別では、数が多い方から、大阪府が20万9200戸、東京都が18万戸、北海道が15万7300戸、兵庫県が15万1900戸、神奈川県が14万7700戸などとなっています。

空き家をどうすればいいのかわからない

自分が空き家の所有者になったらどうするか。相模原市では定期的に専門の業者による相談会が開かれていて、1月28日の相談会には市内に空き家がある加藤雄一さんと典子さん夫妻が参加しました。

建物は35年前に建てられましたが、父親が亡くなったあと住む人がいなくなり、およそ3年間そのままにしてきました。今後、業者のアドバイスも参考に空き家をどうするか検討することにしています。

解体すると6倍 税の仕組みでためらいも

税の仕組みによって「空き家」の処分をためらった人もいます。埼玉県内に住む50代の女性は、空き家になった築およそ50年の住宅の処分も検討しました。
ただ、今の制度だと住宅があったままの場合は固定資産税が減額され、年間2万円余りで済む一方、取り壊してさら地にすると6倍に増えることもあり、「空き家」のまま放置しました。

〇固定資産税
・住宅ありの土地 減額(年間2万円余) 
・取り壊してさら地 6倍に増加

その後、女性は、空き家がある久喜市が新たに始めた、空き家を撤去すれば一定期間、固定資産税を減額できる制度を利用し、解体業者の協力も受けて空き家を処分しました。

女性
「固定資産税を減額する制度で処分できたが、今のままでは何もしない方が楽だと消極的な理由で放置してしまう人は多いのではないか」

新制度「管理不全空き家」税減額措置の解除も

全国で増え続ける「空き家」の問題について1月31日、国の審議会で協議され、国土交通省は、新たな制度を導入する方針を固めました。

空き家対策をめぐっては、これまで国は放置すると倒壊する危険性があるなど特に危険性が高い物件を「特定空き家」に指定し、撤去などができるようにしていました。

新たな対策として国土交通省は「管理不全空き家」という区分を設けます。放置すれば「特定空き家」になるおそれがある場合に指定され、窓が割れていたり雑草が生い茂ったりしている物件を想定しているということです。

これまでの制度では空き家でも、住宅として固定資産税が減額されるため放置につながっていると指摘されてきましたが、指定された空き家で状況が改善されない場合はその減額の措置を解除するとしています。

現状の試算では「管理不全空き家」は全国で50万戸にのぼる見込みで、所有者に空き家の撤去など適切な管理を促すねらいです。

専門家 “住まいにも終活が必要だという時代に”

空き家問題に詳しい明治大学の野澤千絵教授に今回の国の方針や空き家の所有者にできることなどについて聞きました。

〇国の方針について
空き家を早い段階で売る、貸す、解体するなどの適切な管理を促すもので有効な手段だ。ただ、管理不全になった場合の罰則的な措置だけでなく、解体を検討している人に対する支援策の充実も必要だ。

〇所有者にできること
空き家は時間がたつほど売れにくく問題も複雑になる上、解体コストも増えていく。家を相続したら長期間先送りにせず、空き家が売れたり貸せたりする段階で動き出すことが非常に重要だ。『住まいにも終活が必要だ』という意識を持つことが必要な時代になってくる。

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