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コロナ5類 マスク アクリル板 ハンドドライヤー 現場の変化と意識は

  • 2023年1月31日

新型コロナの位置づけが「5類」に移行されることが決まり、マスクの着用についても政府は屋内外を問わず、個人の判断に委ねることを基本とするよう見直す方針で、検討を進めています。こうしたなか、コロナ禍で行われていた対策の変化を見越した動きも出てきています。くらしや意識も変わっていくのか、専門家の見方とあわせまとめました。

“マスク着用を自由化” 社員の対応は

東京・港区のSNSを活用したマーケティング会社では2022年10月に、一足早く社内でのマスク着用の“自由化”を宣言しました。
会社では、当時は比較的、感染状況が落ち着いていたことや、スペースに余裕のある拠点に移ったことなどを踏まえ総合的に判断したといい、リモートワークも併用しているほか、社外の人と面会する場合はマスクの着用をルールにしています。

マスクを外している人

暑がりでマスクを外したいと思っていました。任意を表明してくれたので、「あの人外している」という目で見られず気が軽くなりました。

マスクをしている人

慣れもありますし、小学生の子どもがいるので万が一の感染を考えて着けています。社内ではスペースもあり、好きな場所で作業できるのでまわりが外していても気になりません。

3か月たった現在は、出社する社員の3割から4割がマスクを外して仕事をしていて、自由化したあとも社員の間でも判断が分かれているということです。

ラバブルマーケティンググループ 林雅之社長
「コロナ禍での働き方はデジタル化が強制的に進められたというポジティブな点もあったが、先輩後輩の関係性や見て学ぶという成長機会が失われた問題点も見えた。マスクを外さない人も尊重しますが、顔の見える関係性が育まれるメリットも感じています」

3倍以上になったマスク需要

全国のマスクメーカーなどでつくる「全国マスク工業会」によりますと、加盟するおよそ250社が国内で生産したり輸入したりした家庭用マスクの量は、コロナ禍の前の2018年度は42億8400万枚でしたが、2021年度は147億5700万枚と感染拡大前の3倍以上に増えました。

今後については「一定の需要はあると見込んでいて、コロナ禍前に完全に戻ることはないとは思うが、生産量や輸入量は徐々に減っていくだろう」としています。

ハンドドライヤー販売8割減

神奈川県愛川町のハンドドライヤーを製造する会社では、コロナ禍の3年間に苦境を強いられてきました。
2020年5月に政府の専門家会議で感染リスクが指摘されると、この年の夏以降の販売台数は前の年と比べておよそ8割減少したということです。現在は政府も「使用できる」としていますが、販売台数は回復していないということです。

しかし、新型コロナの位置づけが「5類」に移行されることが現実味を帯びてきた12月以降、メンテナンスの依頼が出始めたということです。

東京エレクトロン株式会社 井上聖一社長
「コロナ禍で売り上げは壊滅状態になった。『5類』になったとはいえ、売り上げが元に戻るにはさらに1年ほどかかるかもしれないので、会社の存続のため需要の回復と合わせて新規事業の展開も考えたい」

アクリル板パーテーション 売り上げ100分の1

一方、飲食店などの感染対策に使われてきたアクリル板は、状況が一変しています。東京・葛飾区のアクリル板の加工販売会社では、ピーク時には会社全体の売り上げがコロナ禍前の3倍から4倍に伸びたということですが、現在、パーティション自体の売り上げは、100分の1程度に減っているということです。

会社では、今後、廃棄される可能性が高くなると見て、新たにリサイクル工場を作って新商品の開発に動き出していて、早ければことし4月にも生産を本格化させたいとしています。

「はざいや」菅原慎一 工場長
「コロナ禍では、アクリル板を利用してもらい、感染対策の力添えができてよかった。しっかり分別すれば再利用できるので、今後はリサイクルをメインに考え、喜んでもらえる新商品を作っていきたい」

制約の緩和 暮らしや意識の変化は

「5類」に移行し、さまざまな制約が緩和されることで、私たちの暮らしはどうなっていくのか。コロナ禍の人々の意識を研究している同志社大学の中谷内一也教授に聞きました。

〇インフルエンザのような意識に?
この数年間でどう対策をすればいいかが分かってきて未知のものではなくなってきた。『5類』に移行しても季節性インフルエンザのような感染症とすぐに同じ認識になるとは考えにくいが、時間がたてば近づいていくだろう。

〇マスク着用に変化は?
マスクをつける背景には感染対策に有効なだけでなく、自分だけ浮くのはまずいとほかの人の目を気にする面もある。マスクを外す人が連鎖的に増えていけば、周りが外したらはずそうと思っているボリュームゾーンが一斉に外すようになるのではないか。

〇家庭や職場の意識の変化は?
コロナ禍の3年間で、行動変容があったり働き方が変わったりして、人と接触して話をするといったごく当たり前のことがすごく価値のあるものだとわかった。一方で、オンライン会議や在宅勤務などお金だけでなく労力や気遣いなど広い意味でのコストが小さくでも、業務が成り立つとか同じような効用を得られるとわかったものはコロナ後も残ると思う。

WHOの緊急事態宣言から3年

WHO=世界保健機関は、1月30日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて出している「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言について、継続すると発表しました。
多くの国で、感染者数の確認が厳密に行われなくなり、実態把握が困難になるなか、WHOは各国に対し、ワクチンの追加接種を進めることや、変異ウイルスへの警戒を続けるとともに、詳しい感染データをWHOに提供するよう呼びかけています。

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