羽田空港近くの東京湾で撮影されたというトドとみられる動物。その動画がツイッターに投稿されました。
トドとみられる動物は、なぜこの場所に来たのでしょうか。そしてここにいて大丈夫なのでしょうか。トドの生態に詳しい専門家に詳しく教えてもらいました。
東京湾でトドとみられる動物が撮影された動画です。ツイッターに投稿されました。
トドとみられる動物が岸壁に横たわって、頭を上下に動かす様子が確認できます。
水族館でしか見たことがないような動物をたまたま見かけて、なぜ、こんなところにいるのだろうと思い、とても驚きました。
投稿した男性によりますと、1月15日の午前11時ごろ、東京湾で船に乗って釣りをしていたところ羽田空港近くの岸壁に動物がいるのを見つけ、スマートフォンで撮影したということです。
東京湾で撮影されたトドとみられる動物について、トドの生態に詳しい専門家に聞きました。北海道立総合研究機構=(道総研)の稚内水産試験場、後藤陽子研究主幹が答えてくれました。
写真を見ましたが、あれはトドですね。
報道では体長1メートル50センチくらいとありましたが、大人のメスは体長2メートルくらいあるので、1メートル50センチくらいだとすると、今回のトドは子どもだと思います。
後藤さんによりますと、トドは、ふだんはロシアのサハリン、もとの樺太周辺の海にいますが、10月の終わり頃になるとエサを求めて南下し、北海道の稚内市の宗谷岬の沖合に現れて1000頭を超える巨大な群れを作るということです。
今回のトドは北海道の北の海にいたのが、群れからはぐれてしまい南下していて東京湾にたどり着いたのだと思われます。とても珍しいケースです。
「陸に上がれるな」と思ってあの場所に来たのかもしれません。
群れがいない状況で、1頭だけで北海道の北まで自力で戻るのは難しいと思います。
トドのエサになるタコ・イカなどがあればしばらくは生きていけます。水温という面では今は冬なので、問題ないと思います。ただ、トドは元気なら海に潜って魚を捕って過ごします。上陸するのは弱っているときです。上陸している時間が長い場合は、疲れているのかもしれませんね。
トドは環境省が「準絶滅危惧種」に指定しています。
一方で北海道では定置網にかかったサケを食い荒らすなど漁業被害を及ぼしています。北海道付近に来る個体数を管理する計画も作られています。
東京湾のトドは一頭ですから影響はないと思いますが、そっと見守ってあげてほしいと思います。