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ビール税率引き下げ2023年10月 サントリー キリン アサヒ サッポロは

  • 2023年1月16日

ビール系飲料は、工場から出荷された段階で課税されることになっていて、「ビール」、「発泡酒」、「第3のビール」の3種類でそれぞれ税率が異なります。ビール系飲料の税率一本化に向けた酒税の改正で、最も高いビールの税率は下がります。販売を強化する大手メーカー各社の動きをまとめました。

ビール系飲料 2022年の販売数量や売り上げ

大手ビールメーカー4社は、ビール、発泡酒、それに第3のビールについて、1月13日までに2022年1年間の販売数量や売り上げを発表しました。

それによりますと前の年に比べて、アサヒビールが10.1%、サントリーが5%、サッポロビールが3.2%、それぞれ増加しました。
背景には、前の年に大きく落ち込んだ飲食店向けを中心とした業務用の販売が、コロナ禍での行動制限が減り、回復傾向となったことなどがあります。

一方、キリンビールは、家庭用の販売割合が大きいことなどから、前の年より2.5%減少しました。

ビール系飲料の酒税 改正で差が縮小

ビール系飲料は、工場から出荷された段階で課税されることになっていて、ビール、発泡酒、第3のビールの3種類でそれぞれ税率が異なりますが、3年後の2026年にかけて段階的に酒税が改正され、税率が一本化される予定です。

その一環として2023年10月には2回目の改正が行われ、ビールの税率が下がる一方、第3のビールは引き上げられます。

改正によって、350ミリリットル換算では、ビールがいまの70円から63.35円になります。また、第3のビールは37.8円から46.99円に変わります。

これでビールと第3のビールでは32円余りあった差が16円余りに縮まります。最終的には2026年に3種類すべての税率が、54.25円に一本化されます。

ビール系飲料 価格の見通し

〇缶ビール ↓ 第3のビール ↑
缶ビールは値下げとなる一方、第3のビールは値上げされます。例えば、コンビニで販売されているケースを想定してみますと、350ミリリットル缶で、税込み231円前後で販売されているビールの場合、224円前後に値下がりする見通しです。
逆に、第3のビールは、350ミリリットル缶で173円前後の商品の場合、183円前後になると見られます。

〇瓶や樽のビール コスト上昇
また、缶ビールは値下がりしても、飲食店向けなどの瓶や樽のビールは、値下げにならないということです。容器を回収して再び使う分、燃料費や物流費がかさみ、今回の減税分を差し引いても、これらのコストが上昇していて、一部のメーカーでは10月から、出荷価格を引き上げます。

大手メーカー各社の販売強化策 サントリー

大手メーカー各社は、2023年にビールの税率が下がることで需要があると見込んで、販売を強化する方針です。

サントリーは、ビールの主力商品の大規模なリニューアルを6年ぶりに行います。麦芽の皮を磨く製法で、コクの深さなどをより引き立たせたとしていて、こうした取り組みなどで会社ではことし、ビールの販売数量2022年より20%余り増やしたい考えです。

大手メーカー各社の販売強化策 キリンビール

キリンビールは、主力ブランドや味に特徴があるクラフトビールをリニューアルします。

大手メーカー各社の販売強化策 アサヒビール

アサヒビールは、少量のニーズにも応えるため250ミリリットル缶の商品を増やします。

大手メーカー各社の販売強化策 サッポロビール

サッポロビールは、高価格帯のビールで期間限定の新商品を投入します。

ビール系飲料の市場はどうなる

各社の推計によりますと、2022年は市場全体で、2004年以来、18年ぶりに前の年を上回ったということです。ただ、2023年は、前年を2%から4%ほど下回ると見ています。

人口の減少や物価高などを背景にビール系飲料の市場は、縮小が見込まれていますが、税率が下がるビールには底堅い需要があるとみて、各社とも販売の強化に動く形です。

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