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ヒートショックとは?対策や症状は 脳卒中や心筋梗塞などの原因に

  • 2023年1月13日

朝晩の冷え込みが続くこの時期、注意が必要な「ヒートショック」。

「ヒートショック」とは、急激な温度変化によって脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす現象です。どんな点に注意が必要か、まとめました。

また、いつ注意すべきか、参考にするための「ヒートショック予報」も開発されています。

12月・1月 ヒートショック ピーク

東京23区で異状死として届け出のあった事例の検案にあたっている東京都監察医務院によりますと、2019年1年間に検案の対象となった人はおよそ1万4000人でそのうち1割程度が入浴中の死者だということです。

そのほとんどが65歳以上の高齢者です。時期的には12月と1月がピークで「ヒートショック」が増えるためとみられています。

そのほか、過去の統計などを使い全国で入浴中に急死した人の数がおよそ1万9000人にのぼるいう推計もあります。

対策のポイントは?

対策のポイントを東京ガス企画部の津田圭子さんに聞きました。

○入浴前に

風呂に入る前の対策です。
・湯船のふたを開けたりシャワーで浴室の床に湯をかけたりすることで、風呂場を温めることが重要だということです。
・脱衣所は、小型の暖房器具を設置し、素足で触れる床にマットを敷くなどすることも効果的です。
・体が脱水状態だとヒートショックになりやすいとされているため、入浴前に水分を取ることも対策になります。

○入浴時
入浴する際のポイントです。

・手の指先や足の先など、体の末端からかけ湯をしてください。
「長くお湯につかれば体が温まるのではないか」と思う方も多いと思いますが、お湯の温度や湯につかる長さにも注意が必要です。
設定は41度以下にして、入浴時間は10分以内にとどめることが重要だといいます。

血圧は暖かい部屋から寒い部屋に入ると急上昇します。寒さに対応するため血管が収縮し、湯船に入った時にピークに達するといいます。
さらに湯船につかっていると熱いお湯に対応するため血管は広がり、血圧は下がっていきます。

つまり、長風呂は上昇した血圧の急降下をもたらすため避けることが大切なのです。

“自分は大丈夫”は禁物

特にヒートショックに注意が必要なのは高齢者です。血圧を正常に保つための機能が低下するためでふだん健康な人もリスクがあるということです。
入浴前に家族などに声かけしておくと気づきやすいということです。

また、注意が必要なのは高齢者だけではありません。血圧が高めの人やふだんから立ちくらみやめまいを起こしやすい人も特に注意が必要です。

“日本の家は寒い”全国調査は

「日本の家は寒い」
十分な温度と湿度が必要だと訴えているのは建物の構造と健康の関係について研究を続けている慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授です。

WHO(世界保健機関)はガイドラインの中で寒い時期の室温は18度以上が必要だと勧告しています。
伊香賀教授などの研究グループは国の補助を受けて全国の建物の室内の温度を調べました。

その結論は「暖かい地域の部屋は寒い」

冬の在宅中、居間の平均室温は北海道が19.8度だった一方、東京都は17.1度。温暖な香川県では13.1度でした。
関東北部は低く、栃木県では15.1度でした。神奈川県では18度と関東の中では比較的高い結果となりました。

伊香賀教授によりますと古い住宅では断熱性が不十分なことがあり、すきま風で居間や寝室の室温や湿度が下がるということです。

そうした住宅では、血圧が上がってヒートショックになりやすくなるだけでなく、睡眠の質が下がったり、感染症にかかりやすかったりとデメリットが多いとしています。

“室温18度以上・湿度40%以上を”

一般家庭では「室温18度以上、湿度40%以上」が必要だとして、脱衣所やトイレに電気式パネルヒーターをおく、窓に断熱材を貼る、カーテンを床までつく長さにするといった対策を呼びかけています。

高齢者がいる場合は、20度以上が望ましいとして新築や改修をする際に、住宅の断熱性能を高めることも有効だとしています。

慶應義塾大学理工学部 伊香賀教授
「節電要請もされているが、命に関わることなので、気温が低いときにはためらわずに暖房機器を使ってほしい」

「ヒートショック予報」

ヒートショックに特にいつ注意すべきか、参考にしてもらうため、日本気象協会と東京ガスは「ヒートショック予報」を開発しました。

日本気象協会のウェブサイトなどで確認できます。

日中や夜の気温などの予想から屋内で生じる冷え込みや温度差の程度を推定しヒートショックのリスクを「油断禁物」「注意」「警戒」「警戒(気温差警戒)」「警戒(冷え込み警戒)」の3ランク、5種類で予報を出しています。

住まいの構造のほか、対策などによって影響は変わると言うことですが、必要に応じて参考にしてください。

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