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「転売ヤー」ネットで高額販売おもちゃまで 規制や対策 その言い分は

  • 2022年12月22日

人気のおもちゃなどが売り切れとなり、ネット上で高額で販売されています。その背景のひとつとされるのが、商品を高値で転売する「転売ヤー」と呼ばれる人たちの存在です。クリスマスを前にSNSには「子どもがサンタさんにお願いしていたおもちゃが手に入らない」などの投稿がされていました。転売の実態や量販店の対策などをまとめました。

高額転売か?“サンタさんも参っちゃう”

クリスマスに向けておもちゃやゲーム関連商品などの需要が高まるなか、ツイッターには子どもへのプレゼントが定価で手に入らず、インターネットで高額で売られているといった投稿が相次いでいます。
背景のひとつに、購入した商品を高額で転売する人たちの存在が指摘されていて、“転売ヤー”などと呼ばれ批判の対象となっています。ツイッターのつぶやきの一部です。

 

長男がサンタさんにお願いしてたオモチャが、“転売ヤー”に荒らされてどこも在庫なし状態。サンタさんも参っちゃうよね。

 

息子に『転売ヤー』って何?って聞かれたので『サンタさんの宿敵』と伝えた。

ネットで倍額販売 サンタになれなかった父親

ツイッターに「サンタになれなかった」と投稿した30代の父親に話を聞きました。この男性は今月上旬から動き始め小学1年生の娘がほしがる人気キャラクターの人形を店や公式サイトで探しましたが、見つかりませんでした。
その人形は店頭価格でおよそ1万円でしたが、インターネットではその2倍で売られていたといいます。

希望のプレゼントをサンタさんが用意できないと小学1年生の娘に伝えると、“サンタさん困っちゃうからやめた”と落ち込んでいたということです。

30代 父親
「子どもの欲しいものを用意したいのは親としては自然なことで、一部の人たちの行為で手に入らないのは残念な気持ちになります。本当にほしい人たちが買えるようにしてもらいたいと切に願います」

「実際に高額で買った経験がある」と回答した人の割合は

商品の高額転売は多くの人の知る状態になっていて、ウェブメディア「日本トレンドリサーチ」が2021年、全国の20代から70代の男女2300人にインターネット調査をしました。

その結果、「ほしい商品が店頭価格と比べて高額で転売されていたことがある」と回答した人は38%にのぼりました。さらにこのうち24%が実際に高額で買った経験があると答えたということです。

“需要と供給 悪いことだと思っていない”

おもちゃなどを転売しているという30代の男性が、匿名を条件に取材に応じました。男性は首都圏を拠点に活動し、6年前から転売を行っているといいます。
日用品や食料品に加えておもちゃやゲーム関連の人気商品も購入し、インターネットの通販サイトなどで仕入れた値段より高い価格で転売しているといいます。

「高額で買えないという人は少なからずいると思うが、基本的に需要と供給でやっているのでそこは致し方ないと思っている。転売されるような商品は、以前は店頭で探して買うしかなかったが、今はインターネット通販でお金を出せば買えるというのも事実で、転売自体を悪いことだとは思っていない。高額で商品を転売する自分にとってのライバルは特にコロナ禍になってから、すごく増えている気がする」

“転売撲滅”を掲げる量販店「箱に名前書いて」

店頭価格を上回る高額での転売が相次いでいることを受け、自主的に対策を進める会社もあります。このうち大手の家電量販店は「転売撲滅」を掲げ、転売目的の購入を防ぐための取り組みを強化しています。

具体的には人気のゲーム機を販売する際、過去に同じゲーム機を買ったことがないかや、複数の会員アカウントを所持していないかなどを確認した上で、新品として転売されることを避けるために箱に名前をフルネームで記入してもらうなどの対策をとっています。

また、おもちゃなどは市場での人気やSNSのトレンドなどを確認しながら、1人が購入できる個数を制限したり大勢で来店した客の商品の同時購入を断ったりして対応しているといいます。

ノジマ亀有店 遠藤玲央さん
「対策をとることによって転売目的の購入は減ってきている。SNSなどで情報収集をしながらより多くのお客様に店頭価格で商品が届くような仕組みにしていきたい」

一方、フリマアプリ大手の「メルカリ」は、高い価格で出品されている可能性がある商品を画面上で知らせる“価格アラート機能”を2021年、導入しました。消費者に、購入についての判断を促すためだとしています。

高額転売 法的な規制はどうなっているのか

高額転売の一部には規制もあり、国内で開催されるコンサートやスポーツなどのチケットを、定価を上回る価格で転売するのは、「チケット不正転売禁止法」で禁止されています。

また、すでに解除されていますが、新型コロナの影響で買い占めと高額転売が相次いだマスクとアルコール消毒製品についても一時転売が禁止された時期がありました。

ただ、ほとんどの商品に法的な規制はなく、専門家によりますと、自由な経済活動の観点から通常の商品の転売を規制することは難しいということです。

“本人確認を強化した上で供給側は協力して対策を”

転売問題に詳しい慶応大学 栗野盛光教授
「商品を供給する企業にとって想定していた形で消費者に届かずに需要を正確に把握することが難しくなって生産計画に影響が出るなど、問題があると思う。運転免許などによる本人確認を強化した上で、一括抽選方式を取り入れて人気商品の買い占めを防ぐなどメーカーや通販サイトなどの供給側が協力をして対策を進めていく必要があるのではないか」

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