“オンライン修学旅行”に“オンライン社会科見学”。
新型コロナウイルスによる影響が続く中、子供たちのために何かできることはないかと、東京・葛飾区にある花の木小学校のPTAの保護者たちが考えてきた取り組みです。
それが、いまコロナ禍の新たな学びの形として広がろうとしています。
花の木小学校のオンライン修学旅行
東京・葛飾区にある区立花の木小学校では、12月10日、6年生の子どもたちが参加して“オンライン修学旅行”が行われました。
結んだ先は、シンガポールです。
現地で日本人向けにパソコン教室を開く男性とそこで習う子どもたちに協力してもらい、彼らが観光名所をめぐる様子を教室の大型モニターで見て修学旅行を疑似体験します。
立川市立第四小学校の児童たち
今回で3回目になりますが、これまでとは違って、立川市にある市立第四小学校の3年生から6年生の子どもたちも参加しました。
花の木小学校のPTA顧問 風巻宏さん(右から2番目)
合同で行うことを呼びかけたのは、花の木小学校のPTAの保護者たちです。
このPTAでは、これまで顧問の風巻宏さんを中心に東日本大震災の被災地や古代米を栽培する農家と結んで“オンライン社会科見学”を行うなど、さまざまな行事を企画してきました。
そんな風巻さんが、いま取り組んでいるのが、これまでのノウハウを多くの人に伝えることです。
「花の木アカデミー」のリスト
学校の名前にちなんで「花の木アカデミー」と銘打ち、これまで企画した行事の内容や準備に必要なことなどを細かく盛り込んだリストを作ってPTAの研修会などで配っています。
このことが今回の合同開催のきっかけになりました。
11月末、開催に向けて事前に行われたオンラインの会合では、第四小学校のPTAの保護者から、当日の機材や資料の準備などについて相談され、風巻さんは丁寧にアドバイスしていました。
葛飾区立花の木小学校 PTA顧問 風巻宏さん
「『コロナ禍だからこそこんなことができる』ということを子どもに見せたいと思って活動する中で、他の学校の保護者から『アイディアがなくて、何もできない』という声を聞き、おせっかいだと思いつつ、この取り組みを始めました」
そして、合同で行われた“オンライン修学旅行”。
2つの学校の子どもたちは、案内役の現地に住む子どもが街を歩く人に英語でインタビューする様子や、人気の観光地、アラブストリートで甘いミルクティーを紹介する様子などを興味深そうに見つめていました。
2つの教室からは質問も相次ぎ、第四小学校の男の子はアメリカ出身だという現地の男の子に好きな食べ物を尋ねるなどして交流していました。
シンガポールのじゅうたん販売店
また、じゅうたんの販売店では、2つの教室の子どもたちが値段や販売枚数など聞きたい内容を案内役の子どもに伝え、店の人に質問してもらっていました。
参加した第四小学校の女の子
「楽しかったです。じゅうたんのお店にあった商品は模様がたくさんあったのがいいなと思いました。もっと世界のことについて学びたいです」
立川市立第四小学校 PTA会長 佐藤誠治さん
「本当に旅行しているような非常に楽しい経験をさせてもらいました。コロナ禍で何ができるのか頭を悩ませてきましたが、“こんなことができる”とメニュー化して広めていく取り組みは本当にためになるし参考になります」
風巻さんたちは、新型コロナの感染状況が落ち着いたあとも、遠方の人でも気軽につながれるなどオンラインならではの利点を生かした行事を続けていきたいと考えています。
葛飾区立花の木小学校 PTA顧問 風巻宏さん
「催しをゼロから企画するのは馬力が必要ですが、これまでの取り組みを参考にしてもらい、大人も子どももいっしょに楽しめる機会をつくっていけたらいいと思います」