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コロナ“後遺症” 感染者のリスクは?最大6倍 けん怠感 頭痛などで受診

  • 2022年12月15日

新型コロナウイルスで、いわゆる「後遺症」として報告されることの多いけん怠感や頭痛などの症状で医療機関を受診するリスクは、感染した人は感染していない人に比べて高いことが名古屋工業大学などの研究でわかりました。
このほか「後遺症」の割合や死亡者数など、国内やアメリカでの調査結果をまとめました。

米CDC “コロナ後遺症関連で死亡 3544人”

新型コロナのいわゆる「後遺症」をめぐって、アメリカのCDCは12月14日、「後遺症」に関連して死亡した人がどのくらいいるか、分析した報告書を公表しました。

分析は、アメリカで2020年1月から2022年6月までに、新型コロナで死亡したおよそ102万人を対象に行われ、死亡診断書に「後遺症」を示す「ロング・コビッド」などの単語が含まれるものを調べました。その結果、全体のおよそ0.3%にあたる3544人が新型コロナの「後遺症」に関連して死亡したと特定できたということです。

「後遺症」 感染者の受診リスク 診療報酬明細書から

名古屋工業大学の平田晃正教授らの研究グループは、およそ125万人分のレセプト=診療報酬明細書の記録をもとに、新型コロナに感染した人と感染していない人で、いわゆる「後遺症」として報告されることの多いけん怠感や頭痛、呼吸困難など10の症状で医療機関を受診する人の割合がどの程度異なるか調べました。

その結果、年間の医療費が20万円未満の、重い持病がないとみられる人でこれらの症状で受診した人の割合は、おおむね感染の第1波から第3波にあたる去年春までの1年間では感染していない人では3%だったのに対し、感染した人ではその後6か月間で16%と5倍程度高くなっていることがわかりました。

受診した人の割合は「第4波」や「第5波」の時期でも最大で6倍程度高くなっていましたが、オミクロン株が拡大した「第6波」のことし1月から3月には3倍にまで低下していたということです。

平田教授は「ワクチンの効果や変異ウイルスの病原性もあってリスクが低下した可能性がある。今後さらに調査して後遺症について科学的な証拠を積み上げたい」と話しています。

“重症者の半数ほど 1年後も認知機能の不調続く”

日本集中治療医学会は新型コロナに感染し、2020年末までに各地のあわせて32の病院で人工呼吸器による治療を受けた患者や家族を対象にアンケート調査を行い、209人から回答を得ました。

調査結果を分析した結果、集中治療室を出てから1年1か月あまりの時点で記憶や日常の動作などに不調が続いているとみられるのは60.8%に上りました。

1年あまりたったあとも半数ほどの人で記憶など認知機能の不調が続いているとみられるということで、日本集中治療医学会はほかの病気で重症化した場合より割合が高く、早期にリハビリを行うことが重要だと指摘しています。

新型コロナのリスク評価 「後遺症」をどう見る

12月14日の厚生労働省の専門家会合で示された「新型コロナウイルスの特徴と、中長期のリスクの考え方」と題された文書では、感染の広がりやすさについて「季節性インフルエンザと異なる特徴を持つ感染症になっている」と分析しています。重症度については、2021年以降、実際の死亡者数が統計学的に推計される死亡者数を上回る「超過死亡」が増加し、いわゆる「後遺症」も問題になっているとしています。

新型コロナウイルスの感染症法上の扱いについて、季節性インフルエンザと同じ「5類」への引き下げも含めた見直しが議論されていますが、このリスク評価の文書をまとめた東北大学の押谷仁教授や京都大学の西浦博教授など専門家4人は、新型コロナはインフルエンザと同等と判断できる条件を現時点で満たしていないとしています。

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