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トトロの森も ナラ枯れ被害 狭山・多摩丘陵など都立公園3年で30倍

  • 2022年12月13日

ミズナラやコナラなどの木が枯れる「ナラ枯れ」の被害が広がっています。映画「となりのトトロ」の舞台のモデルの1つになった東京と埼玉にまたがる狭山丘陵でも被害が拡大していて、都立公園での被害は3年前の30倍近くに増えていることが都への取材でわかりました。被害が多いエリアや原因、今後、懸念される事態などについてまとめました。

ナラ枯れ ここ数年は関東地方で被害拡大

「ナラ枯れ」は「カシノナガキクイムシ」という害虫が媒介する菌に感染したミズナラやコナラなどの木が枯れる伝染病です。
林野庁によりますと、全国的には12年前をピークに被害数は減少傾向にありますが、ここ数年、関東地方で被害が拡大しているということです。

トトロの森 ナラ枯れ被害深刻に

映画「となりのトトロ」の舞台も「ナラ枯れ」が深刻になっています。東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵は映画「となりのトトロ」の舞台のモデルの1つになった森とされ、中には5つの都立公園があります。
都によりますと、このうち、東村山市の「八国山緑地」では3年ほど前からコナラやクヌギで「ナラ枯れ」が確認され始めたということです。

これまでにコナラやクヌギは全体の半数近いおよそ940本の被害が出ていて、2022年度は2021年度に比べて2倍のペースで被害が出ているとみられるということです。

カシノナガキクイムシ 枯木から産卵のため飛散

都の委託で緑地を管理するNPOなどによりますと、「ナラ枯れ」の原因となる「カシノナガキクイムシ」は春から夏にかけて木に大量に卵を産み付けて菌を繁殖させ、秋ごろまでに枯れさせてしまうということです。

近所の人

この時期は紅葉がきれいなのにことしはまったく見られず、自慢の山なので残念。こうなった以上倒れる前に切ってしまって次の木を植えてほしい。

その後、枯れた木からは成虫が産卵する木を求めて大量に飛び立つため、今後も、被害が拡大することが懸念されるということです。

倒木のおそれ 周辺には住宅地や線路も

被害が出た木は倒木の危険があるため、「きけん」と書かれた黄色いテープが巻かれていて、多くの散策路が立ち入り禁止になっていました。
緑地のそばには住宅街があるほか、電車も走っていて、NPOは倒木による被害を防ぐため伐採を進めていますが、まだ全体の3分の1ほどしか終えていないということです。

NPOの杉山俊也さん
「枯れた木が線路や住宅地に倒れないように対策していますが、木はどんどん枯れていきます。被害や対策についての情報を共有しながら、地域で連携して立ち向かっていきたい」

都立公園での被害 3年前の28倍に

都などによりますと、都内では3年前に初めて被害が確認されたあと、都立公園での被害が増えていて、2021年度、およそ1万1200本の被害が確認されたということです。これは、3年前のおよそ400本の28倍にあたります。
被害の多くは埼玉県にまたがる狭山丘陵や多摩地域の住宅地に広がる多摩丘陵の都立公園に集中しているということです。

国立研究開発法人「森林総合研究所」の北島博研究員は、都立公園は山間部と比べて木の数が少なく、害虫が木を求めて移動するため、被害の確認が相次いでいるとみていて、「都内の公園はある程度離れたところでも被害が広まり、かなりの速さで拡大している可能性がある。公園の近くには住宅や電線などがあるので、倒木による被害が懸念される」と話していました。

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