太平洋戦争の発端となった真珠湾攻撃から12月8日で81年です。
この戦争では日本人だけでもおよそ300万人が命を落としたとされています。
戦争の記憶の継承に取り組む東京・新宿区の平和祈念展示資料館は、若い世代やコロナ禍で外出を控えている人などに向けて、インターネット上で館内の展示を疑似的に見学できる新たな取り組みを始めました。
どのようなものなのか、浅野里香アナが体験しました。
旧日本兵やシベリア抑留などをテーマに、戦争の記憶の継承に取り組んでいる東京・新宿区にある「平和祈念展示資料館」。
赤紙
館内には「赤紙」と言われた召集令状。
千人針(せんにんばり)
出征する兵士のお守りとして、多くの女性が一針一針縫ったという「千人針」など、当時の資料が展示されています。
抑留された兵士の収容所「ラーゲリ」の模型
さらに抑留された兵士の収容所、「ラーゲリ」を再現した模型などを展示して、戦争の記憶の継承に取り組んでいます。
太平洋戦争の開戦から81年になる、12月8日も幅広い年代の人たちが訪れ、館内を見学していました。
展示品をみるだけで、胸がすごく痛くなってとにかく平和を願います。
戦争は子どもたちにとってかけ離れたものになっていて、こういうことが実際にあったという事実をしっかりと伝えていきたい。
戦争を体験した人が少なくなっていく中、当時の記憶を次世代に引き継いでいこうと、資料館では、11月末から新たな取り組みにも乗り出しています。
若い世代やコロナ禍で外出を控えている人などに向けてインターネット上で館内の展示を疑似的に見学できる「バーチャル資料館」をホームページに公開しました。
平和祈念展示資料館の情報管理責任者、住川泰道さんに協力してもらいながら、どのようなものなのか、浅野里香アナが体験しました。
資料館のホームページからアクセスするとバーチャルの映像に入ることができます。『すすむ』を押すと、自分が歩いて進んでいるように展示を見ることができます。
先ほどの召集令状の展示も細部まで分かります。
高性能のカメラで館内をくまなく撮影した画像をもとに制作された「バーチャル資料館」。
インターネット上で館内見学を疑似体験できます。
「ラーゲリ」の模型については、3Dのコンピューターグラフィックスで敷地内に積もった雪の様子なども再現されています。
どんな体験をしてほしいとか、どんな思いで作られたんですか?
実際に収容されたような感覚で見ていただきたい。
ここで暮らしていたっていうことですよね。2段ベッドになっていて、ここでパンを切るとか、食事をとるために集っていた場所ですよね。
浴室を見てみると。
小さい風呂桶がある。たらい1杯のお湯で体を洗ったという証言があったりする。
その様子もここから伝わってきますね。この小さい桶1杯で…。
ここで生活するのは寒かっただろうな。
平和祈念展示資料館 住川泰道 情報管理責任者
「デジタルに親しんでいる若い人にも実際に来館する前の事前学習などとしてぜひ見てもらって、バーチャルと実際の来館とを相乗的に生かしていきたい。そうすることで1人1人の戦争体験をひとつずつ拾っていく、つむいでいくことができると思います」
資料館では、この取り組みを学校の校外学習の事前準備にも役立ててもらうなど、さらに取り組みを充実させていきたいとしています。