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物価高 卵もおせちも値上がり 12月の値上げ品目は?来年2月にラッシュ

  • 2022年12月8日

「物価の優等生」とも言われ、この時期、クリスマスケーキや鍋物の具材などに欠かせない卵が値上がりしています。ニワトリのエサとなるとうもろこしの価格高騰や鳥インフルエンザの急拡大によるもので、生活に身近な商品の価格上昇が続いています。
物価高の現状や影響、今後の見通しについてまとめました。

物価の優等生 卵も値上げ

卵の卸売価格の目安となる「JA全農たまご」の東京地区でのMサイズ1キロあたりの価格は、11月の平均で262円と、去年の同じ月と比べて55円値上がりし、統計を取り始めた1993年以降、11月としては過去最高となりました。

また、12月に入ってからの平均価格は273円と2013年12月に記録した280円に迫る水準です。

東京・墨田区のスーパーでは、11月、10個入りの卵の店頭価格を10円値上げしました。
しかし、仕入れ価格は15円ほど上がっていて、採算はとれていないことから、さらに値上げを行うか、検討を迫られています。

買い物に来た
30代女性

さまざまなものが値上がりしていて、子どもたちもよく食べるので、出費ばかりが増えて大変です。

60代男性

日本は海外と比べて物価が低いので、少しずつでも値段を上げていったほうがいいのではないか。

スーパーイズミ 五味衛社長
「卵はいままでは安く売れる特売向きの商品だったので、大変厳しい状況です。さらに仕入れ価格が上がることも予想され、特売の回数も見直さなければならないかもしれない」

卵の値上げ 背景は?

多くの食材に使われる卵は生産の効率化が進んでいることから、価格の変動が少なく、「物価の優等生」とも言われています。

高値の理由について農林水産省では、ロシアのウクライナ侵攻でニワトリのエサとなるトウモロコシなどの飼料価格が高騰しているほか、鳥インフルエンザの感染が、過去最多の処分数となった2年前を超えるペースで急拡大し、卵の出荷が減少していることなどが背景にあるとしています。

農林水産省では卵の店頭への供給が不足することはないとしていますが、需給の動向を引き続き、注視する必要があるとしています。

おせち料理も…

東京・練馬区にある仕出し料理店は毎年、正月のおせち料理の注文を受け付けていて、黒豆やだて巻き、昆布巻きなどの定番の品に加え、いくらやかずのこなど多くの海産物を入れているのが特徴です。

しかし、ことしは品をほとんど変えない中で、去年9720円だった価格を1万3000円に値上げしました。
店によりますと、ことしは海産物や野菜など食材の仕入れ価格が上がっているほか、おせちの容器や包みなども値上がりしています。

特に外国産の海産物は、円安や海外からの輸送費の高騰の影響で仕入れ価格の値段が例年に比べ、高いもので5割程度上がっているということです。

この店は食品会社に価格の交渉を行うなどコストを抑える取り組みを続け、食品の量を減らして価格を維持することも検討しましたが、質を保つことを優先したいとやむなく値上げを決めたということです。

仕出し料理店「魚伊三」小美濃一喜取締役
「おせちに関するものは一とおり価格が上がっていて、例年の価格で作るとスカスカのおせちになってしまいます。おせちは1年に1度の特別なものなので、質を保つことが大切だと考えました」

これまでに350個の注文があり、すでに予約は締め切っているということです。

12月の値上げ品目は?

信用調査会社「帝国データバンク」は11月末時点で国内の主な食品や飲料メーカー、105社に調査を行い、値上げの動きをまとめました。
それによりますと、円安や原材料価格の高騰を受けて、12月値上げする食品や飲料は175品目となりました。

具体的には乳幼児向けの粉ミルクや砂糖、ゼリー飲料などです。
月別でみた値上げの品目数はことしに入ってから最も少なくなっています。

来年2月に値上げラッシュも

ただ、来年に値上げを予定している食品や飲料は再値上げなどを含めてすでに4425品目に上っています。
とくに来年2月は3269品目の値上げが予定されています。
来年、値上げされる品目は次の通りです。

冷凍食品や水産缶詰などの「加工食品」 2128品目
しょうゆやドレッシングなどの「調味料」 1065品目
輸入ワインやウイスキーなどの「酒類・飲料」 949品目など

値上げ率は平均で17%となっていて、ことし1年間の平均の14%を上回り、円安によるコストの増加などを背景に大幅な価格の引き上げを決める企業が相次いでいるとしています。

信用調査会社
「年明けの値上げを発表する企業は今後も増える見込みで値上げの品目数もさらに増加するとみられる。来年2月は10月と同じように再び、値上げラッシュとなる可能性がある」

消費者心理「弱まっている」

消費者の買い物などへの意欲を示す、11月の「消費者態度指数」は相次ぐ値上げなどの影響で3か月連続で悪化しました。内閣府は消費者心理の基調判断を「弱まっている」に下方修正しました。

「消費者態度指数」は全国の8400世帯を対象に、今後、半年間の暮らし向きがどうなるかや、自動車や家電製品が買い時になるかなどを聞き、消費者の心理を指数で示すものです。11月、行われた調査で2人以上の世帯の指数は28.6と、10月を1.3ポイント下回り、3か月連続で悪化しました。

内閣府の分析
・生活必需品の相次ぐ値上げで家電製品などの買い替えの意欲が下がっていること
・新型コロナの感染者数が増加傾向になったことが背景

このため消費者心理の基調判断を「弱まっている」に下方修正しました。下方修正は2か月連続で、「弱まっている」という判断は2019年10月以来です。
また、1年後の物価の見通しについて尋ねたところ、「5%以上上昇する」と答えた世帯の割合は64.1%と、比較が可能な2013年4月以降で最も多くなっています。

内閣府
「消費者物価指数の上昇率が記録的に高い水準となるなど、相次ぐ値上げが消費者の購入意欲に大きな影響を及ぼしており、当面、この状況が続くとみられる」

子どもの学びにも影響

物価の高騰は、子どもの学びにも影響しています。

子どもの貧困対策に取り組むNPO法人「キッズドア」は物価高騰の影響を調べるため経済的に困窮し、支援の対象となっている子育て家庭に11月、アンケート調査を行い1846人から回答を得ました。

その結果、ほぼすべての家庭が家計が厳しくなったと答えました。

出費を減らしている項目
「食費」84%
「洋服などの費用」74%
「日用品の費用」62%など

また、子どもの学びへの影響について聞いたところ、「悪い影響が大いに出ている」が18%、「悪い影響が出ている」が40%となりました。

具体的な内容
「博物館の見学などの体験活動が減った」51%
「勉強への意欲が低下した」45%
「学校の成績が悪くなった」22%など

自由回答
「コロナ禍の収入減から改善されないままで節約しても生活が苦しい」
「経済的にも精神的にも追い詰められ、子どもの将来を考えるのが怖い」など

NPO法人「キッズドア」 渡辺由美子理事長
「子どもたちが将来を諦めるような状況はどうにかしないといけない。政府は早急に対応してほしい」

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