12月末で2022年度分の申し込み期限を迎える「ふるさと納税」。
この「ふるさと納税」は、応援したい自治体などに個人が寄付をすると、所得税などの一部が控除される制度で、昨年度、全国の自治体に寄付された額は8302億円あまりとこれまでで最も多くなっています。
最近では、気軽に利用してもらおうと、「自動販売機」も登場しています。
神奈川県相模原市は、去年8月から市内にある遊園地やキャンプ場などを備えたレジャー施設にふるさと納税ができる自動販売機を設置しました。
自動販売機は市外の客が多く訪れるキャンプ場の受付に設置され、利用者は1万円から10万円までの範囲で選んで寄付をすると税の控除に必要な書類が後日、郵送で届きます。
寄付の返礼品として3割にあたる金額分のクーポン券を受け取り、施設内の利用料などとしてすぐに使える仕組みになっています。
市によりますと、昨年度はこの自動販売機を通じて143万円の寄付が集まったということです。
キャンプ場に来た都内の30代男性
「これまでにふるさと納税をしたことはないが、施設をよく利用するので、お世話になっている場所に寄付をしてみようかなと思いました」
相模原市観光・シティプロモーション課 草薙格課長
「市の魅力を知ってもらうとともに、都市部ではふるさと納税が集まりにくいことからこの自動販売機を設置しました。まだ、知らない人も多いのでもっとPRしたい」
こうした動きは、各地でも広がっています。
ふるさと納税の自販機設置のゴルフ場
ことしに入って茨城県常総市は、ゴルフ場に設置しました。
こちらで寄付できる金額は、1万円から50万円までです。
返礼品は、寄付した金額の3割相当のゴルフの利用券で、プレー代金や施設内での食事代として利用できるということです。
常総市 神達岳志 市長
「その場でふるさと納税していただいて返礼品もその日に使えるというのは、本来のふるさと納税の意味にも、ふるさと納税してもらった人にとっても、常総市にとっても『三方よし』になる」
一方で、ふるさと納税は豪華な返礼品などを用意した自治体に寄付が集まり、都市部では財源が流出することへの懸念も示されています。
東京23区の特別区長会は、ことし10月、「貴重な財源が一方的に奪われていて、制度の抜本的な見直しが必要だ」などとする主張をとりまとめています。
ふるさと納税で、ほかの自治体に寄付をした住民が多いため、令和4年度の住民税の税収が減る見通しの自治体を、減収額が多い順にまとめました。
1位 | 横浜市 | 230億900万円 |
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2位 | 名古屋市 | 143億1500万円 |
3位 | 大阪市 | 123億5900万円 |
4位 | 川崎市 | 102億9100万円 |
5位 | 東京・世田谷区 | 83億9600万円 |
6位 | さいたま市 | 73億9100万円 |
7位 | 神戸市 | 70億円 |
8位 | 札幌市 | 66億3900万円 |
9位 | 京都市 | 64億4300万円 |
10位 | 福岡市 | 62億5500万円 |
11位 | 東京・港区 | 61億2900万円 |
12位 | 千葉市 | 46億4700万円 |
13位 | 東京・大田区 | 42億3100万円 |
14位 | 広島市 | 41億9100万円 |
15位 | 東京・杉並区 | 40億9100万円 |
16位 | 東京・江東区 | 40億5100万円 |
17位 | 東京・品川区 | 39億4800万円 |
18位 | 仙台市 | 37億3800万円 |
19位 | 東京・練馬区 | 36億5300万円 |
20位 | 東京・渋谷区 | 36億300万円 |
東京23区の区が8つ入っています。
それ以外はいずれも政令指定都市で、人口が多い都市部から地方への税の流出が進む傾向が続いています。
広がりをみせる「ふるさと納税の自動販売機」。
ふるさと納税を所管する総務省
「返礼品が地場産品の基準に適合していれば、自動販売機など提供の方法自体は特に問題にならない」