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ジェネリック 供給不足いつまで続く? 手に入りにくい医薬品は

  • 2022年12月6日

医薬品の供給不足がかつてない規模で続いています。きっかけは、2020年以降、相次いで発覚したジェネリック医薬品メーカーの不正で、5日の業界団体の発表では、供給不足は医薬品全体の3割近くに及んでいるということです。どんな薬が手に入りにくくなっているのか、この状態はいつまで続くのか、専門家の見方とあわせまとめました。

各地メーカーで不正発覚 医薬品の出荷が止まる

医薬品の供給をめぐっては2021年、福井県と富山県のジェネリック=後発医薬品のメーカーが製造上の問題で業務停止命令を受けたことをきっかけに各地のメーカーで不正の発覚などが相次ぎ、業務停止命令や業務改善命令の行政処分が出されるなどして幅広い種類の医薬品の出荷が次々に止まりました。

薬局 “供給不足 徐々に悪化”

このため、薬局や医療機関で大規模な医薬品の供給不足が続いています。このうち1日100人あまりが訪れる東京・西東京市の「小田薬局」ではおよそ1700品目の医薬品を取り扱っています。

医薬品メーカーの製造上の問題や不正が相次いで発覚して以降、内服薬を中心に多くの薬が十分に手に入らない状況が続いているといいます。今は2021年より100品目ほど多いおよそ300品目の薬が十分に手に入らない状態だということです。

さらにことしは新型コロナの感染拡大で需要が高まった解熱鎮痛薬「カロナール」の出荷量が調整されるなどの影響もあり、この薬局ではいわゆる「かぜ薬」の供給も不安定な状況が続いているということです。

「小田薬局東伏見店」薬剤師 小野啓一郎さん
「薬不足は徐々に悪化していて薬の在庫の管理が大変です。患者にとってもストレスになると思うので、早く解消してもらいたいです」

医薬品の出荷停止や出荷調整 4234品目

日本製薬団体連合会は厚生労働省から要請を受けて製薬会社などを対象に2022年8月末時点の医療用医薬品の供給状況について調査を行い、223社から回答を得ました。

それによりますと調査対象の1万5036品目のうち、出荷停止や出荷調整が行われていたのは全体の28.2%にあたる4234品目で去年より7.8ポイント増加しました。
内訳は「ジェネリック医薬品」が41%で去年より11.6ポイント増えたほか、「先発医薬品」が6.4%で去年よりも2ポイント増えました。また、「その他医薬品」は11.9%で、去年より6.8ポイント増えました。

手に入りにくい薬 ジェネリック中心に幅広い種類

日本製薬団体連合会は医薬品の販売や供給状況について製薬会社に対して定期的に報告を求めていて結果をホームページで公表しています。

手に入りにくい薬
アトピー・じんましん・高血圧・狭心症・
リウマチ・うつ病・気管支炎など
解熱鎮痛剤・かぜ薬も
※2022年8月末時点

 

それによりますとことし8月末の時点で手に入りにくい状況が続いている薬はジェネリック医薬品を中心に幅広い種類に及んでいます。
手に入りにくい状況が続いているのは、アトピー、じんましん、高血圧、狭心症、リウマチ、うつ病、気管支炎の薬などで、このほか、解熱鎮痛薬やかぜ薬も含まれています。

また、国は医療費抑制のためにジェネリック医薬品を使うことを診療報酬や調剤報酬の加算の条件とするなど普及を推進していて、ジェネリックの使用割合は2022年3月時点で79.3パーセントに上っています。

供給不足はいつまで 専門家は

医薬品の問題に詳しい神奈川県立保健福祉大学大学院の坂巻弘之教授に、医薬品の供給状況悪化の要因や解消の見通しなどについて聞きました。

〇供給悪化の要因
供給状況の悪化には驚きとともに怒りを感じている。去年以降、業務停止の処分を受けた企業が相次いだことで、ほかの企業への発注が集中し結果的に業界全体の出荷状況が滞ってしまっているのではないか。

〇解消の見通し
問題があった企業の製造手順などを改善するためには今後、国なども協力しなければならず日本の薬の製造のキャパシティーも考えるとあと2年、長ければ3年くらいかかるのではないか。その間、医療関係者や患者が不安を感じると思うが製薬会社はそのことを十分に認識して対応する必要がある。

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