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コロナ発熱外来ひっ迫を防ぐ自主検査から陽性者登録の仕組みは?

  • 2022年11月28日

新型コロナウイルスへの感染が増加傾向で、医療機関のなかには発熱外来への問い合わせが急増しているところもあります。医療機関は、重症化リスクの低い人が自主検査などを行う仕組みが浸透しないと今後、発熱外来のひっ迫につながるおそれがあると懸念しています。自主検査から「健康フォローアップセンター」に登録する仕組みなどをまとめました。

発熱外来の受診 9割が自主検査せず

東京都と千葉県で発熱外来を設けている「東京ビジネスクリニック」では発熱外来を受診した患者のうち、9割が自主検査をしておらず、診察の結果、重症化リスクも低かったということです。

この医療機関では、第7波のピーク時には1日およそ300人の患者が発熱外来を訪れ、診察を断らざるをえないケースもあったことから、自主検査などの仕組みが浸透しないと今後、発熱外来のひっ迫につながるおそれがあると懸念しています。

内藤祥医師
「重症化リスクの低い患者の中には、こうした仕組みを知らない人も多いので、医療現場がひっ迫しないように感染が広がる前に自主検査などが浸透していることが大切だ」

自主検査・診断・自宅療養の仕組み

ことし9月に行われた感染者の全数把握の簡略化にともない、詳しい報告の対象外となりました。厚生労働省は、症状がない人や軽い人については、自分で検査や専用機関への登録を行った上で自宅療養するという方針を示し協力を呼びかけています。

具体的には、自分で検査を行って陽性だった場合は自治体の「健康フォローアップセンター」に登録し、医療機関を受診せずに療養を開始できる仕組みです。
登録の対象となるのは、65歳未満の人、重症化リスクの低い人、それに妊娠していない人などです。

厚生労働省は検査キットは薬局で購入できる「医療用」か薬局のほかインターネットでも購入できる「一般用検査キット」として国が承認したものを使うよう求めています。

登録を行うことで、希望する場合は宿泊療養のほか自治体によっては配食などの支援を受けることができるほか、健康フォローアップセンターが健康状態についての相談を受け付け、自宅で療養中に症状が悪化した場合などには、医療機関につなぎます。

東京都 陽性者登録センターの利用方法は

東京都の場合、都民に加えて出張や旅行で都内に滞在中の人も都の陽性者登録センターを利用することができます。
利用者は自主検査で陽性だった場合、検査後のキットの画像を撮影するなどしてオンラインで申請し、登録した情報をもとに医師によって陽性と診断される仕組みです。

〇健康フォローアップセンター
都道府県ごとにそれぞれの名称で設置されていて、厚生労働省のホームページでも一覧で連絡先が掲載されているほか、都道府県のホームページなどでも情報を確認できるようになっています。

自主検査が発熱外来の負担軽減

東京・北区の「いとう王子神谷内科外科クリニック」では受診を希望する人からの電話は、10月後半は、平日は1日10件、土日も20件ほどだったのが、この2週間で4倍から5倍に増加し、院内で行う抗原検査の陽性率も6割ほどに上っているということです。

こうしたなかでも、第7波までと比べて検査キットを使って自分で検査を行う人が増えていることが発熱外来の負担軽減につながっているということです。

伊藤博道 院長
「自己検査をさらに普及させることが医療の崩壊を防ぐための鍵になる。症状が出たあと時間をおいて検査するなど正しい使い方や検査キットの入手方法など情報を発信していくことが重要だ」

“仕組みが浸透しておらず さらなる周知を”

国の専門家会合に参加している東京・北区の保健所の前田秀雄所長は、発熱外来のひっ迫を防ぐために重症化リスクの低い人たちが自分で検査や登録を行い自宅療養する仕組みについて、次のように述べています。

〇自主検査の重要性
第7波のピーク時には、朝一番で発熱外来の予約が埋まり、高齢者が医療からこぼれてしまう事態も発生した。第7波の非常に大きな教訓で、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念される中で、この仕組みは重症化リスクの高い人を迅速に医療につなげるために重要だ。

〇重症化リスク低い人の受診
国が推奨する仕組みが十分浸透しておらず、今後は都道府県の陽性者登録センターなどに登録すれば、しっかりした支援を受けられることをさらに周知する必要がある。こうした仕組みを浸透させることがウイズコロナに向かうひとつの鍵になると思う。

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