「インボイス制度」が2023年10月から導入されます。事業者が消費税の控除や還付を受ける際、品目ごとに税率や税額を記載した請求書が必要となりますが、必要な登録を行うと、いまは納税が免除されている事業者も納税が必要になる場合が増えるとみられます。制度の概要や軽減措置の動きなどをまとめました。
「インボイス制度」は、事業者が正確な納税額を把握することなどを目的に2023年10月から始まります。
インボイス制度とは | |
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目的 | 事業者が正確な納税額を把握するため |
消費税 控除・還付 |
仕入れ先が発行のインボイス=請求書が必要 |
登録済 | 消費税を納税する 300万事業者の38%(9月末時点) |
小売店などが客から受け取った消費税は、店が仕入れ先などに支払った消費税分を差し引いてから納税される仕組みです。インボイス制度の導入後に、事業者が消費税の控除や還付を受けるには、品目ごとに税率や税額が記載され、仕入れ先の業者が発行するインボイスと呼ばれる請求書が必要になります。
国税庁によりますと、9月末の時点で消費税を納めている全国およそ300万の事業者のうち38%が、発行に必要な税務署への事前登録を済ませているということです。
導入されるインボイスは税率や税額を証明する公式な請求書にあたり、いまは納税が免除されている売り上げが1000万円以下の事業者なども取引先からインボイスを使うよう求められる場合が増えるとみられます。
年間の売り上げが1000万円以下などの小規模事業者は、現在、消費税の納税が免除されていますが、こうした事業者もインボイスを使うために必要な登録をすると、納税も義務づけられ、事業者の負担増も懸念されています。
このため登録するかどうかは個々の事業者が取引の状況などに応じて判断する必要がありますが、中小・零細事業者の団体などからは制度の導入に反対する声も出ています。
政府・与党は納税額を抑える軽減措置を設ける方向で調整しています。具体的には、客から受け取った消費税の8割を一律で差し引く方向です。これによって、納税額を計算する手間も省けるとしています。
この措置は制度の定着を急ぐため、インボイス制度が導入される2023年10月から3年間、実施する方向です。
また、年間の売り上げが1億円以下の事業者に対しては、仕入れ額が1万円未満ならばインボイスは不要とする措置を6年間実施する方向で調整しています。
自民・公明両党は与党の税制改正大綱のとりまとめに向けて、検討を進めることにしています。