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物価高 東京都が米や野菜など住民税非課税世帯に 内容や時期は?

  • 2022年11月18日

物価高騰で東京都は、都内の住民税の非課税世帯などを支援する事業に取り組み、具体的には米や野菜といった農産物を配送するということです。また、10月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が前の年の同じ月を3.6%上回り40年8か月ぶりの水準となっていて、物価の上昇に賃金の伸びが追い付いていない状況で、企業にも手当を支給する動きが出てきました。
物価の動向や暮らしの支援策についてまとめました。

上昇する消費者物価指数 40年8か月ぶりの水準

総務省によりますと、10月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が、前の年10月の99.9から103.4に上昇しました。上昇率は3.6%となり、第2次オイルショックの影響が続いていた1982年2月以来、40年8か月ぶりの水準となります。

10月は多くの食品や飲料の「値上げラッシュ」があり、公表された消費者物価指数にもその影響があらわれています。具体的には、外食の「ハンバーガー」は17.9%、「ソーセージ」は7.5%、「ベーコン」が4.5%、上昇していて、いずれも9月と比べて上昇率が拡大しています。

このほか、「ノンアルコールビール」が9.4%、「発泡酒」は7%、「果汁入り飲料」が3.4%などとなっていて、いずれも9月はマイナスでしたが10月はプラスに転じました。

「生鮮食品除く食料」は176の品目があり10月に去年の同じ時期と比べて上昇したのは88%にあたる154品目で比較が可能な2021年1月以降で最も多くなっています。

総務省
「10月は多くの食料品が値上げされ、上昇率は9月から0.6ポイント拡大した。今後も食料品の価格上昇は続くとみられる」

東京都 住民税の非課税世帯に米など支給

物価の高騰を受けて、東京都はこれまでにすぐに価格に転嫁することが難しい中小事業者などに対し、負担軽減のため支援金の支給に取り組んでいます。

さらに都は、新たに生活に困っている人たちを支援するための事業に取り組むことになりました。
具体的には都内に住む住民税が非課税などのおよそ170万世帯を対象に、事業者から米や野菜といった農産物を自宅に配送するということです。
1世帯につきおよそ1万円から1万5000円分の農産物を検討しており、米だけの場合、およそ25キロになるということです。

都はこの取り組みにかかる費用としておよそ300億円を計上した補正予算案を12月の定例議会に提出することにしており、早ければ2023年3月にも配送を始められるように調整しているということです。

フードパントリーの現場は

東京都内に住み、幼い子ども3人を育てている母親は小麦の高騰でパンが値上がりしていて、ごはんを食卓に並べることが増えたといいます。
ただ、子どもたちは食べ盛りで月に米10キロを購入しても足りない時があるため、生活が苦しい人に食料を無料で配布する「フードパントリー」からもらう米が欠かせないということです。

母親

ほかの食品と違って必ず食べるものなので、お米をもらえるのが一番うれしい。食費はなかなか抑えられないので、支援はすごく助かります。

一方、「フードパントリー」を行う団体には定期的に米を提供してくれる人がいましたが、だんだん減ってきているということです。

「フードパントリー」を行う任意団体「すずらん食堂」代表の小林鈴子さんは「お米が何よりも喜ばれますが、手に入る量も減ってきているので、行政からの支援はありがたい。物価はどんどん上がっているので引き続き支援をお願いしたい」と話していました。

物価と賃金の関係 40年前と比較すると

10月の消費者物価指数の上昇率は40年前の1982年2月と同じ水準となりましたが、賃金をめぐる状況は異なっています。

〇40年前は賃上げが上回る
総務省によりますと1982年当時は第2次オイルショックの影響が続いていて原油価格の高騰を要因とした光熱費の値上がりなどが続いていました。ただ、物価が上昇しても働く人の賃上げの水準はそれを上回っていました。

〇物価に賃金が追い付かず
11月15日に発表された従業員が受け取った賃金などを示す「雇用者報酬」という指標は、物価の変動を加味した実質ではマイナス0.8%となりました。「雇用者報酬」のマイナスは3期連続で、賃金の伸びが物価の上昇に追い付かない状況が続いています。

物価高 企業では“インフレ手当”支給の動きも

こうした中、企業の間では従業員の生活の負担感を軽減する必要があるとして、物価上昇に対応するための手当を支給する動きも出ています。

民間の信用調査会社、「帝国データバンク」は景況感の聞き取りを定期的に行っている全国の企業を対象に11月11日から15日にかけてアンケート調査を行い、1248社から回答を得ました。

〇手当支給の対応
それによりますと、物価高騰をきっかけに従業員に対して「インフレ手当」を支給したか尋ねたところ、「支給した」が6.6%、「支給を予定している」が5.7%とあわせて12.3%に上りました。さらに「支給していないが、検討中」は14.1%と、すでに支給を決めた企業とあわせると26.4%となり、全体の4社に1社となっています。

〇支給の方法
支給の予定や検討中の企業も含めて「インフレ手当」の支給方法を聞いたところ、「一時金」が多く、平均の支給額はおよそ5万3700円でした。また、期間を限定して毎月の給与に上乗せする「月額手当」の場合は平均の支給額はおよそ6500円となっています。

帝国データバンク
「インフレ手当を支給する動きが広がっているが、本来であれば物価上昇分は手当ではなく基本給を引き上げるベースアップとして賃金に反映させるのが望ましいと考える。ただ、物価高による収益の悪化で賃上げや手当の支給ができない企業も多いのが現状だ。企業が販売価格に転嫁しやすい環境の整備や賃上げを促す支援策の充実が求められる」

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