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コロナとインフルエンザ 同時感染で症状は?ワクチン接種は?

  • 2022年11月17日

新型コロナの感染者が増える中、懸念されている新型コロナと「インフルエンザ」の“同時感染”。重症化や死亡リスクが高まるとする報告もあります。
同時流行の見通しや、症状の見極めはできるのか。ワクチン接種など感染対策について専門家に聞きました。

東京都内のインフルエンザ 現状は?

東京都は毎年8月末ごろからを「インフルエンザシーズン」として、1週間ごとの患者数の推移をまとめ、その数に応じて警戒を呼びかけています。

具体的には、都内419の医療機関から報告があったインフルエンザ患者の合計数をもとに、1つの医療機関あたりの患者数を算出し、これが1を超えると「流行開始の目安」とし、10を超えると「流行注意報」、30を超えると「流行警報」を出しています。

直近で「注意報」が出されたのは新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の3年前の2019年12月で、その3か月前の9月に「流行開始の目安」となる1を超えました。
一方、去年とおととしは「注意報」と「警報」が出されることはありませんでした。
ことしはまだ1を超えておらず、11月13日までの1週間で、0.21となっていて、その前の週の0.08から増えています。

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念される中、東京・八王子市の公立小学校でインフルエンザの感染が相次ぎ、学年閉鎖や学級閉鎖が行われました。
都内の公立学校ではこの冬に向けて初めての措置となります。

専門家に聞く いま出来る備え

新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行する可能性や今できる備えなどについて、感染症が専門の東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授に話を聞きました。

東京歯科大学市川総合病院 寺嶋教授

●現状について
「過去2シーズン、国内でインフルエンザの流行がなかったので、コロナ以前と比べてやはり免疫が低下している人が多い。新型コロナの感染者が増えている状況で、インフルエンザによる学級閉鎖が起きている地域もある。インフルエンザの流行が広がってくれば同時感染も増えてくるのではないか」

また、寺嶋教授は同時に流行した場合、発熱や喉の痛み、せきなど、症状が似ていて見極めが難しいとも指摘しています。

●判断に迷った場合
「周辺の流行状況が手がかりになるので、家庭や学校などでどちらが流行しているのか把握してほしい。重症化のリスクがない人であれば、症状が出たらまずはコロナかどうか自宅で抗原検査キットで調べたうえで医療機関の受診を検討してほしい」

さらに同時流行への備えについて、寺嶋教授はどちらもワクチンの接種で重症化を防ぐことができるとしたうえで、「コロナとインフルエンザのワクチンは同時接種が可能なので、早く済ませることが大事だ。コロナの感染対策でインフルエンザも抑えられてきたので、マスクや手指の消毒、換気など基本的な感染対策を継続することが望まれる」と話しています。
 

同時感染で死亡リスク上昇の報告も

インフルエンザと新型コロナウイルスに同時に感染すると、重症化や死亡リスクが高まるとする報告もあります。

イギリスの医学雑誌「ランセット」に、ことし3月に発表された論文によりますと、イギリスのエディンバラ大学などのグループが、去年12月までに新型コロナに感染したおよそ7000人のうちインフルエンザにも同時に感染していた200人あまりの症状を調べました。

その結果、新型コロナにのみ感染していた人と比べて、重症化して人工呼吸器による治療を受けるリスクは4.14倍、死亡するリスクは2.35倍高かったということです。

また、長崎大学のグループは去年、ハムスターに新型コロナとインフルエンザを同時に感染させると、それぞれを単独で感染させた場合よりも、肺炎が重症化し、回復も遅れたとする実験結果をまとめています。

松野官房長官(16日午後の記者会見)
「インフルエンザと新型コロナの同時感染については十分なエビデンスがあるわけではないが、イギリスの調査によると死亡するリスクなどが上昇する可能性があると承知している。
新型コロナはペースは落ちてきているものの引き続き増加傾向にあり、この冬は同時流行が懸念されていることから、オミクロン株対応やインフルエンザのワクチン接種を希望者にできるかぎり早く行うよう勧めるとともに、保健医療体制の強化や重点化に 取り組んでいる」

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