新型コロナウイルスの「第8波」について、AI=人工知能を使った試算の結果を名古屋工業大学のグループがまとめました。東京都では、新たな変異ウイルスの感染力が強い場合には、1月中旬には1週間平均での1日の感染者数が「第7波」のピークより多い、およそ3万6000人にのぼる可能性があるということです。試算結果の詳細や新たな変異ウイルスの情報をまとめました。
厚生労働省は15日、都内で新たに1万1196人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
1万人を超えるのは、およそ2か月前のことし9月14日以来で、1週間前の火曜日より2531人増えました。
名古屋工業大学の平田晃正教授のグループは11月10日までの感染者数の推移のほか、ワクチンの効果、それに人の移動といったデータをもとに「BQ.1」などの新たな変異ウイルスが増える前提で、AIを使って今後の感染状況を予測しました。
シミュレーションの結果では、東京都では、今週から来週にかけて感染者数が本格的に増え始めるとしています。
そして「BQ.1」などの感染力が「BA.5」の1.2倍で、これまでに感染したことによる免疫の効果がないという想定では、1週間平均で1日あたりの感染者数が12月半ばにおよそ3万人、2023年1月中旬には「第7波」のピークを超えるおよそ3万6000人に上る予測になったということです。
また、2023年1月中旬から2月上旬には、東京都内で、コロナで亡くなる人は1日に20人あまりになるとしています。
一方で「BQ.1」などの感染力がこれまでと変わらず、免疫の効果がある程度、保たれるという想定では、感染者数のピークは2023年1月中旬におよそ2万5000人になるという予測になりました。
名古屋工業大学 平田晃正教授
「『BQ.1』の特徴はまだよく分かっていないが、いまできることはこれまでどおり換気やマスクの着用といった感染対策の徹底だ。感染が拡大する前にワクチンを接種したほうがよいと思うので、いまが接種のタイミングではないか」
国内で「第7波」の感染拡大を引き起こしたオミクロン株の「BA.5」は、いまでも世界中で最も多い状態が続いていますが、徐々に割合が減少してきています。
入れ代わるように各国で増えているのが、いずれもオミクロン株の1種でさらに変異が加わっている、「BQ.1」と「BQ.1.1」、「XBB」です。
変異ウイルスに関する記事はこちら
オミクロン株 BQ.1系統・XBBとは 新たな変異ウイルスで第8波は
こうしたなか、埼玉県の大野知事は、15日の会見で、感染者を対象にしたゲノム解析の結果、県内に住む2人の検体から、「BQ.1.1」と呼ばれるオミクロン株の新たな変異ウイルスが確認されたと明らかにしました。
「BQ.1.1」は、アメリカやヨーロッパで報告が増えてきているウイルスで、県によりますと、これまでに東京などでも確認されていますが、埼玉県で確認されたのは初めてだということです。