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コロナ 6か月から4歳の子どものワクチン接種開始 効果や副反応は

  • 2022年10月25日

生後6か月から4歳までの子どもを対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が24日から順次開始されました。このうち、東京・港区の集団接種会場では、25日から行われています。子どもへの接種をめぐっては10月、厚生労働省が生後6か月から4歳の子どもを対象にしたファイザーのワクチンを承認し、準備が整った自治体から接種を始めることになっています。

新型コロナワクチン ~乳幼児接種はじまる~

生後6か月から4歳までの幼い子どもを対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が24日から順次、始まりました。東京・港区の集団接種会場では、25日から行われています。

この会場では、25日に用意した20人分の予約枠はすべて埋まっていましたが、翌週以降も接種を行う、ほか区内の8つのクリニックでも順次接種を受け付けることにしています。

2歳の女の子が接種をうけた30代の母親
「新型コロナで子どもが死亡する例も出ているので、すぐに打ちたいと思って来ました」

1歳の男の子の20代の母親
「他の子どもが使うおもちゃを口にくわえたり、子ども自身では感染対策が難しいので接種を受けさせることにしました」

みなと保健所 土井重典 新型コロナウイルスワクチン接種担当課長
「今のところはワクチン接種が新型コロナを防ぐ第一の手段だと思うので、この機会に接種を検討してほしい」

港区では接種を受けた親子に対して副反応や発熱に関するアンケートに協力してもらい、まとまり次第、データを公表することにしています。

乳幼児接種について “さまざまな意見”

一方、生後6か月から4歳までの子どもを対象にした新型コロナのワクチン接種について都内の小児科のクリニックでは、さまざまな意見が聞かれました。

2歳の子どもと訪れた30代の女性
「受けたときのリスクや成長したあと、どうなるのかよくわからないことが一番、不安です。どのくらいの人が受けるのか気になります。夫婦でも話をしていますが、まだ調べきれていないので受けない方がいいのかなっていうのが、いまのところの考えです」

子どもと訪れた夫婦
「打てる選択肢としてワクチンがでてきたことは、すごくいいと思います。打つことが安心という人もいれば、打たなくていいという人もいると思います。まわりの話を聞きながら、子どもにとって必要かどうか、しっかりと考えていきたいです。副反応や後遺症、それに安全性についてまわりの意見も聞きながら、慎重に判断したいです」

接種について ~専門家は~

さまざまな声が聞かれる幼い子どもを対象にした新型コロナのワクチン接種について、東京小児科医会の理事で港区で小児科のクリニックを運営する時田章史医師に聞きました。

時田医師によりますと、保護者からは主に4歳以下に新型コロナワクチンの接種について子どもは重症化しにくいといわれる中、接種する意味について、長期的な影響や副反応を懸念する声などが寄せられているということです。

東京小児科医会などが強調しているのは、オミクロン株が流行するようになってから感染する子どもの数が増え、亡くなったり重症化したりする子どもが増えていることです。

国立感染症研究所はオミクロン株が広がった2022年1月から8月までに、新型コロナに感染して亡くなった子どもなど20歳未満の41人のうち、詳しい状況を調査できた29人を分析しました。

亡くなったのは、0歳が8人、1歳から4歳が6人、5歳から11歳が12人、12歳から19歳が3人でした。
4歳以下で亡くなった14人のうち6人は基礎疾患のない子どもでした。

また、ワクチンの副反応についてはほとんどが軽度が中程度で安全性に重大な懸念は認められないとされていて、時田医師は新型コロナのワクチンを接種するメリットは大きいと指摘しています。

時田章史 医師
「子どもたちがコロナにかかりにくくて、重症化しない状況が続いていたが、ことし、オミクロン株に置き換わってから大きく変わった。国も“努力義務”とした根拠は死に至るまでの病態を少しでも減らすことにある。『うちの子どもは感染したから大丈夫だ』というのではなく、子どもの死亡例などの実態を理解したうえで、冬への備えとしてできるだけ接種して少しでも感染の拡大を抑え、重症化する割合を少しでも少なくしてほしい。どうしても心配な人は厚生労働省などの情報も参考にしてほしい」

さらに小さい子どもはインフルエンザワクチンやほかの予防接種との兼ね合いも気になります。

インフルエンザのワクチンとは同時接種も可能で、インフルエンザ以外のワクチンについては、原則として接種の間隔を2週間空けることが必要だとされています。
時田医師は優先順位は主治医と相談してほしいとしています。

乳幼児接種 量は?期間は?効果は?

ワクチンの種類・量は??
今回の接種で使用されるのは、ファイザー社のワクチンです。1回の接種に含まれるワクチンの有効成分の量は、大人の10分の1。5歳から11歳の子どもの3分の1程度です。

接種間隔は??
接種は3回必要です。1回目から3週間あけて2回目を接種した後、少なくとも8週間あけて3回目を接種します。

効果は??
発症を防ぐ効果ですが、オミクロン株が流行している時期に、アメリカやヨーロッパなどで1100人あまりを対象にした臨床試験の結果では3回接種後、発症を予防する効果は、73.2%だったということです。
重症化を防ぐ効果がどの程度あるかについては、まだワクチン接種後の感染者が少なく、分析する上で十分なデータがありません。しかし、専門家に取材したところ、「発症を予防できるということは、そのあとの重症化を予防する効果も十分期待できる」ということで、実際に、年代の近い5歳から11歳に対しての重症化を防ぐ効果が研究によって差はありますが、40%から80%程度あることが確認されています。

副反応は??
ファイザー社の臨床試験の結果では、けん怠感について最も多かった1回目で29.7%。発熱については1回目の接種後1週間以内に「38度以上の発熱」があった子どもは、生後6か月から1歳の1回目の接種後7.2%、2歳から4歳では5.2%でした。2回目、3回目の接種後も、この程度の割合です。このほか、大人にもあるような倦怠感などの副反応も報告されています。

重い副反応は??
このワクチンでは、主に若い男性で心臓の筋肉や膜に炎症が起きる「心筋炎」や「心膜炎」がごくまれに起きることが報告されています。厚生労働省によりますと、アメリカではことし8月21日の時点で同じファイザーのワクチンを接種した生後6か月から4歳の子どもおよそ60万人では心筋炎や心膜炎は報告されていないということです。国内のデータでは、5歳から11歳の子どもで「心筋炎」などの疑いがあった人の割合は、接種100万回に2件から3件程度とされています。

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