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コロナとインフル(2022年)ワクチン接種は?同時感染で重症化は?

  • 2022年10月24日

新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されているインフルエンザについて、10月16日までの1週間に報告された患者の数は全国で97人でした。新型コロナが流行する前の同じ時期と比べ、低い水準となっていますが、専門家は海外では流行したところもあるとして注意を呼びかけています。
ワクチンの接種はどうすれば?同時に感染した場合はどうなるのか?まとめました。

東京都 同時流行に向け対策

この冬に懸念される感染拡大について、政府は、新型コロナが一日45万人、インフルエンザが一日30万人の規模で同時に流行し、ピーク時には一日75万人の患者が発生する可能性を想定して対策を進めるとしています。

こうした中、東京都は17日、都内の医療提供体制の整備など対策を検討する会議を開き、出席した専門家からは「同時流行が起きると発熱外来の混乱が懸念される。相談窓口や検査・受診体制を準備し、都民への分かりやすい周知が重要だ」とする指摘が相次ぎました。

また会議では「検査キットや解熱剤などを備蓄する重要性を都民により理解してもらう方法が必要だ」とか「オンライン診療の拡充とともに、コロナの患者を診療できる医療機関の数をさらに増やすべきだ」などといった意見も出されました。

・陽性者登録センターの受け付け枠の引き上げ
・インフルエンザの治療薬を迅速に受け取れる仕組みなどを検討

専門家の意見も踏まえ具体的な対策を取りまとめることにしています。

インフルエンザ 現在の状況は

厚生労働省によりますと、10月16日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告があったインフルエンザの患者数は前の週から29人増えて97人でした。

インフルエンザは、1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされていますが、今の時点では0.02人と大きく下回っています。患者が報告された地域は前の週の19の都府県から3増え22の都道府県となりました。

コロナ前は同じ時期に例年、数百人から1000人程度の患者が報告されていましたが、それと比べると低い水準となっています。ただ、コロナが流行していた去年やおととしと比べると10倍ほど多くなっています。

海外の状況は

インフルエンザをめぐっては、日本とは季節が逆で、インフルエンザの流行の時期が半年ずれる南半球のオーストラリアでことし、コロナが拡大する前と同じ程度のインフルエンザの流行が起きました。

オーストラリア保健省によりますと、ことしに入ってから10月9日までに国内で確認されたインフルエンザの感染者は22万5000人余りで、308人が死亡しました。

保健省の記録では、去年、同じ時期の10月初旬までに確認された感染者は550人にとどまり、亡くなった人はいませんでした。

こうした状況を踏まえ、バイデン政権で新型コロナウイルス対策調整官をつとめるアシシュ・ジャー氏は、今月、同時流行への危機感を示したうえで「インフルエンザと新型コロナの両方のワクチンを打ちに行ってほしい。皆さんがそうすれば、この冬、一日に何百人もの命が救われることになるだろう」と述べ、両方のワクチンの接種を呼びかけました。

ニューヨーク市内では両方のワクチンを接種できるところもみられ、人々が集まる機会が増える11月下旬の感謝祭を前にワクチン接種を済ませようという人が訪れています。

取材した薬局では、ほとんどの人がインフルエンザと新型コロナのワクチンの両方を接種し、およそ4割が同時に、残りは数週間の間隔を空けて打っているということです。

男性(64)

新型コロナのワクチンは1週間前に打ちました。ワクチンを打てて、すこし安心できるようになったと思います。

薬局の
オーナー

今、新型コロナ流行の前よりも多くの人がワクチンの接種に訪れますが、ワクチンの効果を知ったからではないか。

 

アメリカCDC=疾病対策センターは10月14日「インフルエンザの増加が多くの地域で報告されている」として、ワクチンの接種を早めに済ませるよう呼びかけています。

コロナとインフル ワクチン接種は

同時流行に備えるにあたって、ワクチン接種はどう考えればよいのでしょうか。

新型コロナのワクチンも、インフルエンザのワクチンも、感染をある程度防ぐほか、重症化を防ぐ効果は高いとされています。

厚生労働省の専門家会合のメンバーで東北大学の小坂健教授は、新型コロナの3回目、4回目のワクチン接種とともに、インフルエンザの接種を受けるよう呼びかけています。

東北大 小坂健教授
「コロナもインフルも、同時にワクチンを打っても問題はない。医療機関によっては同時に接種できるところもあり、しっかりとタイミングを逃さず両方のワクチンを接種しておくことが、冬に向けて重要だ」

同時感染 重症化や死亡リスク高まるとの報告

インフルエンザと新型コロナウイルスに同時に感染すると、重症化や死亡リスクが高まるとする報告もあります。

イギリスの医学雑誌「ランセット」にことし3月に発表された論文によりますと、イギリスのエディンバラ大学などのグループが、去年12月までに新型コロナに感染したおよそ7000人のうちインフルエンザにも同時に感染していた200人余りの症状を調べたところ、新型コロナにのみ感染していた人と比べて、重症化して人工呼吸器による治療を受けるリスクは4.14倍、死亡するリスクは2.35倍高かったということです。

また、長崎大学のグループは去年、ハムスターに新型コロナとインフルエンザを同時に感染させると、それぞれを単独で感染させた場合よりも、肺炎が重症化し、回復も遅れたとする実験結果をまとめています。

感染症に詳しい東邦大 舘田一博教授
「コロナとインフルエンザそれぞれのウイルスの感染によって、肺の障害や全身状態悪化が進むので、感染が重なれば、総花的に症状が悪化してもおかしくない。また、以前は、1つのウイルスに感染するともう1つのウイルスに感染しにくくなる、『ウイルス干渉』という現象が起き、インフルエンザとコロナの同時感染は起きないのではと指摘されたこともあったが、今のところ、それを裏付けるようなデータは出ていない」

専門家「同時検査キットも購入できるようにすべき」

現在、新型コロナウイルスの抗原検査キットは薬局などで販売され、自分で検査ができるようになっていますが、インフルエンザの検査キットは一般には販売されていないため、専門家は供給体制が整えば、薬局などで購入できるようにすべきだと指摘しています。

厚生労働省は、コロナの抗原検査キットについて体調が気になる場合に自宅などでみずから検査してもらうことで、医療機関の受診につなげようと、去年9月から、薬局での販売を特例的に認め、ことし8月には、インターネットでの販売も解禁しました。

そして、政府は10月13日、コロナとインフルエンザの同時流行が起きた際に医療のひっ迫を避けるための新たな対応策として、中学生から65歳未満の人が発熱などの症状が出た場合は、新型コロナの抗原検査キットを活用して、陽性の場合は自宅療養を、陰性でもインフルエンザなどの可能性が疑われ、受診を希望する場合はオンライン診療やかかりつけ医などの受診を検討するよう呼びかけています。

さらに、コロナとインフルエンザの感染の有無を同時に調べられる抗原検査キットを、およそ3800万回分確保し、診療体制を強化すると公表しています。

ただ、この同時検査用のキットを含めインフルエンザの検査キットはコロナ用のキットのように一般への販売は認められておらず、感染の有無を調べるためには医療機関での検査が必要です。

東邦大 舘田一博教授
「感度がいい新型コロナの検査キットがどんどん出ていて、多くの人が自己検査して結果を判定することに慣れてきていて、コロナとインフルエンザの同時検査キットも使えるはずだが、医療機関に向けても供給が追いついていない現状もある。医療体制の負担軽減にもつながるので、同時検査のキットも生産体制が整えば、同様に購入できるように検討すべきだ」

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