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アーティスト尾曽越理恵さん主宰 “生活困窮者の声をアートに”

  • 2022年9月22日

東京豊島区の東池袋中央公園では、月に2度、無料で食事を提供する炊きだしが行われています。その一角には、集まった生活困窮者たちの心の声をアートにして社会に発信しようという取り組みが行われています。仕掛けたのは、アメリカ・ニューヨークで芸術を学んだアーティストの尾曽越理恵さん。声なき声をアートで発信しようという取り組みにかける思いをまとめました。

自由に絵を描く場所 “アートスペース”

池袋駅からほど近い東池袋中央公園では、月に2度、無料でお弁当や果物などを提供する炊き出しが行われています。
新型コロナウイルスの収束が見通せない中、食料を求めて集まる人は増えているといいます。8月末の炊きだしには、過去最高の530人が訪れました。

そんな炊き出しの行われているそばで、ユニークな取り組みが行われています。炊き出しを求めて集まった人に自由に絵を描いてもらう場所です。その名もアートスペースです。

 

参加者

炊き出しがあるからもらいに来たら、こういう場所があったので絵を描かせてもらっています。

絵の具などの道具は、すべて無料で使うことができます。
多い日には10人以上が、訪れるといいます。
このアートスペースを始めたのが、アーティストの尾曽越理恵さんです。

尾曽越理恵さん

全部自分で描いた?

参加者

自分で描いたんだよ。

 

 

幸せ?

参加者

幸せじゃない。毎日不幸だよ。

 

だけど描く絵は明るいよ。

 

アーティスト 尾曽越理恵さん
「困窮する人が何か描くことによって自分たちの思っていることとか、考えていること、感じていることが、絵に表れればいいなと思っています。そこを拾いたくて始めました」

“差別・偏見”出来る限り無くしたい

尾曽越さんがこの取り組みを始めるきっかけになったのは2年前、ニューヨークの大学院で知った、アーティストが行う社会的な価値観の変革を促す活動を指す「ソーシャリー・エンゲージド・アート」という考え方です。
差別や偏見を社会からできる限り無くしたいと考えてきた尾曽越さんは、「取り組み」そのものが「アート」になるというその考え方に共感。
帰国後、去年5月から本格的に活動を始めました。

生活困窮者などの受け皿へ

そして今年3月、尾曽越さんは都内にアートスタジオを立ち上げました。目指しているのは生活困窮者や心の病を患った人など、社会のレールから少し外れてしまった人たちの受け皿となる場所です。

そんな場所に毎週3日通っているのが路上太郎さんです。公園で尾曽越さんと出会い絵をかき始めた一人です。当時、路上さんは、失業中の路上生活者でした。

路上さんが描いた自画像です。
自信が持てず、身動きがとれない当時の切ない心境を描いています。
尾曽越さんは、路上さんの作品を少しでも多くの人に見てもらうため展示会に出展しました。

作品の画像を見た尾曽越さんのニューヨーク時代の恩師は「すごく褒めていて、すごく感動的だ」とお話していたということです。

作品作りを通して少しずつ自信がもてるようになった路上さん。今は仕事を再開し、路上生活からも抜け出しました。

路上太郎さん
「作品を見てもらって喜んでもらうとやっぱり描いたかいがあると思いますね」

アーティスト 尾曽越理恵さん
「彼らはちょっと話すと止まらないくらい、いろんなことを思っているということは分かったんですね。ですから、それを表現することができると思いますし、声には出せないけど、絵で表現できるみたいな。文字とか口では表現できないようなものが、アートでは表現できると思います」

尾曽越さんは、10月22日に、東池袋中央公園で展示会を計画していて50点近い作品を紹介する予定です。当日は、絵の作者と来場者が対話する企画も考えているということです。

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