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オミクロン株対応ワクチン 副反応は インフル用 同時接種時のデータも

  • 2022年9月21日

新型コロンウイルスのオミクロン株に対応したワクチンの接種が始まりました。接種は高齢者や医療従事者などからで、順次、対象が拡大されます。このワクチンの効果や副反応の最新データについて2人の専門家の見方とあわせて詳しくまとめました。
このほかインフルエンザワクチンと同時接種した場合の副反応のデータも掲載しています。
(12月9日更新)

オミクロン株対応ワクチン 接種開始

東京港区では、オミクロン株対応ワクチンの接種が始まり、開始日は午前中から事前に予約した60歳以上の人や医療従事者などが接種会場を訪れ、問診を受けたあと接種を受けました。
このほかの自治体でも準備が整い次第、開始することにしています。

接種の対象は オミクロン株対応ワクチン

オミクロン株ワクチンの接種は、従来のワクチンで2回目までを終えたすべての12歳以上の人が対象です。当初は年齢によって接種可能なワクチンのメーカーが異なり、使用できるのはファイザー製は12歳以上、モデルナ製は18歳以上でしたが、その後12歳以上に対象が広がりました。
接種は4回目を受けていない高齢者や医療従事者などからで、自治体ごとの判断で順次、対象が拡大されます。

5歳から11歳の子どもは、子ども用のオミクロン株のワクチンができるのを待つのではなく、従来型のワクチンの接種を検討してほしいとしています。

「BA.1対応型」 BA.1やBA.5への効果は

新たなワクチンは、オミクロン株の「BA.1」に対応する成分とこれまで接種してきた元のワクチンの2種類が含まれている「2価ワクチン」と呼ばれるタイプです。

〇ファイザー「BA.1」には
ファイザーのワクチンの添付文書によりますと、56歳以上を対象にした臨床試験で、4回目の接種として使った場合、「BA.1」のウイルスの働きを抑える中和抗体の値は、従来型のワクチンを使った場合と比べて1.56倍に上昇したということです。

〇ファイザー「BA.5」には
ことし6月の発表では、「BA.5」に対する抗体の値は「BA.1」の3分の1の水準だったものの、効果的にウイルスの働きを抑えていたとしています。

〇モデルナ「BA.1」には
また、モデルナが、医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した論文によりますと、アメリカで行った臨床試験の結果、4回目の接種として使った場合、「BA.1」に対する中和抗体の値が、従来型のワクチンを使った場合と比べて1.75倍に上昇したとしています。

〇モデルナ「BA.5」には
「BA.5」に対する中和抗体の値は、従来型のワクチンの1.69倍に上昇したとしています。

ファイザーとモデルナ 主な副反応

〇ファイザー
ワクチン添付文書によりますと主な副反応は、接種した場所の痛みが58.1%、疲労が49.2%、頭痛が33.6%、38度以上の発熱は5%などで副反応は翌日に現れることが多く、1日から2日続くことが多いということです。

〇モデルナ
副反応について、接種した場所の痛みが77%、けん怠感が55%、頭痛が44%、38度以上の発熱が4%などとこれまでのワクチンと変わらず、大部分は軽度から中程度だったとしています。

「BA.4/5対応型」ワクチン 国内の動きは

ファイザーは、オミクロン株のうち現在、主流となっている「BA.5」や「BA.4」に対応する成分と、従来のワクチンの2種類が含まれた「BA.4/5対応型」の2価ワクチンの承認を厚生労働省に申請しています。またモデルナも、同じタイプのワクチンを近く承認申請をすると発表をしています。

このワクチンについてアメリカでは今月1日にCDC=疾病対策センターが正式に推奨すると発表していますが、日本ではまだ薬事承認の具体的なめどは立っていません。

一方、今回、国内で接種が始まったのはオミクロン株の「BA.1」に対応する成分と従来のワクチンの成分が含まれた2価ワクチンで、イギリスやカナダでも使用されます。

効果について厚生労働省は、オミクロン株の種類に関わらず2種類の成分が含まれることで、オミクロン株に対して従来のワクチンを上回る効果があることに加えて、ウイルスが変異する可能性がある中で、今後の変異株に対しても有効である可能性が高いことが期待されるとしています。

そのうえで年末年始に懸念される感染拡大に備え、その時点で接種ができるオミクロン株対応のワクチンを接種してほしいとしています。

オミクロン株対応ワクチン 2人の専門家は

オミクロン株対応のワクチンの効果や、どのワクチンをいつうつのかなどについて、ワクチンに詳しい2人の専門家に聞きました。

新潟大学 齋藤昭彦教授(小児科 医師)

〇効果や副反応
今回のワクチンは、まずは重症化を予防する効果が強調されるべきものだ。また、オミクロン株に対して現在のワクチンは感染や発症を防ぐ効果があまり持続しないことが知られているが、オミクロン株対応のワクチンによって効果が少し長くなると考えられる。
いま、オミクロン株の『BA.5』が主流になっているが、今後出てくる新たなタイプに対する免疫の効果も期待できる。安全性についてはこれまで接種されてきた新型コロナワクチンと基本的には同じなので、何か新たな副反応が起こりうるとは考えにくい。

〇どのワクチンを接種するか
オミクロン株対応のワクチンを接種できる機会があれば、そちらを接種した方が、より大きな効果が期待できると思う。ただ、基本的には、前回の接種から5か月間たったところで、早めに接種するというのが原則だ。いつ、次の感染の波が来るか分からないので、『流行が来るのは冬だ』と決めつけずに接種して準備をしておくことが必要だ。

北里大学 中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学が専門)

〇どのワクチンをいつ接種
いま従来株のワクチンを接種するという選択肢もあるがオミクロン株対応の成分が入ったワクチンのほうが効果は高い。感染のリスクを考えると、ワクチンで予防できるタイミングがあれば接種するのが基本だが、いまの感染状況を見ると、新規感染者数は減ってきていて感染対策に気をつけて過ごすことができるのであれば、オミクロン株対応のワクチンまで待つ選択肢もあると思う。

〇接種の間隔は
海外では、3か月から6か月など、接種間隔に幅を持たせて臨床試験が行われている。私たちの研究ではこれまでのワクチンを接種した人の血液を検査すると3か月くらいたつと抗体など免疫の機能が落ちてきて、5か月、6か月まで待つと、再感染のリスクが高くなるのでもう少し短い間隔で接種できるようにすることも考えてもらいたい。

インフルエンザワクチンと同時接種で副反応は

海外の研究グループからは、新型コロナとインフルエンザのワクチンを同時に接種した場合でも安全性や効果に問題は見られなかったと報告されています。

◆アメリカのCDC=疾病対策センターなど報告(ことし7月)
ファイザー・モデルナの新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時接種の9万2000人余りと新型コロナワクチン追加接種だけの88万9000人余りを比較

 

同時に接種した場合、接種した場所の痛みなど、局所的な症状が出た割合はファイザーのワクチンでは新型コロナの単独接種の場合の1.10倍、モデルナのワクチンは1.05倍、けん怠感や発熱など全身の症状が出た割合は、ファイザーのワクチンは1.08倍、モデルナのワクチンは1.11倍でした。

研究グループ
統計的に解析した結果として、全身の症状が出る割合は同時に接種したほうがやや高いものの、安全性に大きな問題はなかったとしています。

イタリアの研究グループ
ことし3月イギリスやアメリカで行われた3つの臨床試験をまとめた論文によりますと、同時接種の場合もそれぞれを接種した場合でも、副反応の出る頻度や新型コロナに対する抗体の値に大きな違いはなかったということです。

厚生労働省は、ことしのインフルエンザワクチンの供給量は、成人の量に換算して最大でおよそ7042万人分と、過去最大となる見通しを示し、同時接種も問題ないとしています。

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