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コロナ全数把握見直し 全国一律に移行 先行した茨城県の変化は

  • 2022年9月6日

新型コロナ患者の全数把握の見直しについて、政府は報告を簡略化した運用に9月26日から全国一律に移行する方針です。関東地方では茨城県が運用を開始しているほか、神奈川県の黒岩知事が「条件が整えば見直したい」として9月20日ごろから詳しい報告対象を高齢者などに限定する運用を始める考えを示しました。運用を開始した現場ではどんな変化がみられたのでしょうか。

「全数把握」政府は9月26日から全国一律導入方針

新型コロナ患者の全数把握の見直しについて、政府は、感染者の全数把握を見直し、報告を簡略化した運用に9月26日から全国一律に移行する方針です。

厚生労働省は、全数把握の見直しについて、医療機関や保健所の負担を減らすため、都道府県の判断で医療機関からの詳しい報告の対象を高齢者など重症化リスクが高い人に限定できるようにする措置を導入していて、関東地方では茨城県で9月2日から運用が始まっています。さらに関東地方のほか自治体でも新たな動きが出てきました。

神奈川県 黒岩知事 “条件整えば20日ごろから報告対象限定”

「運用面で課題がある」として見直しを行わない方針を示していた神奈川県は5日、専門家による感染症対策協議会を開き、新型コロナ患者の全数把握の見直しについて話し合いました。

協議会では、「発生届」がない患者も、検査キットの結果がわかる画像や、医療機関の領収書などで感染の確認ができるという運用面での具体的な手法が国から示されたことが報告されました。

これを受けて県は、課題を解消できる見通しが立ったとして、「発生届」がない患者が感染を証明する画像をオンラインで登録できる新たな仕組みをつくり、宿泊療養施設などを利用できるようにすることを決めました。

黒岩知事は、感染者の情報を把握する国のシステムの改修が終われば、9月20日ごろから詳しい報告の対象を高齢者などに限定する運用を始める考えを示しました。

神奈川県 黒岩知事
「全数把握は、現場の負担が大きく早くやめたい思いはずっとあったので、条件が整えば運用を見直したい」

先行の茨城県 保健所では入力負担減

全数把握を見直し、報告の対象を限定した茨城県内では、見直しが始まった2日、変化が起きている医療機関や保健所もありました。

〇茨城県 発生届の対象
・65歳以上の高齢者
・入院が必要な人
・重症化リスクがある人
・妊娠している人など

茨城県南部の9つの市町村を管轄する竜ケ崎保健所では、医療機関から提出される「発生届」が、8月は1日あたり200件から多いときで900件ほどに上ったということです。
また、このうち3分の1は発生届がファックスで届き、保健所の職員らがおよそ20人がかりで国の「HER-SYS」というシステムに患者の詳しい情報を入力していたということです。

2日、この保健所に午後4時の時点で届いた発生届は110件で、このうちファックスで届いたのは30件ほどにとどまりました。
入力作業もこれまでの4分の1の5人で対応できているということです。

保健所では、削減できた人員を、高齢者など重症化リスクが高い人への対応に充てていくことにしています。

竜ケ崎保健所 石田久美子所長
「入力のために費やす人手や時間は非常に大きいものがあった。連日、高齢者施設などからクラスターが発生したという報告があるが、十分な対応が取れずにいたので、今後は重症化リスクが高い人に重点的に対応できると思っている」

先行の茨城県 医療現場では負担減の一方で懸念も

茨城県日立市にあるクリニックでは、新型コロナに感染した人の発生届の入力を看護師などが分担して行ってきました。この週も、1日あたり20人から30人分の発生届を入力していて、なかには入力作業にかかりきりとなった看護師もいたということです。

このクリニックでは、2日午前の診察で10人の感染が確認されましたが、65歳以上の高齢者など重症化リスクが高く発生届の入力作業が必要だったのは1人だけだったということです。
根道ヶ丘クリニックの中廣一善院長は、入力作業の負担が軽減されたことを歓迎する一方、懸念もあるといいます。

根道ヶ丘クリニック 中廣一善院長
「入力の手間という点では非常に楽になっている。ただ、対象外となる人は保健所に把握されず、体調は本人の自己管理ということになる。不安があれば本人から適切なタイミングで連絡してもらわないと、重症化する場合もあるのではとないかと心配だ」

全数把握の見直しにより、報告対象外の重症化リスクが低い人は、保健所が患者の名前や住所といった基本的な情報や健康状態を把握する手段がなくなります。
このため茨城県は、容体が悪化したといった相談には24時間対応の電話窓口で応じるほか、重症化リスクが高い家族がいて自宅療養に不安があるなどの申し出があった場合には、宿泊療養先を調整することにしています。

さらに「定点把握」 秋にも一部自治体で試行的導入

こうした中、厚生労働省は、この措置と並行して、事前に指定した医療機関からだけ感染者数を報告してもらう「定点把握」を、ことし秋にも一部の自治体で試行的に導入することになりました。
厚生労働省は、自治体で試行した結果を検証しながら、「定点把握」の精度の向上に向け、検討を進めていくということです。

厚生労働省幹部は「今はその時期ではないが、新型コロナの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同じに引き下げる時には、全面的に『定点把握』に移すかどうか議論しないといけない。今のうちから研究しておかなければならない」としています。

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