1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 北関東道死傷事故 “事故誘発”で実刑判決 上申書提出した遺族の思い

北関東道死傷事故 “事故誘発”で実刑判決 上申書提出した遺族の思い

  • 2022年8月19日

おととし、群馬県の北関東自動車道で乗用車がガードレールに衝突し2人が死亡しました。
この事故で走行中にタブレット端末の操作に気をとられて乗用車に接近し事故を誘発した罪に問われた元会社役員に裁判所は禁錮2年の実刑判決を言い渡しました。妻を亡くし警察に上申書を出して原因究明を求めた遺族が取材に応じ、その思いを話してくれました。

北関東道4人死傷の事故 “タブレット操作 事故誘発”

群馬県の北関東自動車道でおととし12月、乗用車がガードレールに衝突し女性2人が死亡、2人が重軽傷を負った事故では、栃木県真岡市の建設会社の元社長、増山邦夫被告(55)が時速100キロほどで走行中、タブレット端末の操作に気をとられて、後ろから走ってきた乗用車に気づかないまま接近し事故を誘発したとして過失運転致死傷の罪に問われていました。

“事故の原因究明を” 遺族が上申書を警察に提出

事故で亡くなった三田昌子さんの夫の静雄さん(67)は事故のあと、ほかの遺族などとともに原因究明を求める内容の上申書を警察に提出し、その後、捜査が進んで被告の逮捕に至りました。

事故で亡くなった三田昌子さんの夫の静雄さん(67)
「妻は日常の足として車を運転していましたし、いつも高速道路の走行もしていた。ふだん見ていて、こんな所でぶつかるような運転をするようなことはなく、危ない運転をする人ではないと家族で信じていた。原因があやふやのままだと妻が浮かばれないと思っていた。上申書を出さなくても警察は動いてくれていたと思うが、何もしないで待っていることができないというか、何かしなくてはいられなかった」

前橋地裁 “注意散漫な運転は見過ごしがたく責任は重い”

これまでの裁判で被告は起訴内容を認め、検察は禁錮4年を求刑していました。
前橋地方裁判所の柴田裕美裁判長は18日の判決で、「とりわけ注意深い運転が要求される高速道路で録画番組を見ていたタブレットを操作したのは全く不必要な行動で過失の程度は大きい」などと指摘しました。

その上で、「それ以前に交通違反で複数回検挙されていたのに、注意散漫な運転をしたのは見過ごしがたい。自身の過失を認め反省の態度を示しているが実刑はやむを得ない」などと述べ、禁錮2年の実刑判決を言い渡しました。

“実刑になったよ 不名誉は晴れたよ” 亡き妻に伝えたい

夫の静雄さん(67)
「被告を個人的に恨んでも亡くなった人が帰ってくるわけではない。しかし、痛くもかゆくもなく、ふだんの生活に戻られたら納得はできないと思っていたので、実刑判決が出たことで少しは納得できた。もし本当に反省しているのであれば控訴をせず素直に判決を受け入れてもらいたい」

そして最後に静雄さんは、「妻には『関係する人たちのおかげで禁錮2年の実刑になったよ。不名誉な部分は晴れたよ』と伝えたい。妻は自損事故と言われて反論したくても、できなかったわけですから」と話していました。

ページトップに戻る