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長崎で被爆した「原爆イネ」が伝えるもの 染色体に異常いまも影響が

  • 2022年8月16日

長崎に原爆が投下されて77年、栃木県上三川町の農家の男性は、長崎で被爆したイネから育て続けられている「原爆イネ」を栽培しています。イネにはいまも原爆の影響が残っているということです。ロシアのウクライナ侵攻で核兵器の脅威が高まるなか、イネの栽培にこめられた思いと被爆地 長崎の願いです。

8月9日 長崎に原爆投下から77年

8月9日、長崎に原子爆弾が投下されてから77年が経ちました。長崎市の平和公園で行われた平和祈念式典では、この1年に亡くなった被爆者など3160人の名前が書き加えられた19万2310人の原爆死没者名簿が納められました。

そして、原爆がさく裂した午前11時2分に黙とうがささげられました。被爆地・長崎では犠牲者への祈りが続いています。

「原爆イネ」77年前に長崎で被ばく

栃木県上三川町の農業、上野長一さん(71)は「原爆イネ」を水田の一角で栽培しています。
このイネは77年前、長崎に投下された原子爆弾で被ばくしました。

「原爆イネ」は爆心地の近くの水田から九州大学の研究者が調査のために持ち帰ったもので、種もみを譲り受けて育て始めたということです。

このイネは夏場の今の時期は順調に生育しているように見えても、例年、秋に収穫される稲穂は中身が入っていない「空もみ」の割合が多く、染色体の異常が原因だということです。

上野さんは地元の小学校で農業の出前授業を行う際に原爆の影響を知ってもらおうと、このイネを紹介しているということです。

上野長一さん(71)
「穂が出るまでは普通のコメと変わりはないが、穂が出て垂れ下がると中身が入るものと入らないものができて、77年たってもそのような影響があるのかと改めて感じる。イネという身近な作物を通して平和について考えるきっかけにしてほしい。70年たっても命をつなぐイネが生き証人としてここにあることを伝えたい」

「長崎を最後の被爆地に」

不安定な国際情勢を背景に、被爆者の間では、いま、核兵器が再び使われるかもしれないという大きな不安や危機感が募っています。

ことしの8月9日は、「長崎を最後の被爆地に」という願いをこれまで以上に強く発信する日となりました。

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