新型コロナウイルスの感染が急拡大。東京都内の新型コロナの患者用の病床使用率も上昇しています。
神奈川県横須賀市の病院では、軽症の入院患者が急増していて、現在の状況が続けばほかの病気の重症患者への対応に影響が出るおそれがあると懸念しています。
神奈川県にある横須賀共済病院は、がんや脳卒中など重症患者の治療にあたる地域の中核病院で、新型コロナウイルスについては主に重症と中等症の患者を受け入れています。
7月に入ってからは第6波を上回るペースで入院患者が急増しているため、病院では当初の想定より新型コロナの病床を増やしていて、25日時点で28人を受け入れています。
このうち22人は、高齢で重症化のリスクがあったりほかの病気で入院したあと感染が判明したりして入院していますが、いずれも軽症だということです。
このほか肺炎で重症の患者は1人で、残る入院患者は中等症1などの症状だということです。
病院によりますと、「第6波」では高齢者を中心に重症化する患者が相次ぎましたが、ワクチンの接種も進み、ことし4月以降は軽症の入院患者が増える傾向になっているということです。
この病院では今、医師や看護師などの感染も相次いでいるため、現在の状況が続けばほかの病気の重症患者への対応に影響が出るおそれがあると懸念しています。
病院では、症状が安定した患者は転院してもらうよう取り組んでいますが、新型コロナの患者を受け入れる病院は県内で数が限られ、発症から10日たたないと転院を受け入れてもらえないケースがほとんどだということです。
横須賀共済病院の長堀薫病院長
「ワクチン接種が進み、明らかに新型コロナは重症化しづらくなっているのが現場の実感だ。地域医療を崩壊させないためにインフルエンザのようにより多くの病院で患者を診る形になるとありがたい」
神奈川県によりますと県内にあるおよそ340の病院のうち、新型コロナの入院患者を受け入れているのは30%程度だということです。
感染が急拡大し、入院患者が増える中、受け入れる病院でもスタッフが感染して出勤できないケースが増え、新型コロナ専用の病床を増やすことが難しくなっています。
神奈川県は7月21日、新型コロナの入院患者を受け入れていない病院に対し、ワクチン接種が進み重症化率も低下する中、病室単位で患者を隔離すれば受け入れは可能だとして、専用の病床を確保するよう文書で協力を求めました。
神奈川県によりますと、神奈川県内では感染者が急増する中、入院患者の数は25日の時点で1452人で、病床使用率は69.14%となっています。
神奈川県は26日、開かれた対策本部会議で、特に中等症と軽症の入院患者に増加傾向が見られるとして、中等症と軽症の病床確保フェーズを3から4に引き上げ、今よりも350床多い1890床に増やすことを決めました。
一方、重症患者については増加傾向にはないとして、100床を維持するとしています。
神奈川県 黒岩知事
「感染者数は増えていても病床はそれほどひっ迫していないと伝えてきたが、徐々にひっ迫してきている。今より強い行動制限を考えているわけではないが、ひとりひとりが感染対策を徹底してもらいたい」
東京都内で、新型コロナウイルスに感染して入院している人は、26日時点で速報値で3497人となり、病床の使用率は49.6%になりました。
都によりますと、新型コロナウイルスに感染して都内で入院している患者は、26日時点で速報値で3497人でした。
7月1日には955人だったのでおよそ3.7倍に増えています。
新型コロナの患者用の病床使用率も感染の急拡大で上昇していて、7月1日時点で18.9%でしたが、26日時点では速報値で49.6%となり50%に迫っています。
第6波では、ことし2月1日に50%を超えたあとも上昇を続け、2月19日には最も高い59.9%まで上昇しました。
一方、オミクロン株の特性を踏まえた重症患者用の病床使用率は、ピーク時には36.3%だったのに対して、26日時点は速報値で22.9%です。