新型コロナウイルスの感染急拡大で、医療機関のなかには検査が追いつかなくなり感染の判定ができなくなると懸念するところもでてきました。こうしたなか、政府は、若い世代に3回目のワクチン接種を働きかけるとともに、接種率向上につなげるため、自衛隊による大規模接種の期間の延長を検討しています。
政府や自治体の第7波への対応をまとめました。
東京都は、感染の不安がある場合、無料でPCR検査などを受けられる取り組みを行っていて、新橋にある民間のPCR検査センターには20日、検査を予約した人たちが次々と訪れていました。
運営する会社によりますと、現在は6月の同じ時期と比べて検査数が2倍以上になっていて、今週は1日におよそ700人分用意している予約枠がすでに埋まっている日もあるということです。
東京・品川区でコロナ患者を診察している診療所には、3連休が明けたあと発熱や体調不良を訴える人が相次いで訪れています。
診療所によりますと、19日は通常の3倍ほどのおよそ130人の診察にあたったということで、待合室に入りきらずに外に列ができる時間帯もあったということです。
診療所では通常の5倍にあたる1日100回分のPCR検査ができるよう準備していますが、訪れる人がさらに増えれば検査が追いつかず、感染の判定すらできなくなるおそれがあると懸念しています。
三浦医院 三浦和裕院長
「連休後に一気に患者数が増えました。電話での問い合わせも止まらない状態で、このままでは検査がひっ迫して必要な人が検査を受けられなくなるおそれがあります」
東京都のモニタリング会議で専門家は21日、都内の医療提供体制について、「ひっ迫している」と分析し、警戒レベルを最も深刻なレベルに引き上げました。
現在、都民のおよそ100人に1人が、入院、宿泊、自宅のいずれかで療養しているほか、検査の陽性率も20日時点で42.9%と、第6波のピークを上回り過去最高値になっているということです。
専門家は「医療機関に検査や受診の相談が集中するなどして検査が受けにくくなっている」として、症状があるひとや濃厚接触者など検査が必要な人が速やかに受けられよう検査対策を確保する必要があると指摘しました。
一方、神奈川県では20日、新型コロナウイルスの1日の感染者数が初めて1万人を超え、横浜市でも過去最多の6423人が新たに感染したことが確認されました。
これを受け、横浜市は、感染拡大や患者の重症化を防ぐため市内の高齢者施設や障害者施設、医療機関などに、あわせて71万個あまりの抗原検査キットを配ることを決めました。
また、3回目のワクチン接種率が低い若者の間で感染者が特に増えているとして、3回目のワクチンを受けていないおよそ50万人に接種を勧奨するはがきを送ったり市内の大学で接種を呼びかけたりする方針です。
政府が19日に公表した最新の状況によりますと、国内で新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種を受けた人は全人口の62.3%となっています。
政府は接種率が3割から5割台にとどまっている若い世代に対しSNSなども活用しながら接種の働きかけを続けることにしています。
また、ワクチンの接種率向上につなげるため、7月末が期限となる東京と大阪の自衛隊による大規模接種の期間を延長することを検討しています。
さらに、夏休みの帰省などで人と人との接触機会が増えるのにあわせて、主要な駅や空港などで臨時の無料検査拠点の整備を急ぐなどして、重症化リスクの高い高齢者の感染予防に重点的に取り組む方針です。