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東京 井の頭恩賜公園の池に異変 外来種の水草「コカナダモ」が増殖

  • 2022年7月12日

数年前には「まるでモネの絵画のよう」と話題になるほどのきれいな池が見られた東京の井の頭恩賜公園。ことしはその池に異変が起きています。
外来種の水草「コカナダモ」が急激に増え、東京都は環境への影響や今後の対応について検討を進めています。

池をのぞいてみると…

東京の井の頭恩賜公園の池の中をのぞいてみると、あちらこちらが水草で覆い尽くされています。
公園内を毎日通るという人は…。

 

数年前まではこんなになかったですね。もっと下の藻が見えて1メートルくらいは澄んでいました。

公園を管理している東京都によりますと、国が対策の必要性が高い「重点対策外来種」に登録している外来種の水草「コカナダモ」が3年前からまとまって観察されるようになりました。
当初、池の一部で生育していましたが、急激に増殖していて今年は池全域に広がっています。 

東京都西部公園緑地事務所 工事課 永田雅之課長
「去年までは在来種の『ツツイトモ』という水草が見られていたが、ことしから急に外来種の『コカナダモ』という水草が繁茂してしまい入れかわってしまった。『コカナダモ』は下からわーっと生えてくるので光が他の草に届かなくなったりとか、植物の競争の中で在来の水草が負けてしまう。草が枯れて腐り、池の底に滞留するとそれが水質悪化の原因になりかねない」

なぜ外来種の水草が繁殖?

なぜ外来種の水草が繁殖するのか、水生植物の生態に詳しい専門家に聞いてみました。

東京農工大学グローバル教育院 専任講師 片桐浩司さん
「『コカナダモ』は冬になるとやってくる水鳥に断片がついて池に入ってきたと考えられる。元々、繁殖力の強い水草だが、井の頭公園の池は水深が浅く光が水底まで届きやすいことや都市域にあって植物の成長に必要なちっ素が土壌に多いことなど複数の要因が重なっているため、ここまで増加しているのではないか。
在来種より成長スピードが速く、在来種の光合成を妨げて、成長を阻害してしまう。長期的には枯れた水草が、池全体の環境に影響を与えてしまい、在来種を含めた生き物が住むのに適さない環境となってしまう」

かつて水質悪化も「かいぼり」で改善

井の頭恩賜公園は、江戸時代からの景勝地だった井の頭池を中心に当時の東京市によって整備され1917年に開園しました。
園内にある池はかつては湧き水の量も多く、泳げるほどきれいだったということですが、戦後、地域の市街化や地下水のくみ上げによって湧き水の量が少なくなり、水質が悪化しました。

さらに放流されたものが繁殖したと見られるブラックバスなどの外来魚が増えて、在来種の減少が進んでいました。
このため、市民グループと都の話し合いで開園100周年の2017年までに池の環境を整えることになり、都は2013年から1年おきに3回にわたって池の水をぬく「かいぼり」を行い、捕獲した水生生物のうち在来種だけを池に戻す取り組みが進められました。

「かいぼり」
農作業が終わる冬にため池から水を抜き、一定期間干して、清掃、堤や水路の点検補修を行う作業を言います。近年は、公園などの池で水質改善や外来種駆除を目的に行われる例が増えています。(東京都公園協会のホームページより)

こうした取り組みの結果、国が絶滅危惧種に指定している「ツツイトモ」が復活しました。
池の環境が大きく変わり、底が見えるほどに。

画像提供(NPO法人生態工房)

水草が水面を彩り、モネの絵画のようだと話題になりました。

東京都西部公園緑地事務所 工事課 永田雅之課長
「在来の水草への影響を懸念していて、まずは、月に一回繁殖の状況や水質調査などで状況を観察し、ボランティアの方の協力で水面の藻を回収している。全面的に対策をすぐに打つのはなかなか難しいが、再度かいぼりをすることを含め在来種を守る手だてを考えていきたい」

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