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サル痘 天然痘治療薬が国内で投与可能に ワクチンも例外的に接種可

  • 2022年6月29日

「サル痘」に症状が似た天然痘の治療薬を厚生労働省は、研究目的として投与できる仕組みを新たに作りました。サル痘に効果があるとされる天然痘ワクチンを接種できる体制も整えられ、国内で患者が見つかった場合への備えが進められています。国内での対策のほか、天然痘のワクチンについてのアメリカの動きについてまとめました。

サル痘 韓国や台湾でも 国内は報告なし

欧米を中心に感染が拡大している「サル痘」は、1970年に海外で人での感染が確認されて以降、厚生労働省は動物から人への感染症を指す4類の感染症に指定していますが、国内でこれまで患者は報告されていません。

アメリカCDC=疾病対策センターのまとめでは6月28日までにサル痘が定着していない49の国と地域で4769人の感染者が確認されていて、これまでに韓国や台湾でも感染が確認されています。

国内でも天然痘治療薬を例外的にサル痘へ投与可

国内でサル痘の患者が見つかった場合に備えて、厚生労働省は検査やワクチン接種などを速やかに行う体制の整備を進めています。

こうしたなか、アメリカの製薬会社が天然痘の治療薬として開発した飲み薬「テコビリマット」をサル痘の患者に投与できる仕組みを厚生労働省が新たに作りました。

この薬はEU=ヨーロッパ連合ではサル痘の薬として承認されていますが、国内では承認されていないため薬の有効性や安全性を調べる「特定臨床研究」として例外的に認めるということです。
投与の対象は、体重が13キロ以上で、東京・新宿区の国立国際医療研究センター病院に14日間入院して服用を続けられることなどが条件です。

厚生労働省では、関東以外の大都市圏の医療機関にも導入することを検討するということです。

天然痘ワクチンも例外的に接種可

また、サル痘にもおよそ85%の発症予防効果があるとされている天然痘ワクチンについては、厚生労働省は東京の国立国際医療研究センター病院で研究目的として例外的に患者の家族などを対象に接種できる体制を整えました。

対象となるのは患者に接触してから14日以内の濃厚接触者で、21日後までの発症の有無を調べます。
ワクチン接種は新型コロナでは原則、感染前ですが、サル痘では感染後の接種でも発症や重症化予防の効果があるとされ、濃厚接触者も接種の対象となります。

厚生労働省は、今後、患者の入院を担当する医師や看護師などの医療従事者や患者を搬送する保健所の職員、検査を行う地方衛生研究所の担当者などには事前に接種することを検討するとしています。

全米医療機関に30万回分のワクチンを配布へ

サル痘の感染拡大を抑え込むために、アメリカのバイデン政権は28 日、数週間以内におよそ30万回分のワクチンを全米の医療機関に配布することや検査態勢を拡充し、迅速な感染確認を進めることなどを発表しました。
アメリカ国内では感染の確認が300人を超えていて、バイデン政権の高官は会見で「サル痘は決して新しいものではなく、新型コロナウイルスと比べると感染を広げる力も弱い」とする一方、感染拡大を抑え込むために迅速な対応が必要だとして対策に力を入れるとしています。

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