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「光にむかって」サーロー節子さん核廃絶訴えたスピーチが絵本に

  • 2022年6月7日

「核兵器の歴史や被爆地で起きた出来事を学ぶことができる作品で、家庭や学校で活用してほしい」
こう話すのはカナダ在住の広島の被爆者、サーロー節子さんです。サーローさんが2017年のノーベル平和賞の授賞式で、自身の体験から核兵器廃絶を訴えたスピーチをもとに描かれた絵本が出版されました。

“核兵器禁止条約という「光」に向かって”

絵本のタイトルは「光にむかって」です。ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンがノーベル平和賞を受賞した際の授賞式で、サーローさんが行ったスピーチをもとに作られ、3日出版されました。

絵本では、13歳だったサーローさんが広島で被爆した直後、がれきの下敷きになった時に「あきらめるな。光が見えるだろう?そこまではっていくんだ」と声をかけられ、逃げることができた体験や、姉や4歳のおい、多くの友人を亡くした悲しみと憤りが描かれています。

絵本では最後に、サーローさんが光に向かって進んで助かったように、核兵器禁止条約という「光」に向かって、核兵器の恐怖から抜け出すために進み続けるよう呼びかけています。

サーロー節子さん
「核兵器の歴史や広島・長崎で何が起きたかを学ぶことができる作品で、家庭や学校で読んで話し合うなどして活用してもらいたいです。核兵器をめぐる情勢は暗くなっているように見えますが、だからこそ『光』はより輝き、その『光』が核兵器禁止条約です。光に向かって諦めることなく、一歩一歩確実に前進しましょう」

オンラインのスピーチを行うことに

サーロー節子さんは、6月21日からオーストリアで開かれる核兵器禁止条約の締約国会議に合わせて、現地で核廃絶を訴える予定でしたが、体調面を考慮して訪問を断念し、NGOなどが会議に合わせて開くイベントでオンラインのスピーチを行うことになりました。
条約の採択に至るまで被爆者が歩んだ道のりを語り、核廃絶を訴えるということです。

サーロー節子さん
「行くことができず残念ですが、世界各地から大きな期待を持って集まり、条約の採択から5年の間に出されたリポートや提案書をもとにすばらしい議論が行われると思います」

○日本政府が締約国会議にオブザーバー参加することに慎重な姿勢を示していることについて
「参加国が何を話し合い、推進した国と反対する国の間にどんなギャップがあるのか熟知しないと、日本政府が言う立場が異なる国の『懸け橋』としての仕事はできない。直接ことばを交わすことで、新しい発見があるはずだ」

○日本の役割について
(核兵器禁止条約は核軍縮の義務を果たしてこなかった核保有国に代わって被爆者やNGOなどが訴え続け成立したとしたうえで)
「日本しか経験してない核兵器による人道的な被害を世界に知らせる人道的、政治的な責任があると思う。2度とあのような経験をさせてはいけないと、政府も市民や被爆者と一緒に訴えてほしい」

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