新型コロナウイルス、感染の“第7波”は来るのか。
新規感染者数は、徐々に減少する傾向が続いていましたが、大型連休の後半からは沖縄で過去最多となり、東京では5日連続で前の週の同じ曜日を上回っています。今後の見通しはどうなのか、専門家に聞きました。東京都内の自治体では今後の感染者増加に備えた動きも始まっています。
全国の感染者数は第6波の感染がピークを迎えたことし2月以降、おおむね減少傾向で、大型連休直前の4月27日には1日で4万6000人あまり、1週間平均では4万人あまりでした。
さらに大型連休中に減少傾向が顕著となり、5月6日には1日でおよそ2万2000人、1週間平均で2万4000人あまりとなりました。
ところが、5月7日には1日で3万9000人あまり、8日には4万2500人あまりになり、9日現在、1週間平均で3万人近くと増えつつあるように見えます。
東京都でも感染が確認された人の数は、11日まで5日連続で前の週の同じ曜日を上回っています。
一方、3年ぶりに行動制限のない大型連休で多くの観光客が訪れた沖縄県では、大型連休終盤の5月7日に2375人と過去最多の感染者数となり、そして最終日の8日にも2060人で過去2番目となりました。人口10万あたりの感染者数は9日現在で760人あまりと、これまでで最も多くなっています。
専門家は現在、感染者数が増えているように見えるのは大型連休の期間中に検査数が減り、確認される感染者数が一時的に減ったことの反動という側面もあるといいます。
新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は今回の大型連休で人と人との接触が増えたことが感染の増加につながっていくのか少なくとも今週末くらいまでは見極める必要があると指摘しています。
東邦大 舘田一博教授
「大型連休で観光地に行って地域で感染が広がることが起きてもおかしくない上、都市部に戻ってきたあと、新たな感染の火種になる可能性もある。感染者数がどのように推移するか注意深く見ていかなければいけない。
多くの人が動いて旅行や帰省を楽しめる状況にまでなってきている。これだけ人の動きがある中でどうすれば感染者数を増えないようにできるか見極めた上で、どのような対策の緩和をしていくか考えていくことが大事だ。今はまだ注意しながら段階的に少しずつ感染対策を緩和していく対応が必要だと思う。
大型連休のあとの感染拡大を抑えるために、自分の体調の変化をしっかり観察して少しでもおかしいことがあれば早め早めに医療機関を受診したり、検査を受けたりするなどの対応が必要になってくる」
都内の新型コロナウィルスの感染者数が前の週の同じ曜日を上回る日が続いていることについて、東京都医師会は警戒感を示したうえで、感染者の割合が多い若い世代に3回目のワクチン接種をするよう改めて呼びかけました。
3回目のワクチン接種率、関東各県の数字です。
茨城県:57.43%
栃木県:54.23%
群馬県:58.88%
埼玉県:52.95%
千葉県:54.37%
東京都:54.24%
神奈川県:54.04%
東京都医師会 尾崎治夫会長
○感染状況について
連休明けで感染者が増えているように見えるが、来週以降に詳細なデータが出れば、増加傾向になってきたのかがはっきりするだろう。引き続き注意深く見守る必要がある。
○20・30代の3回目ワクチン接種率について
感染者が多い世代なので、接種をお願いしたい。追加接種は発症や重症化の予防に効果がある。(厚生労働省が4月承認した)ノババックスは副反応が少ないとされているので、痛みや熱などが心配な人は、検討してみてほしい。
○マスクの着用について
密になるところはマスク着用の必要性がまだまだあるが、屋外で換気ができる場所は感染のリスクは低いので、着用の見直しをしてもいいのではないか。
大型連休後、新型コロナウイルスの感染者数の推移が注目される中、東京・江戸川区では、今後、感染者数が急増しても自治体として対応できるよう、BCP=事業継続計画を見直しました。
江戸川区は、第6波が来る前の去年12月、新型コロナの自宅療養者などへの対応とふだんの窓口業務を両立させるため、独自のBCPを作って備えました。
このBCPは日々の感染者数を7段階に分けたうえ、段階ごとに、新型コロナ対応にあたる応援職員を増減させるものでしたが、実際の第6波では感染者数が想定を上回ったため、急きょ当初の計画を変更して応援職員を増やすなどの対応に追われました。
こうした経験を踏まえて、江戸川区ではこのほど、大型連休後に感染者数が急増した場合でも対応できるようにしようと4月末、新たなBCPを作りました。
新たなBCPでは、インターネットの活用や応援職員に多様な業務を担ってもらうことで効率化をはかり、応援職員の人数を3割程度削減しながらも第6波を超える1日あたり1700人の新規陽性者に対応できるような計画にしたということです。
具体的には、これまで電話で行っていた新規の陽性者への体調確認について、新たな計画では区独自の質問フォーマットをメールで送り、原則、陽性者みずからスマートフォンやパソコンで登録してもらうようにしました。
また、第6波までの経験で応援職員が複数の業務をこなせるようになったとして、これまでは複数の職員が分業で行っていた業務を1人で担ってもらうようにし、効率化を図っているということです。
江戸川保健所保健予防課 佐藤正子課長
「第6波は想定を超える数の応援職員を出してもらうなかで市民サービスに影響が出かねなかった。今回はこれまでの経験を生かして効率化できるところはし、市民サービスの影響を小さくできるように計画した。大型連休後は感染者が増える傾向にあるので態勢は整えたが、皆さんには、いま一度感染対策を徹底してほしい」